01
お正月も過ぎた1月の中旬、茉穂は火神たちからある提案をされていた。
「テツの誕生日パーティー?」
「あぁ、なんつーかさ、アイツには色々世話になったしよ……1年のみんなで祝ってやろうぜってなったんだ」
「そうなんだ、テツ喜ぶと思うよ」
先日、テツの誕生日が月末にあるという話をしてから彼らは考えていたようで、男子高校生になってもそんな風に祝ってくれるという、友達が羨ましく思える。
一緒に戦ってきた仲間だからこその繋がりなんだろう、男の子が羨ましいと思えるのはこんなところだ。
「それでさ、白川さんも良かったら来れないかな?」
「私も?」
降旗の提案に茉穂は自分も良いのかと驚いた。
「うん、黒子も喜ぶと思うしさ」
「アイツの好物とかも詳しそうだしよ、頼むよ」
特に予定はなかった。無論、恒例となっているテツへの誕生日プレゼントも贈る予定ではあるから、茉穂は頷いた。
「うん。せっかくだから参加させてもらうね。なんならケーキとかも焼くよ?」
「本当に? 白川さん料理上手だから助かるよ」
「ああ、俺も焼こうかと思ってたけど、白川が作ってくれるならメニューに専念出来るな」
「火神くんも料理上手なんでしょ? 楽しみだな」
「なんならウチで作ってくれてもいいぜ? あー、でもケーキの型とかはないから無理か……」
「それなら道具持っていくよ。もしかして、先輩方も呼ぶの?」
「あぁ、パーティーは人多い方が楽しいだろ」
「じゃあ、なおさら火神くんのお家で作った方がいいかもしれないね。人数によっては二段重ねのケーキにした方がいいかもしれないし」
「そんなの作れるの?」
「うん、多分大丈夫だよ」
「そっか、なら買い出しとか手伝うから」
「ありがとう。その時はよろしくね」
で肝心のテツには言ったの?と訊いたら、まだだけど今度訊いておくという返事を聞いて、楽しみだなと思った。
数日後、さつきちゃんから電話があった。
「ストバス?」
『そう!今月の31日に大ちゃんときーちゃんとミドリンとむっくんと赤司くんとテツくんとでやろうかなって………茉穂ちゃんもどう?』
「どう?って……元帝光のメンバーじゃない。私は関係なくない?」
それに31日ってテツの誕生日パーティーが……。
「それってみんな来るの?」
『うん、さっきテツくんからオッケーは貰えたの!後はむっくんなんだけど………こ、断られちゃって……』
「あー……」
なんとなく彼の性格上、面倒だとか言って断りそうだ。ってテツはオッケー出したの?パーティーは??
戸惑っているといきなり電話口の声が代わった。
『おい、茉穂オメー、菓子作って紫原を呼べ!』
「へ? その声、青峰くん?」
『俺もいるっスよ〜』
「黄瀬くんまで?」
どうやら三人で集まっていたようだ。
そこでどう紫原を呼ぶかで、思いついたのはやはり『お菓子』で呼び寄せようだったらしい。
お菓子に食い付き、一時来る気満々になった紫原だったが、そのお菓子を桃井が腕によりを掛けて作ると言った瞬間「行かない!!」とお断りされたそうだ。
『茉穂、紫原に電話してなんでも作ってやるって呼び出せよ』
「いやいやいやいや、青峰くん。私、紫原くんと親しくないからね? 電話番号だって知らないし」
『はぁ?マジかよ』
彼らの思考はどうなっているんだ?
そもそも赤司くんや紫原くんとは中学時代は親交なんてなかった。それは緑間くんもだったけれど、彼とは二年間同じクラスだったからこそ、話が出来たのだ。
『そういや、白川っちは緑間っちとどうなんスか?』
「へ?」
『デートとかしてるんスか? なーんか想像つかないっスよねぇ、緑間っちが誰かと付き合「大きなお世話なのだよ、黄瀬」み、緑間っち??』
黄瀬くんが驚くのも無理はないと思う。
書店で待ち合わせをして、参考書選びを付き合って貰っていたのだ。
店内で電話が掛かって着たために、緑間くんに外に出ると合図をしてから、一旦店の外に出て話していたのだから。
『え、ミドリン一緒なの?』
『マジかよ、緑間といんのか、茉穂』
電話の向こうでは桃井や青峰が騒いでいる。
『なーんだぁ、デートだったんスか? 緑間っちもすみにおけないっスね』
「煩いのだよ。茉穂と参考書選びをしてる最中だ、邪魔をするな」
「み、緑間くん!さつきちゃんに代わるように言って」
黄瀬に声が聞こえたのか、茉穂が電話口に出た時には相手は桃井に代わっていた。
「ご、ごめんね、さつきちゃん」
『こっちこそごめんね!デート中だったなんて知らなかったから』
「そんな謝らなくても大丈夫だよ。またね」
桃井との電話を終え、隣に立つ緑間を見上げる。
「ごめんね、緑間くん。煩くしちゃって」
「茉穂が悪い訳ではないのだよ、悪いのは黄瀬だ」
カチャリと眼鏡を直し、ぐいと手を引かれる。
「さ、中に戻るのだよ。外で話していたから身体が冷えている」
「……ありがとう、緑間くん」
さりげない優しさに嬉しくて、ぎゅっと手を握れば、優しい眼差しをくれてこちらが照れてしまう。
「そういえば、テツの誕生日にストバスに行くの?」
「………気が向いたら行くのだよ」
ふん、と顔を逸らしながらもきっと彼は行くんだろうと思い、茉穂は微笑んだのだった。
「お前はどうするのだよ?」
「え?」
「桃井に誘われたのだろう?」
まぁ、彼らからの電話であればそう思うのだろう。
実際彼も誘われたのだから。しかし
「う〜〜ん。そもそも私はバスケ部じゃないし、用事があるから行けないんだ、ごめんね」
「別に構わないのだよ……(赤司も来ると言っていたしな……)」
ウインターカップでの赤司がやたらと茉穂に構っていた事か気掛かりであった為に、出来るならば彼女と赤司を会わせたくないと緑間は思ったのだった。