01

黒子のバスケ

「皆さん。入学、おめでとうございます。今日からこのクラスの担任の──────」

教卓に立つ先生の挨拶を聞きながら、式の注意事項を聞かされた。
どこで席を立つとか、軽く校歌の練習をさせられ、いざ式に臨む為に廊下へと並ばされる。
ふと廊下を見てみると、伝統があるといえば聞こえはいいが、はっきり言えば古い。
帝光で過ごしていたからだろうか、ちょっとしたところが目に付いた。
こう考えると帝光はやはり金が掛かっていたんだな、と思う。
配布された生徒手帳の校則を見ると、帝光の方が校則が緩かったと思う。
昔(といっても1ヶ月前だが)を引きずっていても意味がないので、香織は右から左の校長だか、来賓だかの話を聞き流しながら入学式を過ごしていた。
教室に戻れば、まぁ、ありきたりだろうが自己紹介をしようと提案が成された。
出席順だが、後ろの方の香織はクラスメイトの顔と名前を覚える為にも名簿を見ながら挨拶を聞いていた。
ガタンと椅子を立てた生徒を見て、名簿を見た。

「──中出身、宮地裕也です。部活はバスケ部の予定。よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げてまた椅子を腰かけたのを見ながら、次の人が席を立った時、宮地くんの金髪が揺れたのが視界に入り、丁度3年前が頭を過った。
彼がバスケ部といったのも関係するのかもしれないが、過った彼の姿を頭で振りながら自己紹介に意識を戻した。
自分の番になり、席を立つ。

「八色 香織です。帝光中学出身。まだ部活は決めてません。よろしくお願いします」

ペコリと頭を下げて座ると、パチリとあの宮地くんと目があった。
なんだろうと首を傾げると、慌てたように前を向いた。どうかしたんだろう、と思いながらも自己紹介は終わり、学校の話を聞いていたのか主に母親たちが教室へと入ってきた。
高校でも親は来るもんなんだ、思いながら後ろに意識を向けると母がにこにこと手を振ってきた。
恥ずかしいから、やめてよ!
そんなことを思いながら、先生が最後の〆の挨拶をした。

「これから3年間、皆さん高校生活を充実させて下さい。明日からよろしくお願いします」

拍手と共に号令が掛かり、挨拶をして終わった。
笑顔の母が近づいて口を開いた。

「さあ、写真撮って帰りましょうね」

「えー、撮らないとダメなの?」

「当たり前じゃない。お父さんとかおじいちゃんおばあちゃん、見たいのよ」

「面倒なんだけど?」

「そんなこと言わないの。ほら、校門に行きましょう」

「はいはい」

逆らっても敵う筈もないので、母に従い教室を出て校門へと向かった。
意外にも撮影してる家族がいる。

「あなたも制服姿、虹村くんに送ったらいいじゃない」

「………虹村くんの話は別にいいでしょ」

「連絡来ないからって拗ねないの」

母の言葉にカチンとしながら、並んでる人に頼んでデジカメと携帯で撮ってもらった。
ありがとうございます。と母がお礼を言って、校門から出る。

「私立 秀徳高等学校」

門に掲げられた文字を見つめた。
明日から、ここに通うんだ……としみじみ思っていると、ヒラリと薄桃色の花が頬に触れた。
咲き誇る桜が、入学式を彩っていた、春の日であった。



01/終


-3-

Beautiful Would top