03

黒子のバスケ

「あ、…」

ふわりと飛んできた薄桃色の花弁を掌で受け止めた。
キャッチ出来たらなにかあった様な、そんな気もしたがなんだったか分からない。
そっと掌を見てみると花弁が見えた。掴まえたからといってどうということはない。

「おーい、八色」

「宮地くん。おはよう」

「おう、何やってんだ?こんなトコで」

「桜、掴まえてた」

先程、手にした花弁を指で摘まんで見せれば、だからなんだといったばかりに顔をしかめられた。
そんな仕草がどことなく、彼に似ている気がしたのはこれで何回目だろうか。

「つーか、クラス替え見てきたのかよ」

「ううん。今、来た所だから。宮地くんは?」

「あー、なんか同じクラスだった」

「は?」

「俺とお前、同じクラスだっつーの」

「え、マジで?」

「おー……なんだよ、なんか文句あんのかよ?」

ジロリと睨み付けられ、香織は肩を竦めた。

「何も言ってないでしょうが。そっか、同じクラスね。今年もよろしくね」

「………っあぁ」

ぶっきらぼうに返事をした宮地くんはスタスタと歩いて行ってしまった。耳が赤かったのは気のせい、であって欲しい。
去年、秀徳に入学してから最初の席替えで宮地くんとは前後になった。それから色々会話をするようになって、今では軽口をいい合える仲になった。
初めて話した時はそれほどではなかったが、彼は口が大層悪い。女の子の前でそれはどうかという発言をする。
怖い、怖い。
それでも、それが懐かしいとさえ感じるのは私がまだ彼を忘れられずにいるからなのだろう。

「行かねぇのか、教室」

「ん、今行くよ」

振り向いて声を掛けてくれる宮地に香織は頷いて、彼の後を追った。
教室に入ると何人か知った顔もいたし、友人も何人かいた。

「おはよー、香織。同じクラスだねー」

「おはよう。今年もよろしくね、麻奈巳ちゃん」

「ぐふふ」

手を合わせて話していると目の前の彼女が変な笑い方をし始めた。あー、またか…。

「宮地と朝から仲良く来るなんて、春休みの間に何かあったの?」

「無いよ、何も」

「えー、誤魔化さなくたっていいじゃん!」

「誤魔化してなんかないって。修了式以来会ってなかったよ?」

春休みはもっぱらバイトに明け暮れていたし。と言えば、つまんなーい!と口を尖らせる彼女に肩を竦めるしかなかった。

「そういやさ!午後は入学式じゃん!格好いい1年生いるかなぁ〜」

「麻奈巳ちゃん、年上が好みじゃなかった?」

「格好良ければ、年なんて関係ないのー」

「はいはい」

スクバを机に置き、スマホ画面を見る。特に変わりはない。毎日、何回も気にしてしまう癖になりつつ動作に我ながら苦笑いしか出来ない。

あいつ、何してるんだろ……。

そんな事を思いながら、窓の外を見ると去年と同じように綺麗な青空に桜の色が美しかった。


To be Continued
act.3
2016/09/22


-5-

Beautiful Would top