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第2試合、ダブルス2は桃城くんと海堂くんだった。
相手はなんとお笑いダブルスとかで試合開始から周りを笑わせながらも、ゲームを取られていく。
国光が少し笑いそうになっているのが目に入りつつ、座ったままの不二の隣にいた。
試合は何故か桃城くんが覆面を持っていて、それを被りつつ巻き返していくが相手のペースでずるずるだった。
しかし桃城くんの作戦が功を期したのか、試合は7‐6で1勝1敗。
そして、シングルス2の試合に彩香は見るのが耐え切れず、手塚の腕に泣きながらしがみついていた。
ダッシュ波動球を打つ河村に対し、相手の波動球は百八式まであるという。
吹き飛ばされる河村くんを見るのがとても辛かった。
それでも試合を止めないでくれ、という彼に誰もが驚いていた。
血だらけになっていくのに何度も何度も挑む彼は、日本一のパワー選手になる為ここに来たのだと誰かが言っていた。
彼の姿に会場にいた人たちが、拍手を送る。
「…………河村、くん?」
「…か………………河村先輩?」
『燃え尽きるぜぇぇぇぇぇ!!! バーニング!!』
ぐらつきながら、もう限界なんだろう最期の波動球を打ったそれは相手のラケットを弾いた。そして、その威力は相手の腕を骨折させていた。
結果──
〈四天宝寺中 石田 銀の棄権により、勝者…………青春学園 河村 隆!!〉
河村の勝利になった。
皆が喜ぶなか、手塚は礼を言った。
「河村……お前が居てくれて本当に良かった。部長として礼を言うぞ」
その言葉に涙ぐむ彼にポンと肩に手を置いた。
「河村くん……早く病院へ…」
「うん、そうだね……俺の分も応援よろしくね…」
「うんっ! 試合、お疲れ様!」
そして、いつの間にか来ていた河村の父に連れられて急ぎ病院へと向かっていった。
「国光……負けたら承知しないから」
「あぁ、もちろんだ。勝ちに行くぞ!」
次のダブルス1は予想外な組み合わせでもあった。
手塚・乾のペアに対し、財前・千歳ペア。しかし、実際は手塚vs千歳の変則シングルスマッチ。
同時に『百錬自得の極み』と『才気換発の極み』の一騎討ちになった。
無我の奥を極めた2人の究極の戦いが始まった。
2人のラリーは打球が見えないほど凄かったが、手塚は『才気換発の極み』の絶対予告を打ち破った。
それは、手塚が一度に2つの扉を開けた結果だった。
試合は6‐1で勝利、結果3勝1敗で青学の決勝進出が決まった。
「おめでとう、みんな!」
そう言うとみんな嬉しそうに笑って整列した。
挨拶した後、国光が先程戦った人と会話をしているが、なぜか頭を下げられている。
「あり…ワイは?」
不意に声が聞こえて来て、皆がそちらを向けばラケットを斜めに肩掛けしている少年がいた。
「ワイ、まだ越前と戦ってへんでぇ」
その言葉にリョーマは舌を出して、ヒョイヒョイと手を振った。
四天宝寺の方々が試合は終わり、負けたのだと言っても「嫌だ」と駄々をこねた。
「え、越前っ! 明日は決勝だ! 無意味な試合でケガでもしたら…」
「うぃーっス」
「あー待ちや! 逃げるんかぁ、やろう、なっなっ!」
誰かが来年までの辛抱だと言うがそれでも聞かずにいた時、一球だけでもしてやれよ。と第三者が入った。
懇願されたからかは分からないが、リョーマは引き受けた。
「別に……1球だけならいいけど」
「! 越前、おおきにっ!!」
「越前っ!?」
何故かシングルス1の1球勝負をやるハメになっていた。
いきなりツイストサーブを打つも、相手はすごい動きをして返してくる。
それにリョーマは『無我の境地』で返していく。
1球勝負と言いつつ、激しい攻防は続いた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お、おい……いつまで続くんだ、このラリー」
「1球勝負だろ……コレ?」
開始してから40分も過ぎている。1球勝負がこんなに掛かるなんて。
「運命的にお互い何か感じ取ったんだろうね。絶対この相手には負けられない……」
「たとえ 1球勝負でも」
「……国光」
その時、リョーマの体力がガクンと落ちた。
「! まずい! おチビの奴にとうとう無我の副作用が!?」
四天宝寺の監督が止めるが、相手はぐるぐると回っていた。
「あれはワシの百八式より危険だぁ──!!」
『超ウルトラグレードデリシャス大車輪山嵐!!』
「みんな伏せや──っ!!」
「彩香っ!」「倉橋さんっ!!」
「っ!?」
伏せろという声と共に手塚が右隣から庇うように抱きしめられ、反対側から不二に抱きしめられていた。
激しい音とともにモクモクと砂ぼこりが舞い上がった。
それが晴れるのを待ちながら、コートを見ると、ボールは半分に割れ互いのコートに落ちていた。
「ボ、ボールが真っ二つに…両者、引き分けだぁ!!」
ワァァァっと歓声が上がり、その光景を見ながら、彩香は呟いた。
「あの瞬間、いったい何があったの…?」
「大丈夫か? 彩香」
「う、うん。ありがとう、国光……不二くん」
みんなが興奮している中、肩から手を離した不二が魅入られるようにコート上の二人を見ていた。
「あれが無我の奥の究極の扉…『天衣無縫の極み』なのかい?」
「……」
「(……不二くん?)」
その双眸はとても興味深く愉しそうに見えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「本当にいいのかい?」
「うん。食べて帰ると遅くなるし、お祖母ちゃんが待ってるから」
焼き肉を食べに行くという誘いを断ると、菊丸くんは「えぇーっ!」と少々不満げでいた。
「また今度誘ってね」
「ちぇー」
ブーブー言う彼らに謝ると「次は絶対ね」と約束させられた。
「次は3日後なんだね」
手塚に近寄り確認すると頷かれた。
「ああ、会場の都合上3日後に延びた」
「そっか……。次で終わりだね」
「あぁ……お前の学校には悪いが勝たせてもらうぞ」
少し困ったように話ながらも、目はそんな風ではなかった。
「大丈夫。私は立海大の生徒だけど、青学(こちら)側に思いがあるよ」
「…………」
「全国制覇、楽しみにしているよ」
「ああ「油断せずにいこう」」
いつもの言葉を2人で言うと小さく笑った。
「気をつけて帰れよ」
「国光も食べ過ぎに気をつけてね」
そう言って、彼らと彩香は別れたのだった。
焼き肉屋で起きたことを手塚はつくづく、彩香がいなくてよかったと思ったのだった。
次の試合は決勝。
因縁の対決になるのだった。
To be Continued
あとがき
いつもより短くなりました。しかもこれまた適当。
書きたかったシーンは手塚がヒロインを砂ぼこりから庇うシーン。
それだけ(苦笑)
焼き肉の話はいたら大変なので止めました。他校との絡みがキツいので。
2009/08/26