叔母と国光
「国光〜、彩音から電話よ〜」
母の呼び声に国光は首を傾げた。
(…叔母さんから? 彩香に何かあったのか?)
疑問を抱きながら階下へと行くと母が受話器を持って待っていた。
「聞きたいことがあるそうよ」
「そうですか。……もしもし、お電話代わりました」
『もしもし、国光?』
「はい、どうかしたのですか?」
やや弾んでいる声に先ほどとは違う疑問を抱き、応えた。
『んふふ〜、聞きたい事があって。幸村くんって子知ってる?』
「幸村ですか? 立海に通う幸村 精市であれば知ってますが」
『あら、知ってるのね! 幸村 精市くんって言うんだ。ねね、どんな子かしら?』
「? 幸村のことならば彩香に聞けば、確か同じクラスだったかと思います」
『だめよ。恥ずかしがって答えてくれなくて』
「恥ずかしがって?」
『そう、だって今日初デートだったみたいよ』
「初デート……?」
そう呟いた瞬間、ガシッと肩を掴まれた。振り向けばそこには凄い顔で立っているお祖父さんの姿。
「彩香ちゃんが初デートとはどういう事だっ!」
見れば母さんに父さんの姿もある。
「……お祖父さん…」
『あら、なんだか手塚のお祖父様まで気になっているのねぇ』
耳元で叔母の声を聞いていると彩香はつくづく愛されているのだと思う。
「国光、彩音さんに代わりなさい」
祖父は受話器を寄越せと手を差し出し、電話を代わった。
なにやら頷きながら話を聞いている。
「彩香に彼氏が出来たの?」
「あ、彩香ちゃんに彼氏?……ん、でも、まぁ、彩香ちゃん可愛いからいてもおかしくはないけど…」
まぁ、といった感じで聞いてくる母と、驚く父の姿に小さくため息をついた。
しかし幸村とデートとは……多分先日の文化祭でのアレのことだろうと思うが、楽しそうという叔母の言葉に国光はなんとも言えない気持ちになった。
まだ付き合っている訳ではないと知りつつも、ほんの少しだけ寂しいと思えた。
END
あとがき
こんな会話(笑)