青空に溶けるような微笑み

テニスの王子様

※こちらは連載中の『青空』の未来編です。



朝練を終え、部室で着替えていると赤也が声をあげた。

「幸村先輩、倉橋先輩が来てるっスよ。あと楓先パ…」

楓先輩も。とまで言おうとした赤也の言葉を聞かずに精市は凄い早さで(ネクタイを締めずに)部室から出ていった。
なにやら面白そうなので、他の奴らも着替えて外へと出た。
部室の前には倉橋と沢渡、紫もいた。精市はというとニコニコしながら倉橋にネクタイを締めてもらっており、沢渡と紫が掴みかかろうかという感じだった。
それらはジャッカルと仁王が抑えている。

「はい、出来たよ。精市くん」

「フフ、ありがとう。彩香にやってもらうと今日も1日引き締まるよ」

「そんなことないよ」

ニコニコと端目からみれば、とんだイチャイチャカップルだ。

「ところで朝からこちらに来るとは珍しいな」

「あ、おはよう。柳くん」

「ああ、おはよう。精市、足を踏むな」

「フフ、俺と彩香の間に入ろうだなんていい度胸だよね、蓮二」

「そんなつもりはない」

そんな会話をしていると彩香はニコニコと微笑を浮かべていた。
いつも以上の笑みになにかいいことがあったようだ。
少し顔を赤らめて興奮しているようだが……

「で、彩香どうかしたの? 朝から君に会えるのは嬉しいんだけど」

「うん、精市くん。あのね、あのね…」

「そんなに興奮しないで、ゆっくりでいいよ」

落ち着かせるように話す精市だったが、珍しいのか嬉しそうに笑っている。

「赤ちゃんが出来たの」

「…………え」

((((……………はい?))))

倉橋の重大発言に皆が固まった。
固まった精市が目に入らないのか倉橋は嬉しそうに話していく。

「もう嬉しくって! 来年生まれるんだけど……男の子かな女の子かな〜楽しみ!」

「……え、と、彩香…」

「うん、どうしたの? 精市くん」

「いや、あ、あの…「たるんどるっ!」」

精市が倉橋に詳しい話を聞こうとして、弦一郎の怒号が飛んだ。
それと同時に沢渡と紫が精市に掴みかかる。

「幸村っ、アンタねぇーっ!」

「なに呆然としてんのよっ!」

「精市、貴様は学生だということを自覚しておるのかっ! こ、こここ子供などと! 倉橋も何を喜んでおるのだ、恥をしれ!」

弦一郎が倉橋を怒鳴ると、きょとんとしていた彼女は喜び溢れる笑顔を悲しげな顔にした。

「……どうして?」

「どうしてだと!? そんなことも分からんのか「真田」……ゆ、幸村?」

顔を真っ赤にして怒鳴っていた弦一郎の顔が、低く冷たい声に怯えた。

「なに、彩香に怒鳴っているんだい? お前はそんなに偉いのかな? とりあえず、ちょっと黙っててもらえるかな」

「……う、うぐ…」

どうやら五感を奪われたようだが、俺たちは精市の行動が気になった。
精市は困ったような顔をしている倉橋の頬を撫で、彼女を抱きしめた。

「せ、精市くん!?」

「彩香──俺と結婚しよう」

「へ?」

「俺、学校辞めて働くよ。彩香と子供のために!」

精市は真っ直ぐ倉橋を見つめて、宣言した。


「「「「はぁー!?」」」」

周りは騒然としていくなか、言われた倉橋本人は先ほどとは違くなり、動揺していた。ボンッと顔を真っ赤にしている。

「せ、精市くん、何を言って……」

「だから子供が出来たんだったら、俺が責任をもって君と子供を守るよ」

「ち、違うよ! 子供が出来たのはお母さんだよ!」

「「「「「…………は?」」」」」

「だ、だから赤ちゃんが出来たのはうちのお母さんで、私に弟か妹が出来るの……」

「な、なんだよぃ! てっきり幸村くんが失敗したんだと」

「お、おい! ブン太…」

「って、ジャッカルが」

「俺かよ!?」

「違っ、やだ! ごめんなさい。紛らわしかったね!」

手で両頬を押さえ、恥ずかしがる倉橋はなんとも愛くるしい感じがする。

「もう! 彩香ったらちゃんと言ってよ〜、焦った〜」

「そうよ、あーびっくりした……」

「倉橋さんの両親……若いのぅ…」

「仁王くん、そのような言い方は失礼ですよ」

沢渡と紫はホッと胸を撫で下ろし、仁王と柳生も話しているなか、俺は倉橋に近づいた。

「まぁ、なにはともあれ、おめでとう」

「! ありがとう! 柳くん」

「倉橋先輩ならいいお姉さんになりそうっスよね!」

「あーかーやー? 私もいいお姉さんよねぇ〜」

「げぇ! なに言って……いや、はい!いいお姉様です!」

わいわい騒がしいなか、黙ったままの精市が倉橋に近づいた。

「彩香……」

「精市くん?」

「さっきは驚いたけど、今さっき言った事は本気だからね。何年かしたら、結婚しようね」

クスリ、と笑い精市は倉橋の頬に約束とばかりにキスをした。
真っ赤になる倉橋、それを見た幸村に掴みかかる沢渡と紫、それを止めるジャッカルと仁王、真っ赤になる弦一郎、ニヤニヤ笑う丸井と赤也、俺と柳生は笑い、当の精市はというとペロッと舌を出して笑っていた。
こんな風に微笑ましい光景に和む。
空を見上げれば、蒼く澄んだ空に笑い声が昇っていく。



青空に溶けるような








END


あとがき

『青空』の未来編といったところでしょうか。
こんな感じでイチャイチャ仲良くなるヒロインと幸村です。
またしても意味不明ですね、すみません。

感想頂けたら幸いです。

2010/12/30


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