休息

GUNDAM SEED

「うっひぃ〜〜疲れた〜」


ストライクの整備をキラに手伝ってもらいながらも時間がかかりすぎ、ムウは体を伸ばしながら部屋に戻ろうとして、通路を移動していた。
食堂の前を通ろうとした時、見覚えのある栗色の髪が目に入った。


「ん?」


足を止め、食堂に入ると彼女――マリューがいた。


「マリュー…? 寝てんのかよ〜」


どうしたのかと思い声を掛けたが、心地よいのか寝息を立てて起きる気配がない。


「不用心だなぁ〜俺じゃないヤツが通りかかったらどうするんだ? マーリュ? こんな所で寝てると風邪ひくぞ〜?」


頬を軽く叩いても、一向に起きる気配のないマリューを見て、ムウはほとほと困った。


「……えーっと、このままにしとくのもなんだし…」


何か考えるように額に指を立てると、自分の上着を脱いでマリューに掛けてやり自分も隣に座った。


「色々、忙しかったもんな…マリューも」


そういって肩を抱き寄せ、額に軽くキスをしてムウは瞳を閉じた。


「おやすみ、マリュー」



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



心地良い温もりと重さにまどろんでいたマリューだったが、ガヤガヤと少し騒がしい中うっすらと目を開けた。声が聞こえてきた。


『キラ、起こせよ!!』

『やだよ、ムウさんに何言われるか』

『だって、このままじゃ…』

『じゃ、私が起こしてやるよ』

『待って、カガリ』

『じゃあ、起きるまで待つのか?』


何を騒いでいるのだろうと、マリューは目を擦りながら体を起こした。


「「「あっ…」」」

「ごめんなさい、私寝ちゃったみた……い!?」


マリューがびっくりしたのは、食堂にはキラ達以外にもクルー、整備班らまで取り囲んでいたからだった。


「?????」


驚き焦るマリューを手助けしたのはキラだった。


「マリューさん、えーっと…横、隣見て下さい」

「…隣?……っ!?」


キラに言われ、隣を見てマリューは驚愕した。


「ム、ムウ!? な、ななな、何で!?」


そう、そこには、ムウの顔があった。マリューとの間は5cmも離れていなく密着に近い状態だった。
マリューは真っ赤になり、周りを見渡した。それにみんなは一斉に視線をそらす。
そして、ざわめきで目が覚めたのかムウは目を擦り起きた。



「…ん……なんだ…? あっ、マリュー、おはよ♪」


横にいるマリューを抱き寄せると周りの目などもろともせずにチュッと音を鳴らして頬にキスをした。
された方も見ていた方も一瞬、何が起こったのか、と思った後マリューは頬に手を当て、ムウの顔を見た。
ん?と幸せそうに笑う顔があり、マリューはみるみるうちに真っ赤になった。


「〜〜〜ひ、人前で何するんですかぁぁ〜!!」


―ばっちーん!!!!


「「おおおぉぉぉ」」


見事な平手打ちをかまされたあげく、ドンッ!と突き飛ばされた。
周りのギャラリーは歓声をあげ、マリューは恥ずかしそうに食堂から出ていった。
ひっぱたかれたムウは、一瞬放心したのか訳がわからない状態になったが、周りを見渡すとギャラリーの壁だった。


「あらら…こら、怒るわな」


ポリポリと頬を掻き自分で言葉に出して納得した。


「当たり前ですよ。ムウさん」

「おう、キラもいたのか。サンキュ」


差し出された手に捕まりムウは起き上がった。


「いったい、なんで二人してこんな所で寝てるんだ?」


カガリが呆れた様に聞くとムウが口を開いて説明した。


「いやさぁ〜……」



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



(見られたっ! 見られたっ!! 見られたっ!!! あ――、ムウのバカぁ〜!!!!」


マリューは心の中で叫びつつ、食堂を出て展望デッキに向かった。
仮にも自分は、この艦の艦長であるにも関わらず一度ならずも二度も艦のクルーにキスシーンを見られてしまった。


「……だいたい、なんで隣で寝てるのよ……」


ぶつぶつ言うマリューは、ふと自分がもう一枚軍服を羽織っている事に気付いた。
それに手を触れてみて誰のか察しがついた。



「………これって…」

「そ、俺の」


急に背後から声を掛けられマリューは慌てて振り向いた。


「ムウ!」

「さっきは、強烈な一撃どーも。マリューさん♪」

「あ、あのっ…ごめん…痛かった?……これ…」


マリューは、アンダーシャツ一枚のムウに軍服を謝りながら返した。


「うん、痛かった。……けど、俺の方も悪かったし、いいよ」

「…えっ……?」


マリューはきょとんした瞳でムウを見上げた。


「人前でキスしちゃってさ。オーブの時だって見られたしさ…なによりマリューは人前でされるのイヤだろ? だから今回は俺が悪い。なっ?」

「でも……そ、そういえば、なっ、なんで隣にいたの?」

「あ〜、整備終わって部屋に戻ろうとしたら寝てるマリュー見つけてさ、風邪引くぜ。って起こそうとしたんだが起きなくて、だからコレ掛けて俺も隣に座ってたら眠ったみたい」


ムウの説明が終わると、マリューは顔を赤く染めた。
元を辿れば自分が不用意にうたた寝してしまったせいだ。


「す、すいませんでした!!」

「いや、こちらこそ…仲直りの握手でもするか?」


ムウはそう言って手を差し出した。その手を見ながらマリューは苦笑した。握手って。それに喧嘩した訳ではないのだが。


「仲直りって……そうですね。じゃ」


マリューも手を出して握手すると、今度はマリューから手をひっぱりチュッとムウにキスをした。


「マ、マリュー!?」

「さっきの仕返しです。ふふっ♪」


珍しくうろたえるムウに仕返しとばかりに、マリューはにっこり笑ってやや顔を赤くしたムウをみた。


「あっ、そろそろ交代の時間なので行きますね」

「…あっ、待ってくれよ。マリュ〜〜」


二人は展望デッキから出ていった。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「恥ずかしいも何も色んなトコでいちゃついてると思うんだけど…」

「まぁね…でも、ムウさんが顔赤くしたの初めて見たよ、僕」

「そういや、私も見た事ないな…マリューさんぐらいだろうな。フラガを動揺させられるのは」

「ホント、そうだね。」


ひそかに少年少女達はしっかり出歯亀をしていたのであった。




END



あとがき

なんの話なんだか…まぁバカップルの話です。
たぶん書きたかったのは居眠りマリュさんに軍服を掛けてあげるムウ。だったのでしょう…
時間的にエターナルはまだ来てなくメンデルに向かう途中の挿話チックと申しますか…(何言ってんだよ?アタシ)
こんな話読んで下さってありがとうございました。

初槁:2004/01/25
改稿:2007/07/02


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