想い
長かった査問会が終わろうとして、皆が席を立とうとした時
「ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジルール中尉、フレイ・アルスター二等兵、この3名には、転属命令が出ている。明朝08:00、人事局へ出頭するように
―――以上だ」
それを聞いたノイマンは、一瞬体が固まった気がした。
(…――転属!?バジルール中尉が!?)
「どうしたんです?ノイマンさん」
トノムラが立ったまま動こうとしないノイマンの肩に手を触れた。
「…い、いや……別に」
そう言うとノイマンは、ブリーフィングルームから出て皆と一緒にAAに戻ろうとした。
途中、トノムラが口を開く
「…なんだってこんな時に少佐や中尉が転属なんでしょうね」
「…あぁ……あまりに急な事でびっくりするよな…」
歩きながら、ノイマンは相槌を打った。
トノムラは、やれやれと嘆じながら
「これから、俺たちどこに配備されるんでしょうね…せっかくアラスカに来たのに…査問会の様子だといい印象は受けませんでしたよ」
「…お前も感じたか?違和感を」
ノイマンは、トノムラの言葉を聞き自分もそう感じた事を思った。
「ハイ。なんていうか…白々しい感じが…」
「あぁ、そうだな…」
そう二人話し合いをして、各部屋に戻った。
ノイマンは、自室でシャワーを浴びると今日の査問会を思い出し
サザーランド大佐の言葉をまた思い出した。
『――ナタル・バジルール中尉―――転属命令が出ている。』
「…転、属……か…」
シャワーで欠き消されるような呟きをもらすと
タオルで体を拭きながらシャワールームを出た。
(……俺は、さっきからこんなにもバジルール中尉が気になるんだろう…?)
「……まさか…好きとか…?ハハハ…まさかな…」
自分自身に問い掛け、首を振るも何故か手が震えてるのに気付く。
(そんなコト…あのバジルール中尉だぞ!?)
落ち着け、俺!!と言わんばかりにドリンクを飲み干す。
ふと、ドリンクを見てナタルの女らしさを垣間見た時の事を思い出した。
あれは敵の勢力圏にAAが降りた時だ。
『船穀の歪みのデータは出たか?』
そう言って俺にドリンクを手渡してくれた。
俺はそれを受け取り、ついいつもの習慣でドリンクを離したんだっけ…
『いつまでも無重力気分では困るな、少尉』
『す、すいません』
落ちたドリンクをバジルール中尉は拾ってくれたのだ。
初めて、この人を女らしいと思った瞬間だった気がする。
それまでは、有能だが軍規に厳しく融通のきかない人物だと思っていたからだ。
ノイマンは、今自分が誰を想っているのか急速に解り始めた。
「……今頃になって…気付くなんて…////」
ドリンクを持ったままその場にしゃがみ込む。
ぼやけていた視界が澄み渡った様にはっきりとした。
(…俺は…バジルール中尉が好きなんだ……
だが明日にはこの艦から去ってしまう……)
そう思った瞬間、ノイマンは立ち上がり軍服を着直すと部屋から飛び出した。
まずはブリッジを覗いてみた待機状態なので人も少なく、ナタルがいないのを確かめると踵すを返した。
(……部屋…か…?)
そう思いえがきながら、通路を歩いていく。
―探してどうする?
と冷静なもう一人の自分が問い掛けるが
『会いたい』
という気持ちが悠かに大きかった。
バジルール中尉の部屋の近くまで来た時、不意にナタル本人が部屋から出てきた。
「…バジルール中尉」
名前を呼ばれ、ナタルは振り向いた。
「どうした?何かあったのか、ノイマン少尉」
荷物をまとめていたのだろうか、余分なモノを捨てようと箱を持っていた。
「いえ……捨てるのですか?お手伝いいたします」
ノイマンはナタルに駆け寄り箱を受け取った。
「すまないな」
そんなナタルの顔を見て、ノイマンはおもむろに口を開けた。
「あ、あのっ…バジルール中尉……」
「ん?なんだ」
ナタルはノイマンを見つめた。
ノイマンは、思考がうまく働いてない気がした。
(…俺は何を言う気なんだ?告白でもするのか…?)
自分の事なのに、どこか他人事のように感じていた、その時ナタルが口を開いた。
「この艦とも、明日でさよならだ…私も少佐もいなくなるが、……ノイマン少尉、AAを頼んだぞ。艦長を皆で助けてやってくれ…」
「バジルール中尉……」
ノイマンはナタルを見つめた。
「お前達には感謝をしている。
たったあれだけの陣営でヘリオポリスからアラスカまでの長い道のりを来れたのだからな…」
そう語るナタルの表情は、やや寂しげだった。
「いえ、それをいえばバジルール中尉こそ、見事な戦闘指揮でした。艦長と中尉がいて、皆がいたからこそアラスカに入る事ができたと思います」
「……ありがとう」
ナタルは、ノイマンの肩にポンと手をおいた。
ノイマンは、顔をあげて尋ねた。
「……バジルール中尉…また、会えるでしょうか?」
「少尉?……あぁ、きっとどこかで会えるさ」
「……その時、話したい事がありますので聞いて下さいますか?」
ナタルは、一瞬きょとんとしたがフッと笑うと
「…あぁ、いいだろう」
と呟いた。
翌朝、ナタルはフレイを引っ張りながら皆の敬礼を受けハッチへ向かっていった。
(また、どこかで会えたら…)
今度こそ、自分の気持ちを伝えようと思い、ノイマンはナタルを見送った。
これから、先どのような運命に遭うとも知らずに…
END
あとがき
何を書いているのでしょう…今回の主役はノイマンさんでした。
なんとなく…ノイマンの告白話を書きたくなり(告白してないが)できましたのがコレ。
まず、ナタルがAAから去る事がきっかけとなりノイマン、自分の気持ちに気付くが、伝えなかった理由はナタルは、明日にはいなくなるのに伝えたら、ナタル
が戸惑うからそれを考えてしまったからなんです(たぶん)
でも、ナタルはノイマン達には感謝してます。頑張って自分の指示に従ってくれたので。
何を言いたいのかさっぱり解らない話を読んで下さってありがとうございました
'04/1/28
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