僕とあなたの差
「…よっ…と」
ふと見ると栗色の髪の女性が脚立に登ってるのをドアの隙間からキラは見かけた。
そっとドアを開け、その人物に話し掛けた。
「マリューさん?何して…」
「あら、キラくん」
ふわりと肩までの柔らかそうな髪を翻し、振り向いた女性はキラが姉のように慕っているマリュー・ラミアスだった。
マリューは脚立の上に立ち、電球を片手に口を開いた。
「ちょっと電球が切れたみたいだから、替えようと思ってね」
ふと見ると今外されたばかりの電球がマリューの手の中にあった。
「…言ってくれたら僕が替えますのに」
「ふふっ、この位平気よ。あ、じゃあ、そこの替えのを取ってもらえるかしら?」
「え、あ…これですね」
テーブルの上に置かれた真新しい電球を持ち、マリューに渡した。
「ありがとう、キラくん」
マリューは微笑み、キュッキュッと新しい電球を入れていく。
その時、ぐらぐらと少し揺れる脚立を見てキラは慌てて足場を支えた。
「…あら、また助かったわ。ありがとう、キラくん」
キラは下からマリューを見上げた。
日に透ける栗色の髪はとても柔らかそうで、ふんわりと揺れていた。
整った顔は、とてもキレイで目をみはる体付きをしている。
…これでコーディネーターじゃないんだよな。
マリューさんて。
つくづくナチュラルとしては、コーディネーターに優るとも劣らない出立ちだった。
もちろん、キラにしてみればナチュラルとかコーディネーターなんて二の次であったし、このマリューにしてみれば気にするようでもなかった。
ただ、僕を人として扱ってくれる人のひとり。
ラクスやカガリ、近しい人とは違うけれど
そうではない何かがキラの中にあった。
母親ではないが、温かく僕を見守ってくれている人。
そう──姉のような人だ。
実際に姉はいるのだが、如何せん『双子』である以上『姉』とか『弟』とか関係ないような気がする。
それをカガリが聞いたら『私が姉に決まっている』などと怒るのだろうが…
それに『姉』というのをイメージするならば、やはり──
「……あら…」
そんなことを思っていると、上から声が発せられた。
キラは不思議そうに彼女を見上げた。
「どうかしたんですか?」
「うーん…真ん中の電球がね…私じゃ手が届かないみたい…」
よく見るとシャンデリア風の電気は5個あるが中心の1つが一番高くにあるらしくて、さすがのマリューでも届かない。
「…あ、僕がやりましょうか」
「え、でも…」
「大丈夫ですよ」
「そぅお?」
マリューはそういうと脚立から降りた。
キラはひょいと脚立に上がると、マリューから電球を受け取った。
先程、マリューの手が届かなかった場所に手を伸ばしクルクルと電球を回していった。
「はい、出来ました」
「ありがとう、キラくん」
トンッと脚立から降り、横に立つキラをマリューはジッと見た。
視線を感じたのか、キラはびっくりした。
「あ…の…なんですか?」
マリューはニコッと笑うとふわりと手が伸ばし、キラの頭を撫でた。
「うふふ、この2年の間にキラくん背が伸びたのね」
確かに成長期なのだが、何時の間に背が伸びたのだろう。
ついこの前までは、自分はこの人をやや見上げていたような気がするのだが
同じ視線、もしくはやや見下ろしていることに言われて気がついた。
「そういえば、そうですね」
「ふふっ、やっぱり男の子ね」
にっこり笑うマリューの顔が近くに感じ、キラは少し赤くなった。
「……っ、マ、マリューさん…撫でないで下さい…」
未だ頭を撫でられていたことに気付き、キラはますます赤くなる。
その様子を見て、マリューは楽しそうに手に力を入れぐりぐりと頭を撫で回した。
「なーに、赤くなってるのよ。こっちが照れちゃうわ」
少し赤らんだマリューを見て、キラは優しいこの人が笑ってくれたことに、何か微笑んでしまった。
僕達は笑うことが出来るのだ。
それはまだ『戦い』が始まる前のことだった。
END
あとがき
なんだが初の「キラマリュ』っぽいのが出来ました。
『身長差』というネタが好きで思い切ってマリュさんとキラで書いてみました。
WEB拍手で使用いたしました。
しかし、DESTINYの公式PROFILEをみたら
マリュさんとキラって同じ身長でした…\(゚口゚\)(/゚口゚)/
サイトUP:2006/9/9
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