プロポーズ?

GUNDAM SEED

「なぁ、艦長……俺と結婚しない?」

突然放たれた言葉にマリューはもちろん、ブリッジにいたクルーは目を丸くした。

「あ、あの?……誰と誰が、ですか?」

マリューは怪訝そうに尋ねると、ムウはごく当たり前かの様に返事をした。

「俺と、艦長が。」

それにはマリューは顔を赤く染めた。

「な、何を言っているんですかっ!? い、今はですねっ…」

「いや、だから〜俺と結婚しないか? って聞いているんだが…」

ムウは何の悪怯れもなく言い切ったものだから、ブリッジがしばし沈黙に陥った。
そこにおずおずと、トノムラがムウに聞いた。

「あ、あのぅ…フラガ少佐? そういう事は何もこんなトコでなくても…」

そう、今みんながいる場所はAAのブリッジであり、そして今はこれからの進路についとクルー達で考えてどのコースがいいのかと調べていたのだ。

「あ〜…そうだったな。すまん、すまん…でもまぁ、わざとだから」

ムウは頭を掻きながら、でも確信犯のようにニヤリと笑った。

「…へっ?」

皆が呆気にとられているのにも構わず、話を続けた。

「今のうちに言っておこうと思ったんだ。だーってさ、誰かに取られたら大変だからな」

はははっと笑いながらあっけらかんと話すムウに、今度はノイマンが聞き返した。

「じゃあ、わざと皆の前で、言ったんですか…?」

「ん、まぁ、そういう事だ。誰かに先こされちゃ困るだろ? そんで、どうかな?艦長」

ムウは再びマリューを見て問うた。
話の展開にぼーっとしていたマリューは、ムウの問い掛けに我に返り慌てた。

「そ、そういう事は…ココではちょっと……答えられません」

艦長席に座り、ほんの少しだけ顔を赤く染める姿にムウは、返された言葉を聞くとニヤリと笑った。

「あ〜…でも、その言い方だとダメって訳じゃないんだな」

「…えっ!?」

ぎくっとマリューの肩が揺れ、二人の会話を聞いていたクルーは「どうなるのか」とドキドキしていた。
その時、ブリッジのドアが開きナタルが入ってきた。

「? どうかしたのでありますか? なにやら騒ついておりますが…」

「バ、バジルール中尉…」

規律になにかと厳しいナタルの登場にその場にいたクルーたちは焦った。しかし、ムウは思いついたようにマリューの手を取った。

「あ〜、じゃあ艦長、今後の対策を相談しますか」

「ご苦労様です」

「えっ? あの、えっ? ちょっ…しょ、少佐!?」

うろたえるマリューをよそにムウは簡単に敬礼をした。

「じゃあ、後頼むよ。中尉」

「はっ! 了解致しました」

ムウはマリューを(無理矢理)連れてブリッジを後にした。
ブリッジに残ったクルーたちは、今後の対策とはどれの事なのか気にしていた。ただ、一人を除いて。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


数日後、ナタルは休憩室の前を通りかかると何人かが会話しているのが耳に入って来た。

「……結局、どうなったんだろうな。あの二人」

「あの時は、返事もなにもなかったし」

「だけどさ、あの後二人で出て行ったじゃん。決まったのか気になるよな」

「結婚、するのかな?」

ナタルは、クルーたちの会話を聞きながら小首を傾げた。

(……結婚? いったい、誰と誰が?)

そういう面には疎いナタルは誰の話かは、想像出来なかった。

「でもさぁ〜、びっくりしてたよな。艦長。少佐のいきなりのプロポーズ!」

「そりゃあ、誰だってびっくりするんじゃない。みんなの前で、だもん。その場で聞いていた私たちだってびっくりしたし」

「ああ、あの後、艦長なんて答えたんだろうな?」

(!? 少佐と、艦長だと!?)

出てきた言葉にナタルは驚愕した。そして、休憩室へと足を踏み入れたのだった。

「お前たち! 今の話は本当か?」

突然入って来た副艦長にクルーたちは慌てたのは言うまでもない。

「バ、バジルール中尉っ! は、はいっ!」

「その話どこで聞いた」

「せ、先日……ブリッジで少佐が――――」

クルーたちはしどろもどろになりながらも、先日ブリッジで起きた事を話したのだった。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


──パシュン

ナタルはすごい剣幕でブリッジに入ると艦長席に座していたマリューに向かった。

「艦長!」

「何? バジルール中尉」

少し勢いのある声に、マリューは振り向きながら首を傾げた。

「お聞きしたい事がございます。少しよろしいでしょうか?」

「え、えぇ…いいわよ」

マリューの返事を聞くと、今度はノイマンの隣――副操縦席に座るムウの方を向いた。

「フラガ少佐もご一緒にお願い致します」

「はっ? 俺も……? あぁ、分かった」

「ありがとうございます。少し頼むぞ、少尉」

ノイマンにブリッジを任せ、ナタルは踵すを返し、マリューとムウを連れてブリッジから退出した。
彼女の後ろ姿を見て、マリューとムウは退出しながら互いを見て、ため息を吐きたくなった。
三人はひとまず一番近い艦長室に入った。

──バンっ!

入るなり、ナタルは勢いよく机を叩いた。
ジロリと二人を見て口を開いた。

「どういう事ですか? 艦内の、しかもブリッジで……プ、プロ…プロポーズをしただなんて!!」

「い、いやぁ〜、まぁ、いいじゃないか…過ぎた事は……」

ムウがまぁまぁと両手を上げて答えると、ナタルはギッと睨みつけた。

「良くありません! しかも聞いたところによれば、ブリッジには人がいたというではありませんか!? 公衆の面前で何をしているんです! 上官がその様では、艦内の士気が下がります! くれぐれもお気をつけて頂きたいと思いますが」

「……そうね。悪かったわ。ごめんなさいね、ナタル」

ふぅ、とため息を漏らし、マリューはナタルの言葉を聞いて謝った。
ナタルは、まだ何か言い足りなさそうだったがそう素直に謝られてはなにも言えなくなった。

「「「………………」」」

しばしの沈黙があったが今度はナタルが少し照れ臭そうに、二人に質問してきた。

「…と、ところで……その…お二人は本当に結婚するおつもりなのですか?」

突然の言葉に二人は顔を見合わせた。

「え、えぇ……まぁ、いずれはそういう風になるかもしれないわね…」

「まぁ…戦争が終われば…だが」

その言葉にナタルは少し笑みを浮かべた。おもむろにに頭を下げて祝辞を述べる。

「分かりました、おめでとうございます」

「あ、ありが…」

二人がナタルからの祝福のお礼を言おうとしたが、彼女の口調が再び厳しく変わった。

「ですが、くれぐれも行動には慎重になさって下さい! 他のクルーの手前もございますから! 特にフラガ少佐!!」

きっちりと釘をさされてしまった。二人は苦笑いをして

「……えぇ、分かっているわ。バジルール中尉」

「では、失礼致します」

──パシュン

言いたい事を言って、ナタルは出ていってしまった。ムウは、閉じられた扉を見てから、頭を掻きながら微妙な笑い顔をした。

「やれやれ、参ったねぇ〜」

マリューはそんなムウを見上げ、呆れながら言った。

「元はと言えば、あなたがいけないんですよ? 少佐」

「あれ? 俺のせい?……いやぁ、早い方がいいと思ったんだけどね」

「時と場所を選ぼうとしないからですよ、はぁ〜」

マリューは笑うムウを見て、再びため息を吐いた。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


一方、ブリッジに戻ったナタルもため息まじりにボソリと呟いた。

「……あのお二人にも困ったものだ」

その呟きにそばにいたノイマンは、ナタルを見た。

「……あぁ、少佐と艦長の事ですか?」

「そうだ、全く……何を考えて」

ナタルはノイマンを見ると頷き呆れた口調で言うと、聞いていた彼は微苦笑した。

「でも、まぁ、少佐の気持ち分からなくもないですね。誰にも取られたくないという気持ちは……ハハ」

「そういうモノか」

あっさり返すナタルに対して、ノイマンは周りを気にしながら何かを決意した顔で質問した。

「ちゅ、中尉は……そ、その…結婚とかは考えていないのですか?」

「なんだ? いきなり? そうだな、親はしろ。というだろうが、相手もいないし考えた事もないな」

思わぬ質問に多少なりとナタルは驚いたが、少し考えて答えた。
その言葉にノイマンは、高鳴る胸を抑え、勇気を振り絞った。

「よ、よろしかったら、私なんてどうですか?……ふ、ふさわしくないかもしれませんが……」

さすがのナタルも今度ばかりは仰天し、横にいるノイマンを勢いよく振り返った。
しかし、見つめてくる真摯な眼差しについ顔を逸らした。
ごまかすようにゴホンと咳ばらいをした。

「少尉……そ、そんな風に考えた事はないから、その……」

こんなことには免疫がないので、なんと言えばいいのか分からず仕舞いだ。

「そ、そうですよね…す、すみません……」

がっかりと肩を落とし謝ってくるノイマンに、ナタルは再び咳ばらいをした。

「……だ、だが…まぁ、考えておいても…い、いい…」

「…ホ、ホントですかっ!?」

「…あぁ……」

始め、言葉に信じられずにいたノイマンだがナタルの耳と顔が真っ赤になっているのを見て、嬉しくなり信じることができた。



END




あとがき

この話は確か、ノイマンに言わせたい台詞があった為に書いた話。
「ふさわしくないかもしれませんが…」っていうセリフ。
おかげでどう話を作ったらいいのか悩み、ムウに手伝ってもらいました(笑)結婚したい〜ってヤツ。
おかげで、前半はムウマリュ・後半?はノイナタです。自分のなかではね(汗)
ノイマン、よかったね!頑張ったね!!といってあげたいです。
ムウは簡単に口にしてます。まぁ、彼は真面目なのか冗談なのか見極めるのが難しいですが、内心ドキドキものでした。
みんなの前でしてるあたり、本気なのか!?って思いますがね(苦笑)
マリューさんも書いてませんが、昔の恋人との事で悩んだりもしています。

しかし、ゲーム『トモキミ』でノイナタが公式(っぽい)カップルになるなんと思いもしませんでした(笑)


初槁:2003/09
改稿:2007/07/01


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