知らなかった気持ち

GUNDAM SEED

ナタルはAA艦内を歩いていた。
その途中、聞き慣れた声が聞こえてきたので足を止めた。

『………』

『………少佐っ…!!』

聞き慣れた声―それは上官のマリューの声で
倉庫の方から聞こえたのでナタルは足をむけた。

(何故、こんな所に艦長が…?)

そんな疑問を持ちつつ、つい覗いて見るとマリューともう1人の上官・ムウが抱き合っているのが目に入った。

『…マリュー…俺を焦らさないで…』

『そんなっ……今は、だって…』

『そんな風に言わないでくれ…』

『…ムウ……っや……ダメ……戻らなくちゃ…』

『…っマリュー……』

そう二人は、話していると目の前でキスが繰り広げられた。
ナタルは、いけないモノを見てしまった気がするのと同時に注意すべきなのか、見て見ぬフリをすべきなのか分からなくなってしまい、その場に佇んでいた──というよりは、足が動かずにいた。
ナタルの位置からはマリューは背を向けていたが、ムウはナタルがいる事に気付くと人差し指を立て笑った。そのままマリューを抱きしめ、深く口唇を貪った。
ムウのその行為に、ナタルはカッとなるのと同時に何故かショックを受け、その場から逃げるように立ち去った。
部屋に戻ったナタルは、何故ショックを受けたのか分からずベッドに横になった。

(…何故、私は逃げ出したのだ……?)

天井を眺め、自分自身に問いただしたが答えは出なかった……というより答えを出すのが怖い気がした。

(…ただ、艦長と少佐が……キスしていた事にびっくりしたのだ…それだけだ…)

そう自分自身に言い聞かせた。
その後、寝ようとしたがムウの顔がちらつき眠れないまま、交代時間になってしまいブリッジにあがった。

「交代の時間です」

そう言って入ると、真っ先に目に入ったのはムウだった。

「よぉ、ご苦労さん」

ナタルは少し驚きつつも冷静を保ちながら

「少佐、どうしたのですか?整備の方は……」

「あぁ、艦長と進路について話していたんだ。なぁ」

ムウは傍らのマリューに尋ねると、マリューは振り返り凛とした顔を見せる。

「ご苦労さま。ナタルも話に加わって頂戴」

「ハイ」

しかし、ナタルは返事をしつつもマリューに顔を向ける事が出来ずにいた。
どうしても目がマリューの口唇にいってしまい、モヤモヤとした感情が湧いてくる。
まるで、羨まずにはいられない感情が……。

「────それで……ナタル?どうかしたの、私に何かついてる?」

マリューの言葉にナタルは、ハッとして赤くなった。

「い、いいえ!!何でもありません。話を続けて……」

下さい。と言葉を続けようとした時、ムウと目が合ってしまい目を逸らす。ムウは微かに笑っいた。

「艦長、副長さんまだ休み足りないんじゃないか?」

「なっ……い、いえ、そんな事は……」

慌てて否定するも、マリューも頬に手を添えてナタルを見つめた。

「そうね…今日のナタルはなんだかいつもと違うわね……具合でも…」

ナタルは伸ばされてきた手をを思わず払いのけてしまった。

(しまった!!)

慌てたナタルは顔を逸らしながら口を開いた。

「…す、すみません……。なんだか体調が芳しくない様でして……少し休ませて頂いても宜しいでしょうか?」

「…え、えぇ。いいわ、ゆっくり休んで頂戴。こちらの方は今のところ大丈夫な様だし……」

ナタルが休みを欲しがるなんて、意外。と思いながらマリューは優しく言った。
何か罪悪感を持ちつつ、ナタルは頭を下げた。

「では、申し訳ございませんがお言葉に甘えさせて頂きます」

そう述べると、ブリッジを後にし自室に向かおうとしたが、後ろから声をかけられる。

「バジルール中尉」

「フラガ少佐……」

「…ちょーっと、いいかな?」

ムウは手招きをして、ナタルを呼び寄せた。

「…なんですか?」

「なんですか?って聞かれると言いにくいんだが……昨日さ、見ただろ?俺と艦長が抱き合ってるところ」

ナタルはその言葉にドキリとした。
言いにくいというわりにはきっぱりというムウを見て、視線を逸らす。

「………」

「黙っているのを見るとやっぱりか……はぁ〜マ…艦長に叱られるな………で、やっぱりコレも報告するのか? 上官が艦内で如何わしい行為をしてました。って?」

「そんな事はっ……!!」

ムウの言った事に思わず反論するも、考えてみればそうなのだ。
軍の規律を乱し……
ナタルの思考を読みとったのか、ムウは苦笑いをしている。

「……俺が言えた義理じゃないがさ、あんまりこれ以上は艦長を追い詰めるなよ。頑張っているんだし……さ」

ナタルはその言葉とムウのなんともいえない表情に、何か堪え難い気分になった。

「……少佐は…艦長がお好きなのですか?」

不意に出た言葉に、ナタルは口を覆う。
一瞬、戸惑ったムウだったが苦笑いからも口調は柔らかい。

「……うーん、放っておけないというか、そばについててやりたいって気持ちだな………まぁ、好きなのかもな…」

照れ臭そうに頭を掻いているムウの発言にナタルは、多大なショックを覚えた。

──知りたくなかった。

──聞きたくなかった。

──なんで…艦長なのだ…

思った瞬間、自分が誰に惹かれている事に気付いてしまった。

「……って、何言わせんだよ……ん?顔色悪いな、医務室行くか?」

ムウの手が肩に触れようとした時、ナタルは手を払い退けた。

「け、結構です。大丈夫ですから…」

早口でそう答えると、走り去るように背を向けて自室に向かった。
途中、休憩に入るノイマンとすれ違った。ナタルの慌ただしい様子にノイマンは声をかけた。

「中尉、どうかなされたのですか?」

「…少尉……イヤ、別に…」

「…フラガ少佐と何か?」

ノイマンの言葉にナタルは肩をビクッと揺らし、顔を見た。ノイマンは静かに笑った。

「…当たりですか?」

「何故、分かる……!?」

「分かりますよ。中尉は、多分…ご自分では気付かなかったかもしれませんが、いつも少佐を見ていましたから…」

自分自身は今気づいたというのに、周りには知られていたなんて、とナタルは顔を赤く染める。
しかし、すぐに俯くと独り言のように呟いた。

「……だが、少佐は艦長を……」

「…ハイ。」

「少佐には艦長が必要なのだ。……そして、艦長にも少佐は必要な方なんだ……私が入る隙間など…どうす──!!」

不意にナタルの口唇にノイマンが触れた。
そして、ギュッと抱きしめられる。

「貴方には、俺がいます。ずっとそばで見守らせて下さい」

「……ノイマン…」

スッと離れると、ノイマンはいつもの笑顔になり
ナタルを背中を押した。

「さぁ、具合が悪いのでしょう。お部屋にいきましょう、中尉」

背中に触れる温かなぬくもりを感じながら、ナタルは、口唇を押さえると聞こえないような声でボソリと呟いた。


「…私にはお前がいるのか……頼もしいな、ノイマン…」


その口元は、笑っていた。





END




あとがき

ムウへの気持ちに気付くナタルを書いてみました……って、なんじゃあ、こりゃ
あ〜〜Σ( ̄◇ ̄)
なんか、変な話。難しいね、ナタルって…(汗)
ムウがなんか嫌な人になってしまった感じだが、一番変なのは、ノイマン少尉(笑)キミダレ?って感じになりました。あっはっはっ(笑ごま)
まぁ、たまにはこんなのもいいかな(逃)
こんな、話読んで下さってありがとうございました

'03/11


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