愛情表現

GUNDAM SEED

「いいかー?そっちからしてくれるまで、話さないから!!」

AAの食堂で、いきなりムウはそう言い放つと立ち上がりプンプンと怒りながら出ていった。
クルーは何事かと、ムウがさっきまで座っていた席をみると、ムウとは公認の仲になったマリュー艦長が呆れ気味で頭を抱えていた。

「はぁ〜…」

丁度その場にいたキラやカガリ達は、どうしたのかと思いマリューに話かけた。

「…マリューさん、どうかしたんですか?ムウさんと…」

その言葉に頭を抱えていたマリューは、顔を上げキラ達をみると笑顔で答えた。

「…なんでもないわ。キラ君、気にしないで……騒がしくしてごめんなさいね」

立ち上がるとトレイを持って『ご馳走様』と言って食堂から出ていった。

「何かあったのかしら…?」

「さぁ、でも喧嘩したのなら早く仲直りするといいんだけど…」

「そうだな。いつまた戦闘が始まるか分からないのに…味方がな……」

アスランの言葉に、ラクスとディアッカは頷いたがキラやカガリ達は首を横に振った。

「僕らが困るコトに……」

ムウの性格を知る者はこっくりと頷いた。

「「「??」」」

とりあえず、男性チームと女性チームに分かれムウとマリューの様子を見にいく事にした。

男性チーム:キラ・アスラン・ディアッカ・サイ
女性チーム:ラクス・カガリ・ミリアリア
である。

男性チームは、ムウを探しに格納庫に来るとマードック達に教えられ探していた人は、隅っこに体育座りをして「の」の字を描きながらいじけていた。

「丁度いい時に来たなぁ〜坊主達、アレなんとかしてくれよ!!仕事やりずれったらねぇんだ!!」

キラは内心とてつもなくイヤだったが、マードックや他の整備員に頼まれ、嫌々ながらも話し掛けた。

「…あの……ムウさん、どうかしたんですか?」

「……キラ…」

「…えーっと、マリューさんとな……うわっ!?」

ムウは、キラを捕まえると涙をだ──っと流した。

(((う―わぁ――!!)))

近くにいたアスラン達だったがやや少し離れていった。

「聞いてくれよ!マリューってば…マリューってば……」

「は…はい?マ、マリューさんが…?」

グラグラと肩を揺すられながら、キラ達は次の言葉を固唾をのんで待った。

「俺にキスしてくれないんだ────!!!!」

「「「「……………はっ?」」」」

キラ達は、一瞬己の耳を疑った。
最近のムウは、公認になった事をいいことに事あるごとにマリューの傍にいて隙あらば、そりゃもう周りに人が居ようがマリューにキスをしていた。
そのことは艦の皆はもちろん、クサナギとエターナルのクルーも見知っていた。
その度、マリューに殴られているのも…。

「…え―っと、ムウさん?こう言ったらなんですが、しょっちゅうしてるじゃ──」

ないですか!と続けようとしたが、ガシッと肩を掴まれた。

「違うぞ!キラ!!俺からするのと、彼女からされるのでは違うんだ!!」

ムウは悔しがりながら続けた。

「彼女からは、された事ないんだ――!!」

床を叩いているのをよそに聞いていた人々は、はぁと溜め息を吐いた。

((((それは艦長が常識を持った方だからですよ。なんといっても通じないんだろうなぁ…この人には…)))

(((つーか、リア充爆発しろ! いや、少佐だけでも爆発しろ!)))

キラもみんなも同じ事を思いながら、どうしたものかと考えていた。
その時、側(遠巻きだが)で聞いていたアスランは分析?してムウに提案した。

「それは、フラガさんがしょっちゅうラミアス艦長にキスしているから、あちらから出来なくさせているのではないですか?」

「…アスラン?」

「あまり、フラガさんからしなければラミアス艦長だってしてくれるかも……」

アスランの提案に、キラやAAのクルー達は首を振った。

(((それはありえないよ!!)))

一同心の中で、突っ込んだ。
ムウはというと、頭を抱えてう〜〜んと唸って顔をあげた。

「でもなぁ〜顔見ちゃうといつの間にかしちゃうんだよなあ〜……って、やっぱダメか?」

ムウのその言葉に、少年達、聞いていたクルーはガックリとうなだれていた。

(もう…ダメだよね…この人)

(ホントに『エンデュミオンの鷹』と異名持つ人なのか…?)

(こんなのに…艦長を…)

(こんなのでいいのか?)

(艦長……この先、苦労しますぜ…)

などと疑惑が持ち上がったり、心配されていた。

男性チームがムウの相手をして、ぐったりしている頃、女性チームはマリューの後を追って、展望デッキのドアに張りつき様子を伺っていた。

「ほらぁ、やっぱり少佐と何かあったんだわ」

暗い宇宙を眺め、ため息を吐いているマリューを見て、ミリィが囁いた。

「そのようですわねぇ…何があったのでしょう?」

「ってか、どうせフラガのヤツがロクでもないことしたんじゃないのか?」

3人は、物陰でボショボショ話していた。

「でも、これから闘いが始まるかもしれませんのに仲がお悪いのは困りますわね」

「そうだな」

「そうよね」

3人は、よし!と決め込むと展望デッキに入り、マリューに話し掛けた。

「あ、あの…艦長…」

「あら、ミリィ、それにカガリさんにラクスさんまで……どうかしたの?」

そろそろ近寄ってきた3人の少女に優しく微笑む。
今まで張り詰めた顔ばかり見ていたミリィとカガリは、少し顔を赤くしたがいつも笑顔のラクスはニコニコと核心をつく。

「マリュー様、フラガ様と何かったのですか?」

((ラ、ラクス(さん)――!?))

「…あ、あら、そんな風に見えた?ごめんなさいね…あなた達に心配かけるなんて……」

マリューは、困った様にラクス達を見た。

「か、艦長!!一体、何があったんです!?あの少佐が艦長とケンカするなんてっ!!」

「そうだ!!何があったんだ!?」

マリューは苦笑いするしかなかった。

「ケ、ケンカって程じゃないのよ…本当に大した事じゃないのよ……ちょっと…ムウの行いが……ね…」

ああ、とミリィとカガリは何の事か分かったがあえて言わないでいると、これまたラクスが爆弾投下。

「あぁ、フラガ様がマリュー様にいつもキスなさる事ですね」

((ラ、ラクス(さん)────!!))

マリューもラクスのストレートな発言に、ゔっとなり顔を少し赤くした。

「…ゴホンっ…ま、まぁ、その事なんだけど……」

子供に話していいのか、思い悩んでいるとマリューに対し、ラクスがにこやかに声をあげた。

「話して下さいな、マリュー様。皆で考えれば何か良い解決策が出るかもしれませんわ」

その言葉に、ミリィもカガリも頷く。
参ったわね…と思ったがきっと1人で悩んでもバカらしいと考え、3人に話し出した。
話し終わった後の4人は、はぁ〜〜とため息を吐くしかなかった。

「少佐って……」

「なんつーか…バカだな」

「………バカでしょ」

「あ、ごめっ…その…」

カガリはさすがにマリューの前で、バカ呼ばわりはマズイと思いすぐ謝った。
それを察したのか、マリューは優しく笑うだけだった。

「いいのよ…バカなんだから…」

黙っていたラクスは、両手を合わせ名案とばかりにマリューに告げた。

「マリュー様からキスして見てはよろしいのでは?」

「「「へっ?」」」

ラクスの発言に3人は固まったがそれでもラクスはニコニコ笑ったまま。

「マリュー様からフラガ様に、キスなされば少しは落ち着くかもしれませんわ。そして回数を規制するように言えばよろしいですわ」

「そ、それはそうだけど…そんなに上手くいくかしら…」

それは分からないがラクスの言う事も考えようだ。
確かにムウがしょっちゅうキスしてくるのは、愛情表現。それが通じてないと思って、今回そんな事を言ったんだろう。

『マーリュ』

『止めて下さい!こんなところで!!』

『なんで?いいじゃん』

『よくありません!!手も放す!!』

『…冷たい……なぁ、キスしてよ』

『…だーかーらー……してるでしょ、いつの間にか』

『違くて、君から俺にキスしてくれてもいいんじゃない?』

『別にしなくても、してるじゃないですか…』

『俺からな。………分かった。君からキスしてくれるまで話さない事にする』

『はっ?』

『いいかー?そっちからしてくれるまで、話さないからなー!!』

はっきり言って子供だ。
愛情表現としてキスすれば少しは大人しくなるのかとマリューは思い、あとはキスを逆手に規制すれば……

「考えてみるわ…」

悩んだ末、マリューはなんとか答えたのだった。
その後、試したかどうかはナゾとしてムウの機嫌は直ったものの
愛情表現はますますヒートアップしていた。




END



あとがき

去年から今年にかけて行きつけのサイト様(閉鎖されました)にプレゼントした駄文です。第2弾です。
少し、修正したけど。
こんなバカっぷりなムウを書きたかった(笑)
体育座りをするムウとキラに抱きついて涙をだーーーっと流すムウが気に入ってます。後はラクスの無敵っぷりも☆
ってか、大の大人がチューvV位でケンカするなよ…(自分で書いといて)

'03/8


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