昨日の敵は、今日も敵
――……パパ…――
穏やかで可愛らしい声にムウは思わず振り向いた。そこには…
「…マリュー?」
そこにいたのは愛しい妻……によく似てるが違った。
緩いウェーブがかかったブラウンの髪・綺麗なコバルトブルーの瞳……
「……エリスか?」
目の前の美しい女性…いや、あどけなさを残した可愛らしい表情は、まだ少女と呼べるだろう。
その少女はいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「くすっ☆もう、パパったら…分からなかった?」
「はは……そうだなぁ……可愛いお前が分からなかったなんて……」
目の前の可愛らしい少女を見てると、知らず知らずに顔が綻ぶ。
きっと妻の自分の知らない少女の頃はこんな風だったんだろう。……だが、ムウは妙な違和感に気付いた。
「…エリス?お前…その格好は…?」
「ああ、これ?」
エリスは長い髪を綺麗に結い上げ、純白のドレスを身に纏っていた。疑問符を浮かべる父に、エリスはにっこり笑って答えた。
「パパ……今まで育ててくれてありがとう…」
「……はい?」
丁寧にお辞儀をする娘の言葉に混乱してしまう。そんなムウを尻目にエリスは話を続けた。
「私もパパとママのような家庭を作りたいなぁvV」
「へ?へ??」
「私……幸せになりますvV」
「ちょ、ちょっと待っ…」
いきなりの展開に慌てるムウの前にもう一つの人影が……
「キ、キラァ!?」
「ムウさん…」
エリスはパァッと顔を輝かせてキラに寄り添った。
「エ、エリス!?」
「私、夢が叶うのよ。私…キラお兄ちゃんのお嫁さんになりますvV」
「はいぃっ!?」
ムウは思わず素っ頓狂な声を上げた。
よくよく見るとキラは立派なタキシードを着ているではないか。
「てめぇ〜〜キラァ!!俺の可愛いエリスを毒牙にぃ!!」
「ムウさん……安心して下さい♪」
「出来るかぁ!!」
「パパ……さようなら…さようなら……うなら………なら………ら……(エコー)」
「待っ……待ってくれエリス!!パパを置いていかないでくれぇ〜〜〜!!!」
ハッとし、ムウは目覚めた。そこはいつもの自宅の寝室。隣で眠っていたマリューが目を擦りながら起き上がる。
「ん〜〜もう……何大声で叫んでるのぉ?どうしたのよぉ〜こんな夜中にぃ…?」
「んにぃぃ〜〜〜」
エリスも眠そうに顔をしかめながら、顔にちっちゃな手を宛てている。
ムウは思わず先程と違う小さな娘を抱き上げた。
「んにゅぅ〜〜〜ぱんぱぁ〜〜〜めぇっ!」
エリスは何故か茫然としている父親の顔を、叱りながらぺちぺち叩いた。
「ほら……エリス怒っちゃったわよ?」
呆れた顔の妻に怒る娘。だがムウは何も動じずエリスを見つめていた。
口を尖らせながら顔を叩いてくる小さな娘……
――さようなら…――
あの言葉が頭に響く。そして滝のような涙がダァーっと流れた。
「うっ!?」
「ム、ムウ!?どうしたのよ!?」
大量の涙を流しだすムウにエリスもマリューも驚く。
「あぅ〜〜ぱんぱぁ〜〜ぉめ…ちゃぃ……いこいこぉ〜〜」
エリスは謝り、父親の頭をたどたどしくナデナデとする。ムウはそんな娘を思い切り抱き締めた。
「エリスぅ〜〜!!パパは絶対離さないぞぉ!!夢なんざクソ食らえぢゃあ〜〜〜!!!」
そして翌日……
「どうしたんですかムウさん!?なんで僕だけ家に入れてくれないんですか!?」
「うるさぁ〜〜い!!お姫さんはいいが、お前は立ち入り禁止!!!」
「そんなぁ〜〜エリスちゃんと遊びたいのに〜〜」
「あぅ〜〜ラァ〜〜」
「エリス!!あっちに行ってなさい!!」
「やぁっ!!ぱんぱ…らいっ!!」
「Σがぁーーん!!!パパ嫌い!?」
「らいっ!!…ぅ〜あ゙ぅ゙〜〜ゔぇ゙ぇ゙〜〜〜!!!」
「ムウ!?また泣かせたの!?」
「俺の方が泣きたい……」
END
あとがき
おねぇちゃんの『ムウのブラックリスト』を読ませてもらった時に頭の中に過った話でした。
夢オチってどんな馬鹿なことも出来ちゃうから好きなんですよ
夢の中はパラレルワールドなんで、ラクスが出てこないですね本当ならキラはとっくに所帯持ちだから考えれば分かることだけど、ムウにとってはエリスが嫁ぐのが衝撃だったということで(笑)
それでは、こんな堕文を読んでくださって、ありがとうございましたm(__)m
皐月
メール公開:'04/2/15
サイト公開:'05/1/12
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