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GUNDAM SEED

「なんか……寂しい」


ふと漏らしたアスランの呟きに、カガリは目を丸くした。


「何が?」


後ろから語りかけるが、アスランは「うー…」とか言いながらうなだれている。
車の中という狭い空間で、カガリの?マークが飛び交った。
隣にちょこんと座る……と言うより、チャイルドシートに固定されているナンナに目配せしたが、「…あ?」と、可愛らしい笑顔を返されただけだった。


この日、せっかくの休日だから、家族水入らずでドライブに行こうということになった。
…が、いざ出発となった途端、愛車の運転席に座るアスランがぼやき始めた。
ナンナと共に後部座席に座るカガリは、娘をあやしながら夫に問うた。


「一体どうしたんだ、アスラン?出掛けようって言ったのはお前だろ?」

「……だから、寂しいんだよ」


アスランはハンドルにもたれかかりながら、後ろのカガリに視線を向けた。
だが、カガリは益々意味が分からない。一体何が気にくわないと言うのか…。


「……昔は、カガリは"ここ"だっただろ?」


アスランは空の助手席を軽く叩きながら言った。


「…ああ、そういえばそうだな」

「でも今は……」


虚ろな瞳で視線を送ってくるアスランに、カガリは彼の言わんとしていることに気付いた。

二人は学生時代からの付き合いだ。アスランが車に乗り始めた頃から、その全てをカガリは見てきた。
だが、その座る場所は、娘を授かってから変わってしまった。

チャイルドシートは後部座席に置くものだ。娘の場所は必然的に決まる。
そして、幼い娘を一人にさせるわけにはいかず……


「……仕方ないだろ?ナンナは後ろなんだから。それとも一人にしろって言うのか?」

「そんなこと、ダメに決まってるだろ!」

「じゃあ、諦めろ。ほら出発ー。行くぞ、ナンナ〜」

「きゃっきゃっ♪」

「うぅ……」


娘の可愛らしい声に混じって響く夫のウザったいうめき声が、カガリの頭痛を招く。
こめかみを指で抑えながら、カガリは携帯電話を取り出した……


――そして……

空席だった隣の席が、しっかりと埋められた。
だがその席に座る人物は、腕を組み、足を組み、そして見下す瞳をアスランに向けていた。


「……で?これで満足?」


その口から冷たく発せられる言葉に、アスランは心の底から寒気を感じた。


「……カ…カガリ……」


アスランは脂汗を流しながら助けを求めるが、カガリは溜息をつきながら睨み返した。


「助手席に座って欲しかったんだろ?だから、わざわざキラに連絡して来てもらったんだからな」

「そうそう。わざわざ、仕方なく、来てあげたんだからね」


キラは所々言葉を強調し、踏ん反り返るように助手席のシートに体を沈めた。


「うふふ…。私もお招き頂いて、ありがとうございます」


キラの妻であるラクスは、ナンナを挟むように、カガリの反対側に座っていた。
彼女はナンナの小さな手を取りながら、カガリと二人ではしゃぎ合っていた。


「可愛いおててですわ〜ちっちゃくて…ぷにぷにで…温かくて……」

「きゃっきゃっ♪」

「ほら、ナンナ〜vVおばちゃんと握手、握手〜〜」

「きゃ〜〜」

「……その呼び方は、ちょっと複雑ですわ」

「あはははっ」


元々この義理姉妹は仲がいいが、この日のはしゃぎ様は特別だった。
ラクスは妊娠中で、安定期に入ったばかり。やっと悪阻から解放されて、その苦しみで盛り上がっていたのだった。

後ろでは女が集まって和気あいあいとした雰囲気だったが、前の男達はというと……


「僕、せっかくの休みだったから、ゆっくりしていたかったんだよねぇ〜」

「……………」


……何とも言い難い雰囲気が立ち込めていた。

アスランは薄ら涙を浮かべながら、必死に妻へ訴えた。


「違う!これは違う!何かが絶対に違う!!可愛くないーー!!!」

「アハハハ、この可愛い天使の微笑みの、どこが気にくわないのかなぁ〜?…ん?言ってみて?ほら、さっさと」

「Σやめろーー!!その薄汚い笑みを俺に向けるなーー!!!」


……だが、アスランの命懸けの訴えは、あっさりと却下されることになる。



「……ふぇ………びえぇぇぇ!!」

「ああ、もう!この馬鹿アスラン!お前がグズグズ言ってるから!おお、よしよし……」



……結局、問答無用で車を出すことになった。

後にアスランは、この地獄の一日を、涙ながらに語ったと言う。



「……どーせ俺は馬鹿だからな……」





END





あとがき

本当に久々の更新ですみませんっm(__)m

ドライブ……ってことで、二人でキャラ達の愛車のこととか、細かい話で盛り上がっておりました(また意味無いことを…ι)
ちなみにアスランは、もちろん赤です(笑)

段々とキラの位置付けが確定してきました。これからは優雅に楽しくいぢめて頂くことになるでしょう♪
余談ですが、最後にナンナちゃんが泣いたのは、
『いつまでも拘束されることを嫌がった』
のか、それとも
『キラの邪悪オーラに気付いた』
のか、私も考えておりません(笑)

それでは、ここまで読んで頂き、ありがとうございました!


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