Anniversary Panic

GUNDAM SEED

「フンフ〜ン♪」


キッチンから聞こえてくる鼻歌に、エリスは小首を傾げた。
朝から母・マリューは、物凄くご機嫌なのだ。エリスはお気に入りの絵本片手に、トテトテとキッチンに向かった。

キッチンにいる母はエプロン姿で、ニコニコな笑顔を振り撒いていた。そしてテーブルの上や、母の手にあるご馳走に、エリスのブルーの瞳が一気に輝いた。


「ママ!すごおい!」

「うふふ〜、そうでしょ〜?パパが帰ってきたら、一緒に食べましょうねv」

「うん!」


待ちきれないのか、玄関に向かって駆けていく娘に、マリューは幸せな笑みを浮かべた。

可愛い、愛しい娘。それを授けてくれたこの人生に感謝している。
そして今日は、特別な記念日なのだ。

今でも思い出す、夫との出会いや、それからの日々。
今日この日は、二人で人生を歩み始めた、最高の記念日……。

妻となり、母となったが、その特別な気持ちは変わらず、自分は女なのだと痛感する。
朝、仕事に行くムウに、それとなく話を振ってみたが、ムウはそのまま出かけてしまった。
やはり記念日に対する思いは、男と女の差があるのだろうかと思うが、普段の暮らしからムウの愛情はよく分かっている。
今目の前にあるご馳走は、彼への感謝でもあり、自分へのプレゼントでもあるのだ。

「ふう…」と一息つき、マリューはエプロンを外した。あとはムウの帰りを待つばかり。赤く染まる窓を見て、マリューは再度幸せそうに微笑んだ……。











「きゃあーー!v」


……エリスの歓声にハッとしたマリューは、素早く鏡で身だしなみをチェックして、玄関へと足早に向かった。


「お帰りなさい、ムウ………あら?」


マリューの瞳が、驚きで見開かれた。
そこにはよく見知った、大切な友人達がいた。


「「「マリューさん、結婚記念日おめでとうございます!」」」


はしゃぐエリスを抱き上げているキラ、花束を持ったラクス、そして包装された箱を持ったカガリ。その後方では、ナンナを抱っこしながら「いきなり押し掛けてすみません」と苦笑するアスランがいた。


――ムウとエリスとの幸せな日々。だが、それを通じて沢山の大切な人が出来たのだ。
自分を慕ってくれる弟・妹のような彼等に、マリューは幸せを再度痛感した。


「なっ、何でお前らがここにいるんだっ!?」


突然の怒鳴り声に、その場にいた全員が一斉に視線を向けた。
そこには慌てたムウが、後ろ手に何か隠しながら立ち尽くしていた。


「あっ、パパ!おきゃえりぃ〜v」

「ただいま、エリス〜v…じゃなくてーー!!」

「はいはい、ムウさん。何を隠してるんです?」

「だあーー!寄るな、キラ!この日の為に前から準備してた俺の計画を邪魔しやがってえーー!!」

「パパー、なあにー?」


じゃれ始めたキラとムウ+エリスに、マリューは呆れながらも幸せそうに微笑んだ。
今日は特別な日。でも日常の中の、ほんの一日に過ぎないのだ。


『この方が、自分達らしいじゃない?ねえ、ムウ?』


必死にキラから逃げ回り、小さな小箱を死守しているムウに、マリューは楽しそうに微笑んだ。


尚、マリューの指に新たな指輪が増えたのは、別のお話……。






あとがき

………うーん……体がむず痒い話です。
これは、姉の結婚記念日祝いに書いたものです。勢いで書き上げ、姉に一方的に送りつけたことは覚えてます。送るだけ送って、駄文の存在を忘れてました。凄い迷惑なことしてますね……(苦笑)
多分……珍しく甘いので、私の脳内で消去されていたのだと思われます。こんな話ですが、楽しんでもらえれば幸いです。


初出:2007/09/16
再出:2008/02/16


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