君が何故いるの?

テニスの王子様

「おはよう」

「おはよう、早くご飯食べなさい」

「はーい」

母親に挨拶をして、テーブルに並ぶ朝食を眺めながら、席についた。
居間の方を見ると既に朝食を済ませたのか、祖父は新聞を広げ、祖母はテレビを見ていた。
父は家を出たようだし、兄も先に出たようだ。
生徒会に所属しているからか、それとも部活の為かは不明だが、相変わらず忙しいようだ。

「はい、味噌汁」

「あ、ありがとう」

コトリと置かれたお椀にお礼を言って、啜ると出汁がきいていて美味しい。

「蓮二は先に出たわよ。始業式の準備があるんですって」

なるほど、どうやら生徒会関連での早い登校のようだ。
生徒会だからね、と母に言うと「あの子も大変ね」と話す声を耳にしながら、ご飯を口に運んだ。
祖父母に挨拶をしてから、家を出た。
今日もいい天気のようで、青空が眩しい。
今日から、二年生か、と思いながら学校へと向かった。


ざわざわと騒がしい掲示板前で若干つま先立ちになりながら、クラス分けを見て、自分のクラスを確認すると、教室へと向かう。
席次表を見ると窓際の一番後ろのようだった。
教室内では女子同士が「同じクラス?よろしく」とはしゃいでいる。
私と言えば、前のクラスだった子が何人かいて、挨拶はしたものの特に仲が良いわけではないので席に着いて持ってきた本を読む事にした。
やがてチャイムが鳴り、担任が教室に入ってくる。あぁ、去年と同じ先生か、と眺めていると廊下がバタバタバタと煩い。同時にドアが思い切り引かれた。

「遅いぞ、切原」

「……す、すんません…」

「早く席に着け」

「う、ウィーッス」

あれは、テニス部の切原 赤也だ。
そうか、同じクラスなのか、と思っていると女子が少し騒いでいるのを耳にしながら、視線を先生へと戻した。
新学期なんて何回か経験していると、先生の話なんて右から左に流れていくだけで、対してなにも変わらない。
校長先生の話も同じくだ。
ただ、先生方が並ぶ列の傍に見慣れた姿を見つけて小さく溜め息をついた。

教室へ戻ると、恒例の自己紹介タイム。面倒だな、と思いながらも学年の人数から言えば、私が“昔”通っていた学校の総人数と同じくらいだから、わからない人ばかりだ。
まぁ、切原 赤也くらいは分かる。
教室内を一瞥すると、うねうねとうねる髪の人物……と銀髪の人がいる。
あんな漫画でしか見れない銀髪なんて主要人物しかいないはずなのに、誰?
ボケッとしていたら、切原が自己紹介を終えていた。順が回り、その人が席を立った。

「仁王 清雅です。男子テニス部所属、よろしく」

簡単に挨拶すると、スタンと腰を降ろした。回りが「清雅くんも同じなんてラッキー」「仁王先輩も格好いいけど、仁王くんも格好いいよね」とか言っている。
ちょっと待って、私、そんな人知らない!
仁王の弟?そんなのいたの?
茫然としていたら、前の人が立ち上がり挨拶をしている。
え、もう私の番!?

「柳 葵衣で、す…」

慌てて立ち上がると名前を告げた。
「柳」という苗字だからか、切原はこちらを一瞬見たが、直ぐに興味なさげに、隣の席の仁王くんに話しかけている。
彼がこちらを見て凝視してるように、私も目を見開いた。




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