私には関係ない事

テニスの王子様

四月も半ばを過ぎて、大型連休を目前にした頃、清雅からのトークに首を傾げた。

「転校生?」

携帯の画面を見つめながら、意味が分からないと、返事をする。

『三年に転校生が来た』
『それがどうかしたの?』
『この時期におかしくないか?』
『まぁ、変っていったら変だけど 家の都合とかじゃないの?』

なにがおかしいのかよく分からない。
別に家庭の事情等で一月遅れるくらい訳がないと思うが。
清雅はどうしたんだろうか?
疑問に思っていると、文字を打つのが面倒になったのか、電話が掛かってきた。

「もしもーし?」

『おかしいだろ!』

耳元でキーンとした。声がでかすぎるよ、清雅。

「お前がな! いきなりなんなのよ」

『いや、だってさ、その転校生、いきなり俺らが飯食ってる時に来たんだぜ?』

「は? 飯食ってる時って、屋上に? 一人で?」

『あ、わりぃ、来たって言っても丸井先輩が連れて来たんだよ』

「はぁ? なんでまた?」

『いや、なんか隣の席になったとかで、一人で飯なんて可哀想だから連れて来たとか、』

「ふ〜ん。丸井先輩って面倒見良いんだね、転校生をご飯に誘うとかなんて」

『丸井先輩は面倒見良いんだよ、あぁ見えて弟二人いるらしいし、雅治が言ってた』

「へぇ」

なんか意外な感じがする。
漫画で読んだ印象では我が儘な感じだったのだが。
だけど、詳しいことはもう曖昧になっている。
原作読んでたのだって、もう15年も前の事だし。

『って丸井先輩の事はいいんだよ。なんかさ、その転校生、女なんだけど、俺の事見て不思議そうにしてたんだ』

「…………はい?」

清雅の発言に頭がついていかなかった。

『いや、だからさ、それぞれ自己紹介してったら、雅治を見た後、すっげえびっくりしてた』

「仁王先輩の弟だからじゃない?」

『そうじゃなくて、なんつうか、俺そのものに不思議がってんだよ』

清雅の話に確かに何か引っ掛かった。
三年生の集まりに二年がいたから?
でも切原には何も態度は示してないようだし、なんだろうか?
というか、いくら隣の席になったからといって同じクラスの女子ではなく、男子とお昼を共にするだろうか?
ましてや、部活の集まりに。
電話の向こうでは清雅がブチブチ文句を言っている。
切原なんてその先輩を見てから真っ赤になり、やたら自分をアピールしていたとか、それに対して丸井先輩が突っ掛かったりとか、いつもなら煩い真田先輩がやたらぎくしゃくしていたとか…。
兄である蓮二はどうだったのだろうか?

『それでさぁ、その先輩をマネージャーにしたいとか丸井先輩と赤也が言い出して』

おっと、考え事していたらまだ電話していた事をちょっと忘れていた。
ってマネージャー?

「あれ? 男テニってマネージャー採っていたっけ?」

あの男子テニス部にマネージャーなんかいたら、すごく人数いそうだな。
でも聞いたことがないし、記憶にもない。

『いや、いない。っていうか、伝統的にいないみたいだな。マネージャーの仕事みたいなのは1年の仕事だし』

「へえ、そうなんだ」

兄である柳 蓮二は1年からレギュラーだったし、知らないだけでそういう雑用をしていたんだろうか?

『だから、柳先輩が説明していたら、そいつなんて言ったか分かるか?』

「知らないよ。それでもやりたい!とか駄々こねたの?」

『いや、「それじゃあ、一年生が可哀想だよ!練習させてあげたいな」だってさ』

「…………なんか、面倒くさそう」

『言いたい事分かるけど、俺も関わりたくねぇな、ああいう女』

電話口でため息が聞こえ、お疲れ様。と告げれば、おう、と返事が返ってきた。
しかし、こうなるとその女の転校生とやらは男子テニス部のマネージャーになるのは変わらない気がする。
さてさて、あの一部過激な男子テニス部ファンがどうなるか、見物である。

まぁ、私には関係のないことだけど。



act.4


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