待ち人来ません
テストも終わり、先生方の頑張りもあって、翌日にはテストが返却され、掲示板には成績順が張り出されていた。
一番上に三年生から張り出されている。ふむ、相変わらず兄は首席か、と眺めていた。
柳生先輩も成績が良いらしく、2位という順。後は真田も、意外にも仁王もいいらしい。
私?私といえは、11位ですが?なんですか?かなりいい方だと思いますが。
二年の成績順を眺めていくと、5位に仁王清雅の名前。すげぇ頭がいいんじゃないかよ、お前!
びっくりしていると、肩をポンと叩かれた。
「お前、成績良いんだな」
「嫌味? 5位に人に言われたくない」
「あ〜、たまたまだな」
ハハッと笑う清雅を横目にしながら、とりあえずはお姉ちゃんにご褒美は貰えそうだと安堵する。
「あ、清雅くん」
清雅を呼ぶ、どこか甘ったるい声がして、振り向くと前に見た転校生先輩がいた。と、ついでに丸井先輩。
「あ〜、丸井先輩たち」
小さく「うげ」と洩らしたのは置いといて、声をかけたのは丸井先輩じゃないのに、丸井先輩を呼ぶとはすごいな、清雅。
「よぉ、キヨ。お前、頭良いんだなぁ」
「ハハッ、たまたまですよ。丸井先輩はどうだったんですか?」
「おっまえ、それ、聞くのかよ」
「あ、あのっ! 清雅くんって頭良いんだね! びっくりしちゃった、私」
「どうもです。それで丸井先輩は──」
すごいシカトだな、清雅。
とりあえず私は退散するとしよう、関わりたくないし。
チラチラとこちらを見てくる転校生もなんか嫌だし。
「じゃあ、仁王くん。私、行くね」
「ん、あぁ、悪いな」
「じゃ、失礼します」
あくまでクラスメイトとして、接して教室へと向かう。
背後で丸井先輩の声が聞こえたが気にしない。彼女とかじゃないから。
とりあえず、私の事を無駄に話さない清雅に安堵しつつ、私は足を緩めることなく廊下を歩いていった。
◇◇◇◇◇
あれから数日後、私は都内にいた。
理由?お姉ちゃんと約束していたことを実行してもらう為だが、やはり人が多い。
ほんの4年前までは都内にいたというのに。
約束の時間を時計を見ながら、そわそわとしていた。欲しがったいた物をご褒美にくれるなんて、お姉ちゃんは神だわ!
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流石に私のお小遣いで買える訳もない。のでこうしてお姉ちゃんにせびってみたら、意外にもOKしてくれた。
本当に大丈夫なのかと疑っていたらコネがあるらしい。
とにかく手に入るならなんでもいい。
そわそわと待っていると、なんでしょうか、声を掛けてくる輩がいます。
私、中身はかなり年を重ねておりますが、外見はまだまだ中学生なんですが、大丈夫ですか?お兄さん。変態なんですか?
あまりにしつこい上に家族と待ち合わせをしていると言っているのに怯まないとは、すごいな、コイツ。
どうしようか、と何度目かのため息を吐いた。その場から去ろうと身体を移動させるが、遮やがる。
「しっかし、可愛いよね。中学生には見えないよ」
うん、ウザい。
ハハッと渇いた笑いしか出ない。
早くお姉ちゃん来てよー!と念じていると、ぐいっと腕を取られた。
げっ!と掴まれた腕を見たら、目の前のナンパ野郎ではない。
んん?と掴んでいる手を辿っていくと、思いがけない人がいた。
「待たせたな、行くぞ」
「えっ、ひ「なんだ、てめぇ!」」
「お前こそなんだ、いい加減にしろ」
ギロリと睨んでくる目付きの悪い彼の迫力にたじろいたのか、ナンパ野郎は「男待ってたならそう言えよ、ブス!」と捨て台詞を吐いていった。
散々、可愛いだのなんだの言っといて、ブスとはなんだ、ブスとは!
腹立つ、と睨んでいると、掴まれていた腕の圧迫がなくなり、見れば離されていた。
「あ、あの、」
「なんだ」
「ありがとう、日吉くん、だよね?」
「ああ、覚えていたか。お前は柳 葵衣だったよな」
「そっちこそ、覚えててくれたんだ。ありがとう」
「ふん、そんなに覚えが悪いわけないだろう」
ニヤリと笑う顔に、苦笑するしかない。まさか覚えられてるとは思わなかったのだから。
彼は、彼もまた『テニスの王子様』に登場してくる人物だ。確か、氷帝だったはず。幼稚舎がそうだったから。
なんで知っているかといえば、同じ算盤塾に通っていて、机を挟んでいつも隣だったから。それだけ、なんだけど、よく覚えていたな、とつくづく思った。
act.7
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