神出鬼没な人
リョーマくんに連れてこられて、コート内に入ったものの、皆さんの視線は怖いとしかいえなかった。
「なんで野原さんがコートにいるんだい」
「部外者は出ていけよ」
「練習の邪魔になるよなぁ」
なかなか厳しいご意見ありがとうございます。でも私だって出来ることなら入りたくなかった。
「ま、まぁまぁ。野原さんはきっと手伝ってくれてるんだよ」
「何を手伝っているっていうんだよ」
「そうですね、タオルカゴは結局越前くんが持ってますし」
この人たちは本当に中学生なんだろうか?
中学生男子の平均身長ってどんくらいなの?
まぁ、お兄ちゃんも背が高いけどさ……平均身長、後で調べてみようかな…。
色々言われているけど、なんかもうどうでもよくなってぼーっと他の事を考えていると、ゴンッと何か音がした。
見ればリョーマくんがタオルの入ったカゴをベンチに叩きつけたというか勢いよく置いた。
「……梨麻は洗濯して乾かして持ってきてくれたのに、なんなんスか、その言い方」
あ、れー? リョーマくんが怒ってる?
「越前……別に、そういう訳じゃ」
「そ、そうだぜ! 別に怒ることじゃねぇだろ、越前リョーマ」
「そうだよ、越前くん。ただちょっと気になっただけなんだ」
大石先輩がどうどうと宥めようとしていれば、髪の毛がわさわさしたというかモジャモジャした人がリョーマくんをフルネームで呼ぶ。
あ、モジャモジャじゃ、アフロみたいだからモジャモジャってのはおかしいか。アフロじゃないし。
ボヘーッとしているとリョーマくんがこちらを向いた。
「あー、えーと……とりあえずこれ置いて行くね。リョーマくんのは分かったんだけど他の人のは分からないから、まとめて畳んでおいたんだけど……」
カゴを指差して、そこらにいる人達をチラリと一瞥する。
「じゃ、じゃあ、行くね」
ぎこちない感じで手を振って(リョーマくんにね)、コートから出ようとしたら、ちょうど入ってきた蓮二くんと、乾先輩が私を捕まえた。
え、何っ!?
「まぁ、梨麻。せっかくだから見学でもしていったらどうだ」
「そうだね、海里たちもそろそろ来るだろうし」
「そういえばお姉ちゃんた「こらーっ! 蓮二に貞治っ!」……お兄ちゃん?」
「俺の可愛い梨麻を掴むとは何事だ!」
「相変わらずのシスコンだな、海里」
「やっだ、梨麻っては蓮二と貞治に囲まれて、捕らわれの宇宙人みた〜い」
蓮二くんと乾先輩、そしてお兄ちゃん、お姉ちゃんの登場にコート内は一瞬にしてカオスになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
パコーン、パコーンとボールの音を聞きながら、梨麻は自分の存在をつくづく小さくしたいと思っていた。
(な、なんで、私がこんなところに…)
備え付けのベンチに座らされ、試合を見せられている。そして私の右手には乾先輩の汁がある。
負けた方に渡せと言われているが、とてつもなく嫌だ!
「……り、リョーマくん…」
「なに」
「あ、私、ここにいていいのかな…」
下から覗き込むとリョーマくんはまたそっぽ向いた。
「別にいーんじゃない。だけどそれは近付けないでくれる」
右手に持ってた乾汁を指差され、梨麻はゴメンと1人分場所を避けた。が、リョーマくんは間を開けた後、詰めてきた。
「リョーマくん?」
「…………なに?」
「乾汁、ついちゃうよ?」
「…………反対の手で持ってよ、それ」
「え、あ、うん……」
右手で持ってた乾汁を左手に持ちかえる。するとリョーマくんがピタッとくっついてきた。
「リョ、リョーマくんっ!?」
「なに」
「な、なにって「オラァ! それ寄越せっ!」」
くっついてきたリョーマくんにびっくりしていたら、モジャモジャ髪の人が手を出して来た。
「え? あ、は、はいっ!」
彼は試合に負けたらしく、何故か目を充血させてこちらを睨んでいた。
慌てて手渡すと、立ち上がった私が座っていたところに座りこんだ。
「ちょっと、なんでアンタがここに座るわけ?」
「いいじゃねぇか、越前リョーマ」
「…………早く飲んだら、それ」
「お、おう…」
彼は勢いよく乾汁を飲み干した。
リョーマくんがスッと立ち上がり、私を横に引っ張ったと同時に、ブーッと飲んだモノが吐き出されている。
そして、バタッと倒れた。
「ひっ!?」
「乾汁、甘く見すぎっスよ。切原さん」
「フフッ、赤也は馬鹿だなぁ」
「……いたんスか、幸村さん」
いつからいたのか分からないくらい、リョーマくんの後ろに人がいた。
綺麗な顔をしてるが、一概にこちらを見ようとしてない。まぁ、いいけど。
「酷いな、越前くん。ドリンクもらえるかな」
「俺は持ってないんであっちからもらって下さい」
「それは残念だね」
ジャージを羽織った人はクスクス笑いながら、リョーマくんの頭を撫でて行ってしまった。あ、倒れた人を踏んでいった。
やはりテニス部の人たちはよく分からない。
To be Continued
あとがき
うん、なんだか良く分からないですが。リョーマはヒロインにくっついていたかったんですよ。
でも邪魔されちゃいました(笑)
お読み下さりありがとうございました。
2011/12/13
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