迷子のような
「……眠い…」
登校中に何回、欠伸をしたか分からないけど、ようやく学校についた。因みにお兄ちゃんたちは出てくる時に起きていたが、間に合うのだろうか。
まぁ、一応遅刻なしだから大丈夫なんだろうな(足はやたら速いし)
校門から玄関に向かう途中でスパーンスパーンと打球音が聞こえた。音のする方へと足が向いた。
テニスコートを見れば、朝練をしている。何時からやっているのかよく分からないけど、その中で白い帽子を被ったリョーマくんの姿を見つけた。
先輩たちに囲まれて、何かを話している。相変わらず菊丸先輩とかリョーマくんに抱きついているし、傍に不二先輩、桃城先輩、そして手塚先輩までいる。
「…………なんで、だろう…」
思わず零れた言葉にハッとして聞かれていないか、辺りを見回したら、違うクラスの人がこちらを見ていた。
誰だっけ、と思い出そうとして名前は知らないけど、堀尾くんと一緒にいる人だと確信する。
「あ、えっと、野原さん? リョーマくんに用事? 呼ぼうか?」
「えっ、あ! いいよ!」
「え?」
「よ、用事とかじゃなくて、たまたま通りかかっただけだから気にしないで。じ、じゃあ、あなたも練習頑張ってね」
リョーマくんを呼ぼうとする彼を止めて、私はテニスコートから走って教室に向かった。
でも忘れてた、彼に口止めをする事を。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ガヤガヤと始業時間が近づく程に教室には人が増えていく。
私は友達と昨日のドラマとかの話をしていると、教室のドアが開き、また誰かが登校してきた。
「あ、越前くんだ。おはよう」
「本当だ。リョーマくん、おはよ」
「おいっ! 女子、越前だけじゃなく俺もいるだろ」
「……あー、堀尾もいたんだ」
「あ、本当だ」
「ちくしょう! 越前ばっかり! なんだってんだよぉ」
「朝から煩いよ、堀尾!」
ギャーギャーと騒がしくなる彼女たちに、私は苦笑いしか浮かべられずにいると、横から声をかけられる。
「梨麻、はよ」
「っ、おはよう。リョーマくん」
びっくりして戸惑っていたら、リョーマくんが不思議そうにこちらをみていた。
「なんかあった?」
「へ?」
「水野が、朝練に梨麻が見に来てたっていうし、昨日だっていつの間にか帰ってたし」
隣の席の机に寄りかかりながら聞いてくるリョーマくんに、答えられる答えはなかった。
「別に、何もないよ。昨日は無理矢理連れて行かされただけだったし、朝は…なんとなく足が向いただけだよ」
「ふーん。声、かけても良かったのに」
「練習中に声掛けたら迷惑でしょ」
「……まぁ、ね」
ふい、と顔を逸らされると横から友達が入ってきた。
「越前くん、気にしないでいいよ。梨麻はこれが普通だし」
「そうそう梨麻って結構あっさりしてるから気にしないで」
「……………別に、気にしてないし」
リョーマくんはそういうと腰を上げて自分の席へと行ってしまった。
「梨麻〜、ちゃんとリョーマくんと仲良くしなよ〜」
「そうだよ。リョーマくん、気にしてるじゃない」
「え、でも…」
「リョーマくん、きっと梨麻に会いに来て欲しいんだよ」
「そうそう」
「でも毎日、教室で…」
友達は私の言葉に顔を見合わせて、ため息をついた。
「ま、それが梨麻だよね」
「もう少し、リョーマくんの事を考えてあげなよ」
「──『キーンコーンカーンコーン』」
何かを言おうとして口を開いたが、ちょうどチャイムがなり、続いて先生が入ってきた。
何を言おうとしたのか分からず、私はただぼんやりと前を見ていたのだった。
その後、何故か桃城先輩が朝からリョーマくんの所に辞書を借りに来ていた。
桃城先輩なら違うクラスに友達がいっぱいいそうなのに、わざわざ1年の教室まで来るなんて凄い、としみじみ思ってしまった。
To be Continued
あとがき
なんだか傍観じゃなくってきているような気がします。
傍観主を書くって難しいんですね(苦笑)
前話から続き、ヒロインがリョーマをどう見たらいいのかまだ分からない状態になっています。
今回は最後にオマケな感じで桃のアピールタイムを設けました(笑)
感想頂けたら嬉しいです。
2011/11/12
-9-
王子様はモテモテです top