序話

テニスの王子様

いつものように、セットした目覚まし時計が鳴る前に起きて、顔を洗い、寝ている祖父を起こして、祖母と朝食の準備をする。
チーン、と仏壇にお供え物を置き、挨拶をした。

「お父さん、お母さん、お姉ちゃん、おはよう。今日から7月だよ」

手を合わせ、飾られてある父母と姉の笑う写真を見る。
父と母と姉は私が小学4年の時に、居眠り運転に巻き込まれ、帰らぬ人となった。
それからというもの、私はおじいちゃんおばあちゃんと一緒に暮らしている。

「優花ちゃん、ご飯食べましょう」

「はーい」

食卓について、焼いた魚に箸をつけていると

「もう夏だなぁ」

「そうねぇ。そういえば、優花ちゃん」

「なぁに、おばあちゃん」

「来週の旅行だけど、本当にいいのかい?」

旅行? あぁ、老人会で行くとかいってたやつか。

「もちろんだよ。私ももう中3だし、行って来ていいよ」

行けなくなってた老人会の旅行。
お父さんたちが亡くなってから私の面倒を見る為、断っていたのを知ってる。
でも知ってるんだ、いつも旅行をしていたことを。楽しみにしていたことを。
私も中3なんだし、2、3日くらい1人で平気だよ。
そうにっこり笑っていうと、おじいちゃんもおばあちゃんも笑ってくれた。
ずっと私にかかりっきりだったんだもの、たまには楽しんでもらわないと。

「そうかい。じゃあ優花ちゃんのお言葉に甘えようかね」

「うん。その代わりお土産よろしくね!」

「分かったよ、優花」

優しいお祖父ちゃんお祖母ちゃんと笑いながら、朝食を済ませた。
自室に戻り、学校への支度をしながら、机を見れば友達から借りた『テニスの王子様』が目に入り、返さなくては!とバッグにしまった。

「じゃあ、行ってきまーす!」

「行ってらっしゃい」

「気を付けてなぁ」

「はーい!」

和野 優花、14歳、中3。
家族はお祖父ちゃん、お祖母ちゃんだけだけど、今日も元気に生きてます。


それが日常だった


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