やさしいウソ

名探偵コナン

「死なないわ。約束する」

そう答えれば、彼の聡明な蒼い眸が揺らいだのが分かった。何かを言いたそうに、しかし、彼は口を噤んだ。それでいい。

「時間よ」

美しいウェーブの長い髪が翻るのが視界に入る。
分かっている、死なないなんて保証はどこにもない。だけど、どうやったのか、彼女は死なせないと彼に約束をした。
でもそれが嘘だと見抜けない私ではない。
彼女から紡がれた言葉に、もう彼には会えないのだと思うと、何かを言おうと口を開いたが乾いた唇を噛み締める。変われない事ならば言葉を無駄に思えたからだ。
そっと、彼の袖を掴む。彼はハッとしたように顔をあげた。変わらない身長のせいか、彼の顔はよく見える。

「………はい、ばら……」

その頬が、なにかに怯えるように青ざめていた。
恐怖? 後悔? 嘘?
別に彼が悪い訳ではないのに。
優しくなれない自分を寂しいと思う。

「………大丈夫だから」

フッと笑ってみせると、蒼い眸がまた揺らいだ。
そんな顔をしなくてもいい。
あなたはあなたの信じる道を真っ直ぐ進めばいい。
しかし、彼は肩に身体を委ねてきた。だけどその背に回す腕はない。してはならない。

『お姉ちゃんは大丈夫だから』

不意に甦る最愛の姉の言葉。
そうね、そうよね。

「私は大丈夫だから」

そう伝えると、彼の肩に手をおいて自分から引き離した。そのままくるりと背を向ける。
顔を見せたくないし、きっと見てはいけない。
私は大丈夫。だって、あなたに、あなたたちに会えたのだから──。




2017/08/24

Twitterの診断で出たのですが、書いてからCP間違えてたりしました(笑)
多分、なんらかの条件を突きつけられ組織に戻る灰原さんと、何も出来ずにいる江戸川です。


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