02

Treasure

気のせいか、今ので気分がスッキリした
ずっと抱えていた事を誰かに喋っただからだろうか



「そうや。ずっと待たせてる訳にはいかへんよな
 ちゃんと返事せぇへんと・・・・・・」



少し背伸びして金髪を捜した
何故かその周りには人だかりができているような
そんな気がしたから。
けれどそんな人だかりは見えなくって
いつのまにかダンスが始まっていて余計に焦る
終わるまでに必ず。






ふと、視界の隅に小さなツリーが見えた
クリスマスカラーで彩られたソレを見ていると
脳裏にそう遠くも無い記憶に誰かが話し出した





『知ってる?クリスマスカラーの意味』





         流架ぴょん何処やろ





『赤は太陽とイエスの血』







何処や流架ぴょん・・・・・っ




               『緑は永遠の命』





流架ぴょん・・・流架ぴょん・・・何処におるん?





『マリアの純潔と雪』







周りを見ても知らない人ばっかりで
いつのまにか嫌な汗が頬を伝った






そしてまた、脳裏で誰かがその続きを話し出す







『クリスマスリースがどうして円の形なのか
 ・・・・・どうしてだと思う?』






『それは・・・・・』






永遠ト循環ヲ表スカラ






『いつかは、そこに還ってくる』





ソンナ






「・・・・・・・・そうや」







"たった"1ツノ法則












          ***



ずっと考えていた
自分のした事が正しかったのか
このままじゃ何も進まない気がして
このままじゃ何も始まらない気がして





ケレド





終わりを迎えたかった訳じゃない






「流架ぴょん・・・・っ!!!」






後ろから掛かった声に振り向くと
走ってきたのか待っていた人がそこにいた





「ごめんなっ、遅うなってもうて・・・
 ずっと待ってて寒くあらへんかった・・・・っ?」
「佐倉がここに来てくれたからもういいよ
 忘れたんじゃないかって、思ったから」
「そんな訳・・・ないやん」





いつか誰かが話してくれた言葉で思い出した
もしかしたらずっと何処かで待っていてくれている
んじゃないかと思って
思い当たる思い出のある場所といえばここぐらいだったから






「前は・・・俺が佐倉を探してここに来たね」
「あん時はベアの掃除全部引き受けて
 涼んでおったんやっけ?忘れへんわ。
 あれから数ヶ月それでからかわれたからな
______はい流架ぴょん」
「!・・・ありがとう」






外に出る為にはおってきた自分のコートを
肩にかけると、流架は苦笑いを浮かべながらも
素直に好意を受け取ってくれた
女物だから彼には小さいのだろうけれど
それなりに寒さはしのげるだろう







しんと、沈黙が流れた







「「ずっと考えてた・・・・・!?」」







沈黙を破った言葉は何故かぴったりと
重なり驚いて相手を見合う
そして再び流れた沈黙を蜜柑の笑い声が響いた





「・・・・・・っぷ。//なんか今被ったな〜」
「まさか同じタイミングで同じセリフが
 出るとは思わなかったよ」
「ウチもや〜・・・・それで?流架ぴょんは
 何を考えておったん?」





目じりの涙を拭きながら蜜柑は同じように
笑っている流架に話を促すように聞いた





「・・・・これで・・・よかったのかって」
「へ?」
「今まであった物を壊すみたいだから」
「・・・・・・・・・・ウチも」
「?」
「ウチも、同じような事考えておった。
 なんか・・・やっぱり似ておるんやろうなウチ等
 前に棗にそんな事言ったら思いっきり
 否定されてしもうたけれど」
「似てる_____か。確かにそうかもな」




なんとなく納得して頷く流架に
蜜柑は静かに笑いかけると立ち上がって
バルコニーの手すりに手をかけて反対方向を向いた







「本当に、ウチもたくさん考えたんや」







壊して、何がなくなるのだろう





「本当にたくさん」





何が手に入るのだろう






「それで________......
 やっと、答えが出た」








ビュォォォッ







冷たい風が吹きぬけた
ぱっと、手すりから蜜柑は離れ
流架に近寄って頬に冷たい手を当てた








一瞬見えたのは





ぎゅっと目を瞑った蜜柑の顔と





驚いて目をみはる流架の姿










「これが・・・・答えです///」







真っ赤な顔でそう言って帰ろうとする蜜柑の腕を
しっかりと掴むとその場を少し離れて
今度は流架からキスをし抱きしめた








「佐倉、気が付いてただろ。
 さっきの所がヤドリギの下だって事」
「__________っ/////」
「ここで同じ事をして。そうしないと
 信用できないから」








あぁ、やっぱりバレたか。と思いながら
蜜柑はゆっくり顔を近づけた


















              ***









「・・・・・・日向君。そこで何してるの」
「・・・・・待ってんだよ」






蜜柑達がいるところから少しはなれた
外へと繋がるドアの前に座り込んでいる棗に
たまたま通りかかったのか、それとも
策略的なのか蛍が静かに聞いた






「・・・・・・誰を?」
「流架」
「じゃぁ・・・ここじゃない方がいいわよ
 せめて寮で待ちなさい。
 彼だけを_______待ってるなら」
「なら、なおさらここでいい」






なんとなく事の動きを理解したのか
蛍ははぁとため息をつく
するとその息は白い霞となって空に消えた






「冷えるわよ」
「風邪でもなんでもひいちまえばいい。
 あいつ等に・・・・会わなくてすむ」
「略奪婚でもしてみる?」
「んな事に誘うな」
「・・・・・・・・・・・・雪・・・だわ」







蛍の言葉に棗が顔をあげると
ちらりほらりと雪が降り始めていた
しばらくそれを見ていると隣から呟きが聞こえた






「寂しいわね」
「・・・・・・そうでもない。」
「惚気話聞かされるかもよ?」
「アイツの気がすむまで聞いてやる」
「その勢いであたしの売上に貢献する気はない?」
「あるはずない」









何を失うのだろう

    


何が手に入るのだろう





何が_________始まるのだろう






Snow Snow Snow Snow......





君と出会えたことがいつか
奇跡ではなく、運命と言えるように







(fin)








お久しぶりです!!秋木の実ですっ
ここまで読んで下ってありがとうございました♪
やっとクリスマスの小説と150000hit、続いて
160000hitの御礼小説が書けて我ながら感動しています
これで今年は何も思い残すことなく過ごせる!!
本当に遅くなってしまいましたがメリークリスマス!!
来年も皆様にとってよい年になりますように
お祈り申し上げます


もし「貰ってやるぞ」という奇特な方がいらっしゃれば
どうぞ持っていってくださいませ。
報告や感想など頂ければ管理人泣いて喜びます
庭駆け回ります。こたつで丸くなります(どっちだ)
それではお目汚し失礼いたしました


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