綺麗な滴

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君が泣きたい時はいつだって傍に居てあげる…***




「なぁ、蛍。男の子って泣かへんもんなん?」

蜜柑の突飛な質問に蛍は半ば呆れながらも答えた。

「…そう言う訳じゃ無いと思うけど、なかには泣かない人も居るわよ。」
「ふーん。よぉ分からへんけど男の子って複雑なんやな〜。うちやったら辛い時はすぐ涙出るんやけどなぁ〜…。」
「…あんたはただの泣き虫よ。」
「…ゔぅι蛍の意地悪ぅ〜〜!!!(泣)」
「…あら。本当にすぐ泣くのね…クス…。」
「ゔぅ〜〜〜!!蛍のサドぉ〜!…あ、そういや棗って泣かへんよなぁ…。」
ふと蜜柑が呟いた瞬間。

「棗君が泣く訳無いじゃない!!」

どこで聞いていたのか…パーマが割って入ってきた。
「佐倉さんより付き合いの長い私でさえ今迄棗君が泣いた所なんて見た事無いし…vv…まぁ泣いたとしてもそれはそれでカッコイイけどね〜〜!!!大体……」

自慢げに延々と続くパーマの話は蛍を始め蜜柑、心読み君、キツネ目君、その他大勢にあっさり聞き流されているが未だ自分の世界に浸っているパーマは顔を赤くしながら話続けていた。
「…棗。…学校来ぉへんなぁ〜…。」

誰にも聞えない様な小さな小さな独り言…の筈だったが…

「そう言えばここ3日間位顔見てないわね。」
「…(聞えてたんかι)何かあったんかな〜………」



  ………そんなこんなで数時間が過ぎた頃……。

 ――“ガラッ”――

昼休みも終わり、再び授業が始まった時………。

「あ…!‥棗っι」

いつもと違う棗の様子に口を開いたのは流架だった。
「……。」

流架にでさえ口を開こうとしない棗。だけどその姿は前に見覚えがあって…‥。
「…棗‥大丈夫…?」
「…あぁ…。」

やっと口を開いた棗。

…だが顔には罰則面、首や手足には絞められた様な跡、身体には痛々しい程の傷跡が残っていて…誰もが見て分かる程衰弱しきっていて、喋るのがやっとと言う状態だった。

「な…棗っ…ι」
「……。」

そんな姿に驚いた蜜柑は咄嗟に口に出すが、そのまま夜を迎えてしまった。


  ―――10:00―――

ザワザワと木々を揺らす雨風に、蜜柑は嵐でも起きるのではないかと…………、そんな胸騒ぎを覚えた。


  ――…棗…――っ

そう思った瞬間、蜜柑は部屋を飛び出していた。
向かった先は……



【Natsume.Hyuga】

「…棗!!居るんやったら開けて!!」

 ――…しん…――。

全くと言っていい程返事が無い。

「…おらんの?…って鍵開いとる…‥。…入るで…?」

誰に聞いているのか、念の為蜜柑は確認する事にした
 ―――ガチャ―――

「…ベッドはもぬけの殻やな…シャワーの音もせぇへんし……こんな雨の中一体何処に行ったんやろ…。」
蜜柑は何故だか不安になり、辺りを見回した。
すると……。

一つだけ開いている窓があった。

だが…此処は二階。
浮遊のアリスでもない、ましてやろくに自分のアリスを使い熟せない蜜柑が飛び降りるには危険過ぎる。


が…今はそんな事を考える暇も無く、迷わずそこから飛び降りた。

――…ガサ…ドサッ…――
「…いたっ…ι」

危機一髪。
窓の下には木々が生い茂っていたのもあって、蜜柑は掠り傷だけで済んだのだ。


「棗〜っ!!どこや!ι…」
そう叫ぶと、ザアザアと降りしきる雨も気にせず北の森に向かって走りだした。



 ――ゼィ…ハァ…ι――
どこまで走ったのか…。
蜜柑は疲れ果てて木の幹に寄り掛かる様にして座り込んだ。

そんな時…。

 ―――ガサッ―――

物音に驚いた蜜柑は即座に起き上がった。

すると…

探している人物が同じくびしょ濡れで現れた。




「…お前…。」

棗は、こんな時間、しかもこんな雨風の中、蜜柑が一人で北の森に居る事に驚きを隠せないでいる。

「何でこんなトコに居…」

次の言葉は蜜柑が抱きついた事により掻き消された。

「棗っ……!!」

蜜柑はその存在を確かめるかの様にキツくキツく抱き締める。

「…蜜柑。」

「ぅ…へ…部屋におらんかったから…グス…心配したんやで………ヒック」

「………。」

「な…棗が……どれ程…グス…暗い闇…に‥おる‥んかうちには分からへん………けど…‥生まれんかった方が…良かった人間なんて…この世にはおらん!!」
「…あぁ。」

「ぅ…うちがおるやないか!!」


「………あぁ。」



二人は、凍えた心を溶かすかの様に抱き締め合い……何かを確かめる様な深いキスをする……。


「棗っ。辛い時は泣いてもいいんやで?」

「…誰が泣くかよ。ばーーーか。」



いつの間にか、いつもの棗に戻っていた。







帰りぎわ、微かに棗が泣いていた様に見えたのはやっぱり雨のせいだったかもしれない……………***


END..









後書き

相互記念フリー小説です。
果してこんなモノを貼って下さるサイト様はいるのか……?
自分に問います…ι
あ〜…シリアス系は止めときゃ良かった〜…。
難しすぎる……。
まぁ、こんな駄文を読んで下さった方、心から感謝致します。





相互になりました蓮華様のサイトから頂きました。
感動しちゃいました!!
こんな話もいいですね、素敵でした♪

頂いた日:'05/10/30


-40-

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