君しかいらない

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好きだから

いじめたくなるときだって

あるんだよ



























◆◆◆◆◆◆  君しかいらない  ◆◆◆◆◆◆◆
























今日10月31日はハロウィンの日である。

『Trick or Treat!!』

通称『お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ!!』の意である。

子供達は大人達にこの言葉を投げかけて、お菓子をもらうという行事でもあるのだった。

ここアリス学園の生徒達の間でもそれは同じであった。

誰からも親しまれているこの行事を当然のごとく、蜜柑も大好きな行事の1つであった。

この日だけはどんな格好をしていても文句をいう大人は誰もいない。

「先生ーー!!“Trick or Treat!!”」

「あははv蜜柑ちゃん可愛いね〜♪その格好は…・・・魔女かな?」

職員室にいるナルの元を訪れた蜜柑の風貌は、黒い服に少し大きめのとんがり帽子、片手には箒が握られていた。

腰を飾るゆるく結ばれた赤いリボンがとても黒を引き立てる。

「蛍とおそろいなんよ!!先生、先生、お菓子は〜?」

ぎゅっとナルの腰元に抱きついてせがむ。

「はいはい;ちょっと待っててね〜。」

ナルは机に用意していたあめ玉が5〜6個入っている可愛らしい包みを取り出し、蜜柑に渡した。

「ありがとー!!鳴海先生v」

「いえいえvあ、蜜柑ちゃんお礼は〜?」

ナルは蜜柑の背丈に合わせるように体を屈めて頬を出した。

そして蜜柑はそうだったっと思い出したと思いきや、つつくようなキスをナルの頬にした。

そしてありがとーっと再度告げ、職員室を後にする。















そう、ハロウィンとは豊かな農作物が実った事の神様への感謝の意味を込めてのお祭りごとである。

それがいつの間にか人々にはお菓子をもらった人への感謝の気持ちとして、“頬にキスを・繋ぐ事への祈りをこめて”といのが

当たり前となっていた。頬にキスとはそのままの意であり、繋ぐ事への祈りとは互いが手を取り合ってこれからお互いが元気に過ごせるように

と思いを込めて手をつなぐ事である。

やるもやらぬも全ては本人達次第ということなのだ。

蜜柑は学園の廊下を抜け、外に出た。

当然行く先は中等部寮。

「(はぁ…何で棗は参加せーへんのかなぁ;お菓子もらえる楽しい日なのに



ドアが開かれそこには、いつものように見慣れた棗がいた。

「……なんっつー格好だよ。」

「“Trick or Treat!!”」

「……。」

「ちょっとは反応してや!!なぁなぁ、カワイイやろ〜これ♪蛍とおそろいやねん!!」

「普通。……で、当然1番に俺の所に来たんだろうな?」

「え、あー…棗の所に来るときにな?ちょうど職員室に鳴海先生がいたから先にお菓子もろおてん。」

鳴海という単語が出てきた瞬間に棗の顔が曇った。

「で、でもな?生徒の中では棗が1番やで?!」

「……。」

「ほ、ほんまなんよ!!」

反応を示さない棗に慌てふためく蜜柑。

その時棗が蜜柑をこちらにグイっと引っ張り入れドアを閉めた。

強く腕を握られる。

「な、棗?」

「お前、俺が怒っているの分かってるわけ?」

「え、……き、機嫌が悪いなぁーってのは知ってるけど…理由が分からへんから…それでな?ウチ棗にパンプキンパイを作ったんよ!!

アンナちゃん教えてもろおてな?一緒に食べよ?」

少し遠慮がちに微笑む蜜柑だったが、棗は未だに納得のいっていない様子。

そんな棗に対して今に泣き出してしまいそうな蜜柑。

棗は深いため息をつき、口を割った。

「お前俺に聞いたよな?」

「ん?・・・…あぁ、“Trick or Treat”の事?」

「俺はお菓子も何も用意してない。」

「へ?う、うん。別に気にせんでもえ「だからイタズラの方で。」














































「は?」



















































「イタズラの方でいいって言ってんの。」

にやりと悪巧みをたくらんでいるかのような、笑みを浮かべる棗。

「ちょ!!!そ、それって普通ウチが棗にイタズラするんとちゃうん?!」

急なことに頭がついていけてない蜜柑。

「あぁ、それでもいいぜ?俺に“イタズラ”してくれるんだろ?」

口角を上げて微笑む棗に蜜柑は、引きつりながら後ずさりをする。

「どーこ行こうとしてるんだよ、ほら。」

「ほ、ほらじゃないってばーーー!!!」

「あの変態ヤローにキスしておいて俺には何もないってのはおかしいだろ?」

「うっ……;」

さも見ていたかのように図星な事を言われて思わず固まる蜜柑。

その隙を狙ったかのように、蜜柑を抱きかかえ、世間で言うお姫様だっこして部屋へと連れて行った。

「い、いややーーーー!!!」

「約束を破ったお前が悪い。」

その後蜜柑の叫び声が響いた事は、ハロウィンで騒ぐ寮や学園の中では無意味だった。







                 ――――――――――――――――・・・  君の泣き顔も 僕には宝物 ・・・――――――――――――



                                                      Fin












□□□□ あとがき □□□□

お待たせいたしました〜!!

マキさーん!遅くなってしまいまして本当に申し訳ないです><

何とか本日ハロウィンに間に合いました(^_^;)

よろしければお受け取りください><

執筆日:10月30日

〜青空の奏でる唄〜 そらうた。

From ホトリ


しゅ…出産祝いでホトリ様から頂いちゃいました♪
なんとも可愛らしい話に萌えの上、
蜜柑がナルにチューしたvV(ソコカヨ!!)
それに妬く棗様…最高のモノをありがとうごございました!!(興奮)

頂いた日:'05/11/01


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