おやすみ…

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……眠れネェ‥





俺は寝かしていた身体を起こし、
サイドテーブルに置いてある電気を付けた



…これだから夏は嫌いだ

ただでさえ毎日眠れないのに
更に寝付きが悪くなる



―…はぁ‥

と溜息を一つ吐き、洗面台に向かった









部屋に戻ろうと、水を止めた時

ドアを静かに叩く音がした






―‥こんな時間に誰だ?


そう、思いながらも、ソット扉を開けてみる





扉の外に居たのは、髪を結んだ一人の少女



―…みかん




「…どうしたんだよ?こんな時間に」





『‥寝てた?』



「ぃや‥起きてた」



『部屋‥入って良い?』


「ぁあ‥」




正直、こんな時間に
部屋に入れるのは抵抗があったが

いつもと様子が違う蜜柑が気になって
部屋に通す



静かな部屋に
俺と蜜柑の二人だけ


部屋に入っても尚、蜜柑は黙って俯いてる



…ナニがあったんだ

気になるけれど、
聞かない


自分から話すまで
待つことにした



……ぁ‥

ティーカップの中の紅茶が無くなったことに、気がついて立ち上がる






途端、引っ張られた

「ッ――‥」

バランスを崩しそうになるのを、なんとか持ちこたえて問いかける


「‥なんだ?」


普段なら怒るとこだが、冷静に優しく問う





『………一人にしないで』


「―――…」





震えた声で小さく呟いた


俺の服の裾を握る手も、微かに震えていて



俺は黙って蜜柑の隣に座る


裾を握る手は離され、
けれども手の震えは止まらなく…ソレを必死に隠そうとする蜜柑を見るのが、ツラかった



「…………」


なんとかその震えを止めさせようと、蜜柑の頭を撫で、抱き締めた




『棗……』





今、蜜柑は目を瞑っているだろう



いつもこうすると
心地よさそうに、目を閉じているから



そっと俺の背中に腕が廻される




『棗…聞かないの?』

「聞いて良いのかよ?」

『ぅん…なんか少し、安心した‥』

「‥なにがあった?」








此程までに震えていた理由は…?





『―――――‥』


ボソボソと小さな声で紡いだその言葉を聞いて、俺は呆れた




「……お前、そんなコトでこんなに震えていたのかよ‥?」


『‥そっ…そんなコトって…ウチは本当に‥』




涙目で見上げて反論する





「大丈夫だ…そんなの作り話に決まってるだろ?」


『でも…』


「大丈夫だから」


『……ぅん』








―‥蜜柑が言うには

今日の夜…今井達と一緒に居た蜜柑は
【アリス学園の本当にあった怖い話】なるモノを聞かされたらしい

それで、思い出して眠れなくなっちまった‥というコトだ





犯人はアイツ等か‥
と思いながらも、とりあえず大した理由じゃないことに一安心した




「…にしても、お前‥」

『‥?』


「なんで早く言わねぇんだよ」





理由を聞くと、あっけないもんだ




『だって、話そうとすると‥怖い話してる時の蛍と心読み君の顔が浮かんで喋れなかったんだもん』


「そんなに怖かったのか?」


『ぅん…スゴいこわかった‥』




―…どんだけ怖がらせてんだよ‥





俺は今井達に、呆れと怒りを感じながらもそれを隠して蜜柑に続けた





「それで俺の部屋来たりして、‥考えなかったのか?」


『なにを…?』


「襲ってたかもしれねぇだろ?」




なぁ‥?と妖しく笑った



『なっ…』


「こんな時間に男の部屋来て‥あんな隙だらけじゃ
『襲って下さい』
って言ってるようなもんだぜ‥?」


『〜〜〜じゃ鳴海先生のトコ行けばよかったの?!』


「〜はぁ?なんでそうなるんだよ」


アイツの所なんんて、俺の部屋に来るよりヤバいだろι
(爆/信用なし‥笑)




『だって鳴海先生、お父さんみたいだもん』


「……お父さん?」


『うん!!!』



――無防備すぎるのも困りモンだな


‥まぁ、いくらアイツでも生徒には手をださねぇか




『眠れない時、一緒に眠ってくれたし』



……………


「…………は?」


『脱走しよぅとした時あったでしょ?』

「あぁ‥あったな‥」


『あんとき』




………………あいつ


(棗さんかなりキレてます/笑)



「お前‥何もされなかったか?」


『…?ぅん‥』


「なら‥いぃ」


『…………棗ι』


「なんだよ?」


『やっぱ怖い‥今日棗の部屋泊まっちゃダメ?』


「はぁ?また怖いのかよ‥」


『だってアノトキの蛍と心読み君の顔‥本当に怖かったんだもん』



『……夢に出るかも』


「………お前‥俺の身にもなれよ」


『へ?』


「同じ部屋に一晩いて、何もするなってか?
お前案外ヒドい女だな」


『ヒドくない!!普通でしょ!!!!』


「普通じゃねぇよ」


『もぅいい!!!』



!!?



「オイ!!どこ行くんだよ!!」


『翼先輩のトコ!放してよ!!』


「もう寝てるだろ」



――コイツ俺とつき合ってるクセに



『じゃぁ鳴海先生に頼んで‥』


「いい加減にしろ」


『――――ッ』




突然腕を掴む力が強くなり、声が低くなったことに固まってしまう



「お前‥人懐っこいのはいいけど、こんな時間に男の部屋なんか行くんじゃねぇよ」


『…棗も男じゃん』


「俺はいいんだよ」


『…な‥んで』


「……ι彼氏‥だろ?」

『…!?うん‥』


「とにかく‥なんもしねぇから、他の奴んトコなんか行くなよ」


『じゃ‥泊まってイイ?』


「………一緒に寝てやるよ」



『えッ!!?いいよ!ヤダッ』


「ヤダって‥なんもしねえッつっただろ」


『だって…』



ジーっと棗を見る蜜柑



「信用してねぇのかよ」

『…………ι』



視線を逸らす



――………チッ




「じゃあ‥もし俺が何かしたら明日一日、お前の奴隷になってやるよ」


『えっ?!本当?』


「何かしたらな。これならイイだろ?」


『………ぅ〜ん‥』



奴隷ってゅうのもいぃかも…でもそしたら何かされるし‥


(ぅ〜んと悩み続ける蜜柑)



「おい。悩んでんじゃねぇよ。もう寝るぞ」


『え?あ!待ってよ』




さっさとベットの方に行ってしまう棗を慌てて追いかける




『ねぇなつめ』


「…なんだよ」


『なんもしなぃでね?』


「しねぇっつってるだろ」


『……うん』




暫く棗を見つめ口元を緩ました



「なに笑ってんだよ」


『別に〜』


「…………」



グイッ



『わっなに!?』


「こぅしててやるから早く寝ろ」



自分より華奢で、小さな蜜柑の体を抱き締めて目を瞑った




『‥あったかい』


「…これなら安心して寝れるだろ?」


『!ぅん‥』




暫くすると、
静かに規則的な寝息が聞こえてきた



「‥みかん…?」


『…‥スゥスゥ‥』


――眠ったか‥


『ん‥な‥つめぇ…』


「!?……///」



―サラ‥



蜜柑の髪に手をやると甘い香りを漂わせながら流れた






「……おやすみ…」




蜜柑を抱き締め直し再び目を瞑った





甘い香りと心地いい体温に‥

これなら俺も眠ることが出来そうだ





小さな悪戯をキミの首筋に残して…




End




後書き



……ハズい(笑)


でもUPする。





私の書く棗蜜柑は
精神年齢が高いですι

キャラ違うぞ!
ってのバッカですι
おまけに蜜柑標準語だし…

でも関西弁書けないんですよ〜‥


はぁ‥



でもコレはわりと棗蜜柑らしく書けてるような‥


2004/09/25/+秋羽+
†+-INSPIRE-+†

閉鎖にあたり、いくらでも頂いてもいいというお言葉に甘え頂きました♪
秋羽ちゃんありがとうございますvV
素晴らしい展開に笑わせて頂いたり萌えさせて頂きました♪

本来リクエスト作品なのにいいのかなって思いましたが許可は頂いております。
はい。


-5-

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