特別な存在

Treasure

つまらねぇ


ざわめく教室の中
俺は取り巻きに囲まれている

周りは楽しそうに会話してる

俺はただその会話にボーと耳を傾けていた



好きなテレビの話


好きな歌の話


好きな歌手の話


好きなドラマの話





ありきたりの
くだらねぇ会話




そんな中、パーマが話しかけてきた




「棗くんの好きなモノって何?」





何が楽しいのか
満面の笑顔で聞いてくる




「何でもいいだろ…」




冷たく言い放つと
表情を変えた

悲しそうな笑顔




わからない

俺は
他人の好きなモノや
他人が昨日した事なんて興味ない



どうでもいい
知りたいと思わないんだ





他人からすれば
こんな事言ったら


"冷たい奴"


そう思われるだろう
けれど
昨日何してたか
どんなモノが好きか

"知りたい"と
"知って欲しい"と、
思える奴に出逢えないんだ。




それはきっと
俺が他人を信頼してないからなのか

それとも
知らず知らずの内に、他人を拒絶しているからなのか…




わからない




けれど確かに言えるのは

唯一、流架だけが
"好きなモノ"を言える存在だった






そんな存在が
居なくなってしまったのはいつだったか

いつも隣にいるけれど
離れていってしまったのはいつ?



距離が出来てしまったのは
いつだ?










陰りのない笑顔をするアイツの隣で
照れたように笑うアイツを見て


"嫉妬"するようになったのはいつだったか?






―…棗が笑わないなら

俺だって笑わない



棗が苦しい時に




俺一人

楽しい思いなんてしたくない…―






流架がそういった時
俺はとても苦しかった




大切な人間を
悲しませる事しか出来ない


悲しそうな顔なんて見たくない


"笑ってほしい"




けれど、俺にはそんな事言えない

同じ事を言われて俺は笑えない





だから…流架の笑顔が見れて嬉しい




…筈なのに





このドロドロした感情はなんだ?




流架の笑顔を取り戻したのが俺じゃなかったから?



それとも、俺が流架に対して"親友"以外の感情を抱いてしまったから?





多分…後者だ。







流架が蜜柑に触れるのが
嫌だ。

蜜柑



暖かい陽射しが指す屋上で

蜜柑と二人、昼寝




……好きな歌や好きな事の話をするよりも、俺にはずっと有意義な時間だ






「……………ん……」



目が覚めると空はもうオレンジ色で
慌てて隣を見る




「…………」


「……Zzz…」




ふと笑みがこぼれる
そのまま寝顔を見ていようと思ったけれど、風邪を引かせたくないから起こす事にした




「………おい…蜜柑、起きろ」


「ぅ……棗…おはよ」


「……ι」



寝起きのコイツは
甘えてくる



「蜜柑…離れろ」


「イヤ」


「犯すぞ」


「………
……………
……………すみませんでした!!!」



反応遅すぎ



「ったく…俺部屋戻るからな」


「あ!棗ストップ!!」


「あ?」



怪奇そうな顔をしてその場に立ち止まる


「なんだよ?」


「いいからさっさと座れや」



…どこのヤクザだ?


とりあえず言うとおりにその場に座ると今度は逆に蜜柑が立ち上がる



「何すんだよ」



俺が蜜柑を見上げている



「……口開けて」


「…は?」



意味の分からない行動

口を開けてみると何か甘いモノが入ってきた



「…飴?」


「いちご味や」



ニッと笑って今度は頭を撫でてきた



「………何のつもりだι」


「ん〜…さっき棗元気なかったやろ?甘いモノ食べると元気になるし」


「それで飴かよ」


「元気にならん?」

「頭撫でたり…飴食わせたり……ガキかよ俺は」


「小5は十分子供やろ?」



「……お前は今ので元気になるのかもしれねぇけど、俺は違う」


「じゃじゃあ…何すればえぇんや?」


「そうだな…」


「念のために言っとくけど、変なことはせんからな!!」


「…抱きしめさせろ」


「…そんなことでえぇの?」


「不満か?」


「いえ!!喜んで!!」



……


………ぎゅ……



「……棗」



やっぱ俺もガキかも

…こんな……



「ちっせぇ胸…」


「!!!セクハ…「でも」


「…でも、落ち着く」




蜜柑の胸に顔を埋めて

こんなの…ガキのやることだろ……




だけど、落ち着く…


「棗」



子供をあやすように背中をそっと叩く




「…蜜柑……」







それからどれくらい経ったのか
辺りはすっかり暗くなっていた

そんな時、ふと思った事




「…お前の一番好きなモノってなんだ?」


「は?好きなモノ…モノやないけど……蛍。」


「…次は?」


「じぃちゃん」


「……次は?」


「?…鳴海先生」


「………次は?」


「??……翼先輩」


「……俺は何番目だよ」



蜜柑を抱きしめる力を強める



「…棗は順位に入ってへんよ」


「はぁ?!」


「棗は特別や…一番よりずっと上」


「………意味わかんねぇ」





だけど、何だか嬉しかった


一番ではない
だけど
もっと上の存在


蜜柑の特別な存在




「棗」


「なんだ」


「ウチも棗の"特別"やろ?」


「…自信過剰」




聞くなよ
そんなこと

お前以外に誰がいるんだ




蜜柑にとって
俺は特別で
今井が一番なら


俺にとって
蜜柑が特別で
一番は…流架



今はまだ言えない


失うのが怖いから

けれど、俺の一番が流架である事はこれから先ずっと変わらない
だから…いつか、言えたらいい

前のように




俺の
何よりも
誰よりも…

流架よりも
ずっと

一番よりも
ずっと

大切な
特別な存在




"蜜柑"が好きだと…



End




――――――
後書き
――――――


何これ…………
あまりの駄文に涙が……ι

甘甘をね!書こうとしたんですよ…したら…あらまぁ、見事に玉砕☆(壊)

なんか最初BLっぽいし…シリアスにギャグに…なんだかジャンルわけに困る作品ですι
ですが、一応棗蜜柑の切甘って事で!!


あ、棗と蜜柑は周りに秘密で付き合ってるんですよv
流架に知られたくなくて。


最後の方は棗甘えたさんです(笑
ですが、自分で書いといてアレだけど一番よりずっと上の特別……って意味不明ですよね。

はは…軽くスルーして下さいι


では、此処まで読んで下さってありがとう御座いました♪


――――――
20050111秋羽
†+-INSPIRE-+†

閉鎖にあたり、いくらでも頂いてもいいというお言葉に甘え頂きました♪
秋羽ちゃんありがとうございますvV
この話は棗が蜜柑にとって唯一無二の存在っていうのがツボでしたvV

本来リクエスト作品なのにいいのかなって思いましたが許可は頂いております。
はい。


-7-

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