Ridiculous syndrome

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「ナル。ほら、薬だ」
「あ、ありがとう、岬せんせ…ごほっ」
「しかし……おかしいな。馬鹿は風邪など引かない筈なんだが…」
「岬先生ぇ〜ι」

真顔で言う岬に、鳴海は泣きたくなった。

ここは鳴海の自宅。
岬は珍しく風邪を引き込んだ鳴海の看病に来たのだ。

「けほっ…そ、そういえば……生徒達は…?」
「ああ、副担任が頑張っているから大丈夫だ」
「そっか……」

その言葉に鳴海は寂しさを感じた。
未来を担う可愛い子供達。
自分の大切な生徒達。
彼等と共に居ることが出来ないもどかしさがある。

「安心しろ。お前が風邪を引いて休むって聞いて、愉快そうにドンチャン騒ぎだったからな」
「がぁーーん!!!Σ( ̄□ ̄|||)」
「俺も気分が良い。新種の植物が出来そうだ☆」
「岬先生ぇーー僕のこと嫌いなんだぁーー(>_<。)」

泣きながら寄ってくる大の大人を、心底欝陶しいと岬が思ったその時……


バタンッ!!!!


「鳴海先生ぇーー!!!!!」

けたたましくドアを開ける音と、これまたけたたましく響く甲高い声が室内にこだました。

「蜜柑ちゃん!!??」
「佐倉!!??」

驚く二人に目もくれず、蜜柑は鳴海にしがみつく。

「嫌やぁーー!!!!鳴海先生死んじゃ嫌やぁーーー!!!!!!」
「ちょっ、み、蜜柑ちゃん!!??」
「うわぁぁぁぁんっ!!!!!!」

訳が分からず鳴海は同僚に視線を向けるが、返されるのは「俺が知るかよ」な視線だ。

「蜜柑ちゃん、取りあえず落ち着こう?ほら、大丈夫、大丈夫…」

首に腕を回して泣き喚いてる少女の背中を軽く叩いて、何とか落ち着かせようとする。

「うぅ……ぐすっ、ぐすっ」
「落ち着いた?で、何があったの?」
「あっ、あのなっ…ほ、蛍が……鳴海先生が…『痔』で死にそうになってるゆうて…ウチ…ウチぃーー!!!」

「「ぢぃ!!!!????」」

「うわぁぁぁぁんっ!!!!鳴海先生死んじゃ嫌やぁっ!!!!!!」



脱力感に苛まれる鳴海と、笑いを堪えきれない岬。

「ぷくくっ……そうか、じゃあさっきの薬は効かないな☆」
「岬先生っ!!!……あ、あのね、蜜柑ちゃん?それは今井さんにからかわれたんだよ。僕はただの風邪だからね」
「嘘やっ!!!ウチに心配かけないようにしてるんやっ!!!鳴海先生、今にも死にそうなくらいに辛いんやろっ!!!???」
「ぶっ!!!ぷくくっ…///」

岬はとうとう蹲り、床をバンバン叩いている。




「みーさーきーせーんーせぇー」
「〜〜〜あー、腹痛い…おい、佐倉。そういえば授業はどうしたんだ?」
「副担任の先生のアリスで授業にならへんから、皆バラバラに逃げたんや」
「お、おいι」

学園屈指の問題児クラス(担任含む)がフリーで出回ってるのだ。誰が聞いても慌てるだろう。

「こうしちゃいられないι鳴海、俺行くから」
「皆をお願いね。あ、ムチ豆はそこの棚の上だから」
「……また勝手に持ち出してι」


岬が部屋を出て、ふぅっと一息ついた。
未だにしがみついてる蜜柑を引き離す。

「蜜柑ちゃん。風邪移ると悪いから、教室に戻ろう?」
「嫌や。ウチ、先生の看病するっ」

頑として譲らない蜜柑に、鳴海は頭を抱える。

「蜜柑ちゃ…ι」
「だって、早く先生に良くなってもらいたいんや!!!ウチ、鳴海先生大好きやvV」
「蜜柑ちゃん……。うん、僕も蜜柑ちゃん大好きだよvV」

再度抱き付いてくる少女を抱き締め返す。
いつも抱き付いてくるこの少女とは、日常茶飯事のスキンシップだ。

「皆、鳴海先生を心配してたんや。だから、早く教室に戻って来てな☆」
「ありがとうvV」

しばらくスキンシップを楽しんでいたら、小さな寝息が聞こえてきた。

「うふふvV看病するって息巻いてたのにね♪」

そっとベッドから抜け出し、別室の寝室に寝かせてやる。
以前添い寝をしたことがあったが、やはり風邪を移す訳にはいかない。

寝汗が外気に触れてヒヤリとした感触がしたが、取りあえず気にしないことにした。




寝息を立てる幼い少女。
この少女に課せられたモノは、あまりにも大きい。
あの女の血を引く娘……そして…禁忌のアリス……

守ってあげたいと思う。
この少女の未来を。

彼女の娘だから?
……いや、違う。
この少女だから。

オトナの都合に振り回したくない。

笑っていて欲しい。
幸せになって欲しい。

僕は……君の笑顔に救われたから…


「おやすみ、蜜柑ちゃん」

ドアを静かに閉め、元の寝室に戻る。

なんだか体がゾワゾワする。……冷やしたからだろうか。
心なしか頭がクラクラする。きっと大声を上げたからだろう。

眠れば治る。

そしたら教室に戻ろう……

皆が……待ってる……




―次の日―

「げほっげほっ」
「大丈夫か、鳴海?ほら、座薬(本当は熱冷まし)あるぞ♪」
「うわぁぁぁぁんっ!!!!!鳴海先生、やっぱりぃーー!!!!!!」
「しくしく……(T_T)」

見事に悪化したナルだったとさ♪



END


あとがき

…ナンダコレ……ワケワカンナイヨ……ブツブツ…

最初に謝っておきます。
アリスファンの皆様、お目汚しですみませんでしたm(__)m

知ってる方は知ってると思われますが、活動及び徘徊地域が種の変な人間です。
この度懇意にして頂いてるマキおねぇちゃんがご懐妊なさったということで、図々しくもこんな堕文を書いちゃいました

何分アリスを書くのは初めてだったんで、書く上でネタに困りました。そこでおねぇちゃんに相談したら、暴走話から『痔』の一言が何故か飛び交い
「本当に使っていい?」
「いいよ」
と、ナルに大役をやらせちゃいましたvV

暴露すると……実は、このサイトのナル&蜜柑小説は、ほぼ全て私が我が儘言って書いてもらったものですナル好きなんです
あと『ナル汁』発言者も私だったりします色々と怪しく暗躍してます

それでは、いい加減これ以上ボロが出ない内に消えます。
失礼しました(逃げ)

皐月



皐月ちゃんへ

逃げんじゃねぇ〜おらぁ〜Σ∠(`д´)
ガシッと捕まえました。

さて、こんな楽しげな小説頂いちゃいましたvV
前々から『痔ネタ』話を聞かされていて、早く書け!!と冗談半分で言っていただけに…
書いてもらっちゃったvV

あー、メール貰って読んだ時は笑いました!!
ありがとう、皐月ちゃんvV




頂いた日:'05/1/30


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