美少女コンテスト


冴え渡る秋の空
市立第四中学校では、男子生徒による『美少女コンテスト』などという催しが開かれようとしていた。
当然、女子は嫌な顔をしていたが、男子曰く

『女子だって美少年コンテストを開いているんだから、やったっていいだろ』

などと言われてしまい、反論など出来ずに催しは実行される事となった。
ただ、美少年コンテストと違うといえば、クラス代表などと言うわけではなく、男子がいい!と思った女生徒に投票するという仕組みだった。
上位10名を選抜し、最終的にその中からグランプリを選ぶのだった。
そして、2年1組からは2人が選ばれていた。
1人は、母親がフランス人という日仏ハーフの花小町クリスティーヌ。あの特定の人物が絡んだ時の暴走は別として、お嬢様特有の優雅な物腰や女らしい仕草、美しい外見から見ても美少女と言わざるおえない。
そして、もう1人はというと金色の長いさらさらの髪に人を惹きつける大きな碧玉の瞳。くるくると変わる表情で笑顔が評判の光月未夢だった。
だが、未夢は、自分が選ばれたなんていうのは何かの間違いだと思っていた。ちなみにぶっちぎり投票1位だったのだが、その順位は知らされていなかった。
未夢は、見せ物になるような気分がして屋上へと逃げていた。
校庭をフェンス越しに眺め、今日何度目かのため息を吐いた。

「はぁ〜…なんで私が選ばれるんだろ……クリスちゃんならともかく私なんておかしいよ…」

涼しくなった秋風を頬に受け、ぼんやりと眼下に広がる校庭を眺めていた。昼休みだからなのか、校庭ではサッカーをしている男子の姿があった。
その時、不意に後ろから声をかけられた。毎日、学校でも家でも聞き慣れている少し低い声

「何してるんだ」

「彷徨…」

後ろを振り向き、確認すればやはり同居人である彷徨が立っていた。
頼まれて、探しに来たのだろうか。そんな風に思いながら、また校庭の方を眺めた。

「そろそろ時間だぞ」

「ん──…」

生返事の未夢に彷徨は少し怪訝そうに顔をしかめた。
未夢の横に来て同じように校庭でサッカーをしている生徒たちを眺めた。そして、目線はそのままにポツリと呟いた。

「なんだよ、自信ねぇのか?」

「なにが?」

突然の言葉に未夢は横を向き、聞き返した。彷徨は、構わずそのまま口を出し今度は未夢の方を向いた。

「美少女コンテスト」

「そりゃ…そんなの自信なんてある訳ないじゃない! それなのに……私なんか出ていいのかな?」

未夢は少し困ったようにアハハっと笑いながら呟くが、彷徨はジッと見た後また目線をずらすとなんとなくムッとした感じで言葉を紡いだ。

「まぁ、仕方ないんじゃないのか? まがりなくとも投票で選ばれたんだから、少しくらいは大丈夫じゃねぇの?」

内心、彷徨は全男子生徒に腹を立てていたのだ。大丈夫といいつつも、未夢が投票ぶっちぎり1位というのを三太から聞いていたのだ。

(くっそ…未夢の人気ますます高まるじゃねぇか)

そんな事思いつつ、未夢の自覚なさにも腹を立て、これからの事を考えると腹立たしくなった。

「で、でも見かけで女の子に順番なんて…バカにしてるわよ」

未夢を見ると、なんとなくむぅっとした顔をしていた。未夢は自分が可愛いだなんて自覚がないだけに、このコンテストが嫌らしい。
彷徨は、クッと笑うと

「何言ってんだよ、女子だって『美少年コンテスト』やってんじゃん。それに、とりあえずは名誉だろ。女の子にとっては」

「そりゃあ〜そうかもしれないけど〜〜でもさ、やっぱり私なんかがおかしいっていうのよ」

まだ、納得いかないのか未夢はう─ん…と考え込んでいる。彷徨は頭を掻くと呟いた。

「………悪かったよ…」

「何で彷徨が謝るの?」

その言葉に未夢は意味が分からないという感じで、彷徨をジッと見上げた。
彷徨は、はぁ〜っとため息を吐くと未夢を見つめ返した。

「俺もお前に入れたんだよな…一般投票で」

「なっ、なんで? クリスちゃんじゃないの? あっ! そっか、義理は大切だよね」

未夢の能天気な笑い声に彷徨はくらりと眩暈がした。彷徨がまたため息を吐くと、未夢は「なんなのよ〜」という視線を投げてよこした。

「あのなぁ〜義理なんかじゃないっつ─の!」

「じゃあ、なんで? クリスちゃんの方が美人じゃない」

「確かに世間一般的に花小町は美人だろうけど、俺にとってはなっ……あ…いや…」

不意に出てしまった本音に彷徨は慌てて口を閉ざした。未夢は怪訝そうに彷徨を見上げると

「なんなのよ?」

「(言えるかよ〜『俺にとってはお前が1番だ』なんて〜〜)な、なんでもねぇよ…」

キーンコーンカーンコーン…

「あっ…」

「予鈴か…教室戻るか。そういえばお前を探しに来てたんだっけ」

タイミングよく予鈴がなり、彷徨はホッとして校舎の入り口へと足を向けた。

「あっ、待ってよ〜〜」

未夢も慌ててその後を追い掛けた。そして、本当は彷徨の言葉が嬉しくて仕方なかった。

(義理でもなんでも、彷徨…私に入れてくれたんだ……)

頬が熱くなるのが分かる。そして、聞かされた賞品の事を思い出してクスッと笑った。

「なに、笑ってんだよ」

「うぅん、ただ賞品貰えたらいいな〜ってね!」

「賞品ってなんだよ? またさるカメラとかか?」

「違うよ〜、このコンテストね、ななみちゃんが言ってたけど『シンデレラコンテスト』って名前が付いたんだって。
 それでシンデレラに懸けて賞品パンプキンパイなんだってさ!」

「……へぇ」

「彷徨、カボチャ好きでしょ? だから、賞品、貰えたらいいね!」

ニコッと笑い、未夢は彷徨を追い越して歩いて行ってしまった。彷徨は、未夢の言葉を思いながら少し頬が赤くなった。

「………あいつは…本当に…」

分かっているのだろうか?
自分が俺の為にパンプキンパイが貰えたらいいと言った事を……いや、俺の為、というのは自分の願望か。
それでも、俺がカボチャ好きだから、欲しいと思ってくれたのだろうか?
なんでもいい
少しでも気にかけてもらえているなら
とりあえずは、目の前の愛しい人に一票

「彷徨〜? 何してるの?行かないの?」

「あ、あぁ…」

そんな思いを反芻させながら、愛しい彼女の後を追い掛けた。

その日の夕食後、おやつにパンプキンパイが食卓に並んだのはそれから数時間後だった。




END


あとがき

微っ妙〜〜!!なんだか、駄文としかいえない出来ですな。
一体、何を言いたかったのかさっぱり分からない話になりました。お粗末でした!


2006/11/12


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