独占欲?


お弁当を食べようとして未夢は綾とななみとで中庭を目指していた。

「さあ、お弁当早く食べよう!」

「待ってよ、ななみちゃーん」

張り切るななみを追い掛けようとして水飲み場を通り過ぎようとした瞬間、綾の声が響いた。

「未夢ちゃん! 危ないっ!!」

へっ?と思って振り返った時には、びっしょりと未夢は濡れてしまったのだった。

「……うそ…」

呆然とする未夢に綾もななみも駆け寄ってきた。

「未夢っ!」

「未夢ちゃん、大丈夫?」

「……え、と…」

事態が理解出来ずにいたが、ななみがいち早く水が飛んで来た方を向いたので、未夢もそちらを向いた。
見れば一年生だろうか、体操着姿の男子が数名こちらを青ざめた顔をしてみていた。

「ちょっと、アンタたち!」

「「「「す、すみません!!」」」」

慌てて謝る彼らの足元を見れば水で濡れていた。きっと体育が終わった後で手や顔を洗っていて、ふざけてしまったのが未夢にかかったようである。
それを理解した未夢は苦笑するしかなかった。ここで彼らを責めても濡れたものは仕方ない。

「あ─……いいよ。乾かせば大丈夫だし。でも今度から気をつけてね」

済まなそうな顔をしてるのを責める気にはなれなくて、ぽたぽたを落ちる滴を拭った。

「どうする? 着替えある?」

「うーん……」

「とりあえず、教室に戻ろう。タオルあるし」

綾とななみに促されて未夢はびしょ濡れのまま教室へと走ったのだった。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「未夢ちゃん!? どうしたの? その格好」

急遽、響いた声に彷徨は発生源となる教室のドアへと目を向けた。そこには、自分の同居人である未夢の姿があったのだが…びしょ濡れだった。

「ちょっと、水がかかっちゃって……」

苦笑する未夢の長い金色の髪はじっとりと濡れて、重みがあるように見える。なんとなくだが、濡れた髪を掻き上げ纏めようとしている姿がやけに印象的だった。
気がつけば、クラスのほとんどが未夢に注目しておりやけに男子が顔を赤らめている事に彷徨は気付き、もう一度未夢の方を向いた。

(あ、あいつっ…!!)

そう、髪を掻き上げ白いうなじと共に制服が濡れている為、ブラウスが肌に張りつき下着のラインが見えていた。
男子はそれをみて、ニヤニヤとしているのに気付いた彷徨は立ち上がり、未夢の元へと近づく。

「何やってんだよ、お前」

ななみが持っていたタオルを借りて髪を拭いていた未夢の前に立ち、男子の視線を妨げるように彷徨はそばに寄った。

「彷徨、いや〜水が横からブシューってね……」

細い肩にタオルを乗せ、濡れた顔をふく未夢の姿を見ながら彷徨はため息を吐いた。そして、後ろを振り返り未夢を見ようとしている男子たちに無言の圧力をかけた。

(おめぇら、見てんじゃねーよ)

そんな態度の彷徨に未夢は不思議そうに、ななみは笑みを浮かべ見ていた。もっとも綾は、そんな彷徨の態度がネタになるのかふむふむとメモをとっていた。

「あ、そんなことより早く着替えた方がいいよ。未夢」

「そうだね……あ〜でも体操服持ってないよ」

「あ〜〜…今日体育ないからねぇ〜」

どうしよっか。と悩んでる未夢をみて、彷徨は

「じゃあ、俺の貸すか?」

「え? 彷徨持ってるの? なんで?」

「ああ、今日からバスケ部の助っ人頼まれてたんだけど、顧問の都合で今日の練習はないらしくて」

「へぇ〜そうなんだ……ってダメだ」

「なんで?」

「だって、彷徨の体操服借りたなんてクリスちゃんが知ったら……」

彷徨の言葉を聞きつつ、思い当たった予感は確実に当たりそうで悪寒が走った。
当の本人はただ今、教室内におらず話を聞いていないので、まだ暴走の被害には陥っていない。が、今さっきの彷徨の意見を聞いていたら暴れていたのは確かだろう。

「じゃあさ、未夢ちゃん。演劇部の衣裳貸そうか?」

さっきまでメモをとっていた綾が、やや瞳を輝かせながら言葉を発した。

「でも……いいの?」

「うん。平気平気♪ じゃ、さっそく着替えに行こう!」

綾に背中を押され、未夢はななみと供に演劇部の部室にと向かった。それを見送りながら、彷徨は少し疑問に思った。

「……しかし、横からブシューってなんだ?」


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「きゃ──っ! 未夢ちゃん、可愛い──っ!! 似合う──っ!!」

演劇部の部室にて、綾がバタバタと手を振り上げ絶叫していた。

「あ、綾ちゃん……なんでこんな格好…」

「うんうん、やっぱり未夢ちゃんは何を着ても似合うねぇ〜とっても可愛いよ〜〜」

「あ、ありがと……って、そうじゃなくて!! なんでメイド服なのぉ〜〜」

「そうだよ、綾。こっちにセーラー服あるじゃん」

ななみがセーラー服を持ちながら、おいおい。という感じに綾を見るが

「うーん、セーラーもいいんだけどね。やっぱり男心をくすぐるというか『萌え』させるのはやっぱり究極なる男の夢、男のロマン。メイド服だと思うのよ〜〜」

「「はぁ〜?」」

「だって、だってぇ〜メイド服姿の未夢ちゃんを見た西遠寺くんの反応見たいじゃないっ!!」

「あ、な〜る」

綾の力説にななみは、ぽんっと手を合わせるも未夢は真っ赤になって絶叫した。

「なっ…なに言ってるのよ。綾ちゃんっ!?」

「え〜〜だめぇ〜?」

「ダメに決まってるじゃない。だ、第一こんな格好で授業なんておかしいよ〜」

「まぁ、確かにメイド服で授業は受けらんないよね」

「でしょ、でしょ、ななみちゃん。と、言うわけだからセーラーに着替えるね」

ババッとななみの持っていたセーラーを取り、未夢は奥へと逃げていった。その姿を見ながら、綾は「ちぇっ」とすごい顔をして不満そうにしていた。

「おいおい…」

(……まったく、綾ちゃんたら…)

未夢は、顔を赤らめながら丁寧にメイド用のハットまで付けられていたのでそれを外しながら、着替えていたのだった。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


着替えを終わり、未夢たちは教室に戻りつつもなんだか注目されてしまった。

「えっ? な、なに…」

未夢は、見られている事に驚きキョロキョロしていた。

「な、なんか変かなぁ〜」

「そんなことないよ、未夢ちゃん」

「そうそう、似合ってるよ、未夢」

「じゃあ、なんでみんな見てるのかな?」

「……それは…」

それは、未夢の履いてるスカートのせいだった。スカートはよりにもよって、膝上15cmのミニプリーツで真っ白い未夢の肌が丸見えなのだ。
そんなのを分からずに教室に入れば、女子たちが一斉に寄ってきた。

「きゃあぁぁぁ〜未夢ちゃん可愛い〜〜」

「いいなぁ〜セーラー服って1度でいいから、着てみたいよね〜」

「うん、うん。可愛いよねぇ〜」

女子たちは、未夢たちを囲み自分たちもセーラー服を着てみたいと騒ぎはじめた。
一方、男子たちは普段見ることのない未夢の生足ミニスカ姿に顔を真っ赤に染め上げていた。
ただ一人、顔をほんの少しだけ赤くした彷徨はどことなく苛立っていた。

(〜〜〜スカート短すぎだっ! あのバカっ!!)

家で普段着とさほど変わりないスカート丈だが、彷徨は怒っていた。

(なんっで、あいつは〜〜〜…)

ああも無防備かつ警戒心というモノを持ち合わせていないんだ!!と眉間に皺を寄せていた。その表情に気付いたのか、未夢がこちらに寄ってきた。

「……彷徨? どうかしたの?」

首を傾ける未夢に彷徨は、ドキっとしてそっぽ向いた。

「…………別に」

「そう? あ、彷徨今日帰り、買い物付き合って! なんか色々いっぱいなんだよね」

「あ、ああ……わかった」

「お願いね」

そう言うとぱたぱたとポニーテールと短いスカートを揺らして未夢は席についた。やはり、一人だけ短いスカートが恥ずかしいらしい。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


放課後、未夢は早々に帰り支度をすると教室を出ようとした。
彷徨に買い物を一緒にしてと頼んだが、クリスの手前一緒に出ていくのは危険だから。
教室を出て、廊下を歩き、昇降口まで行く途中でもセーラー服は浮いていた。可愛いのだけど、目立つのは苦手だ。
外に出てもやはり目立つが、学校の外に出れば、と急ぎ足だったその時声をかけられた。

「「「「あ、あのっ……」」」」

「あなたたちは……」

「さ、さっきは本当にすみませんでした!」

「こ、これ……お詫びっていうか、お詫びにもならないけど……」

先程の男子たちがそれぞれ頭を下げていた。その手に秋桜の花束を持って。

「……これ、私に?」

聞けばぶんぶんと首を縦に振っていた。なんとなくおかしくて微笑してしまう。
濡れたけれど、それほど気にはしていなかったのに、彼らは反省して、綺麗な秋桜の花を持ってきてくれたのだ。

「ありがとう、もうそんなに気にしなくていいよ。怪我したとかじゃないんだし」

申し訳なさそうにする後輩くんたちは何度も頭を下げて、戸惑いながら部活かなにかに行ってしまったようだ。

「おまえもお人よしだな」

「彷徨っ!」

いつの間にいたのか、背後から声をかけられびっくりした。

「いいじゃない、そりゃあの子たちも悪かったけど、こんな花を持って来てくれたんだし」

ピンクと白の秋桜を見ながら笑う未夢が可愛く見えて、彷徨はそっぽ向いた。が、感じる視線に目をやれば未夢のスカートを見ている輩がいた。
早く見えないようにしなければと考え、彷徨は未夢の頭をコツンと叩いた。

「買い物あるんだろ。さっさと行くぞ」

「あ、待ってよ!」

追い掛けて来た未夢を先に歩かせ、彷徨は後ろからそれをガードしていたのを知るのは彷徨と、後日、彷徨は人を先に歩かせるのよ!と未夢に愚痴られた綾とななみたちであった。

「西遠寺くんは嫉妬深そうだからねー」

「もしかして、一年生たちにも妬いたかもね。未夢ちゃんにお花渡したくらいだし」

「ありえるよねー」

などと勝手な事を言われているとは知らない彷徨だった。ちなみに未夢のミニスカセーラーの写真が出回っていることは秘密であった。




END




あとがき

無理して書くとこんなモノになるのです。無駄に長いし、テーマがない。だらっだらの駄作です。
何を書きたかったのか、ミニスカ未夢ちゃんを見た彷徨くんの嫉妬?だけど余計な要素があって、訳がわからん。
これがもし、大人向け要素だったら、ミニスカ未夢を連れだし、スカート短すぎと責めて、足にキスマークでも付けるかもね。この時点で「だぁ!」じゃねー!


と、とりあえず読んで下さってありがとうございました!
3rd anniversary novelでした。

2007/09/25


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