嫌い 嫌い 嫌い
零様のサイト†玲瓏†の五萬打記念フリー小説を頂いてきました。
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「朱姫!!静蘭どこにいるか知らない?」
私より一つ年上の秀麗姉様が首をちょこん、と傾げながら尋ねて来た
「知らないよ〜!静蘭は大抵姉様の側にいるのにねぇ…」
クスクス笑いながらも、自分の言葉に傷ついた…
『姉様の側に居る』
そう…いつも……
同じ、紅家の人間なのにね……
そう思ってしまった自分に嫌気がさした
「…はぁ……」
姉様が居なくなったのを確認して、ため息をついた
いつも元気で優しくて、最近綺麗になってきた姉様
そんな姉様の側にいつも付いている静蘭。
「………なんでかなぁ…」
好きになんてならなきゃ良かった
絶対、叶う事の無い想いなのに……
どうして、どうして……
好きになってしまったんだろう……
また、ため息をついた。
「………何故、ため息をついているんですか?」
急に声を掛けられ、ギャッと言って立ち上がった
「……ギャッ…って…色気の無い声ですねぇ……」
呆れたように私を見る静蘭から顔を背けた
「私に色気なんて求める方が悪い」
静蘭は納得したように、そうでした…と呟いた………
「静蘭、姉様が呼んでたわよ。早く行って」
静蘭といるのが辛くて、その場から立ち去ろうとした。
「お嬢様ならもう出仕されました」
手首をぐっと掴まれ、顔をしかめながら私を引き止めた静蘭を一瞥した
「……何か用?」
お願いだから、この手を放して…
お願いだから、早くどこかに行かせて…
「…何故、私を避けるんです?」
静蘭のその問いに私の中で何かがキレた……
「嫌いだから!!分かんないの?!」
そう、キライ。
あんたなんて大っキライ。
そう、キライ。
あんたなんて大っキライ。
姉様の事が好きなあんたなんか
キライ
キライ
キライ
キライ
キライ
大っキライ
「……………」
突然黙りこんでしまった静蘭の顔をそっと見上げた
「……そうですか。」
その、静蘭の声の冷たさに傷付いている自分に嘲笑した
「そう。だから…もう必要以上に構わないで」
もうこれ以上…優しく何てしないで
もうこれ以上…私に関わらないで
もうこれ以上…好きになんてさせないで…
そう…そしたら、いつか……
ギュウッと手を握りしめてから、静蘭に背を向けた
「……です……」
突然、腕を掴んでいた静蘭の手の力が強まり、その痛みに顔をしかめた
「……え?」
でも……腕の痛みよりも
静蘭の絞り出すような、苦しげな声に気を取られた…
「……嫌です」
ずっと下を向いていた静蘭が顔を上げた
「っ!!」
瞳に映し出された、燃えるような静蘭の怒りに、体が竦んだ
「……放しませんよ…絶対」
グイッと腕を引っ張られ、私の体がぐらりと傾き、気付くと私は静蘭に抱きしめられていた。
「……せ、らん?」
静蘭が私の肩に顔をうずめたまま、全く動かなくなったのを不安に思って静蘭に声を掛けた
――――泣いてる?
声も出さず、泣いている素振りすら見せないのに…ただ、私を抱きしめたまま私の肩に顔を埋める静蘭が、泣いている…そう感じた。
「…静蘭、何かあったの?ねぇ…どうしたの?」
ポンポンと肩に顔を埋めたまま動かない静蘭を優しくさすりながら、フッと笑った
キライ……なハズ…なんだけど…
姉様を愛してる静蘭なんか大っキライなハズなんだけど…
静蘭に気付かれないように、そっとため息をついた
「…静蘭。静蘭ってかなり腹黒いし、二重人格だけど、腕は立つし、美形だし、器量もあるし……世の女の人から見たら、素晴らしい人材よ。そりゃあ…最近姉様の周りには、タンタンとか主上とか…色んな男の人が居るけどね、それでも…静蘭には勝たつ人は居ないと思うよ?……」
そう、最近姉様の周りには男の人が沢山いるしね。
それで、落ち込んでるんだろうな……
あぁ……もう……
イタイなぁ……
イタイよ…
必死に震えるのを我慢した
「そ…れにね、姉様と静蘭ってお似a………っんん……」
コトバを言い終わらない内に壁に押し付けられ、唇を塞がられた。
驚きで頭がいっぱいだった。
「……っ…ハァ……っ」
やっと唇が解放され、酸素を肺に送り込んだ
どうして?どうして?どうして?
疑問ばかりが浮かんだ
「…どうして……?」
愛する人に口付けられた事への喜びなんて感じなかった。
私の心を占めるのは…
疑問と悲しみ
「……タシ……は……私は姉様じゃない!!」
そう……私は姉様じゃないの。
「そんな事分かりきってる…」
ボロボロと堰を切ったように涙を流す私に静蘭が呟いた
「……なら、どうして…?」
静蘭は少し、ムッとしたような表情になった
「聞きますけど、朱姫様は私が誰を好きだと思ってるんです?」
それを、私に言わせるって言うの?
ギュウッと唇を噛み締めた後、呟いた
「……姉様…」
ハァ…と盛大なため息を静蘭がついた
「……私は、ずっとあなたが好きだったんですよ…朱姫様」
「………ハァ?」
うん。我ながら、この反応は無いな…と思うが、仕方無い
「だから、愛してると言ってるんですよ」
「……誰が?」
「私が」
「………誰を?」
「朱姫を」
「……………嘘だ」
「本当です。ずっと愛していましたよ…朱姫」
何だ……コレ……
冗談だったら最低だよ…
「……本気です。愛しています。誰よりも…何よりも」
静蘭があまりにも優しい声で
愛しそうな瞳で私を見るから…。
止まっていたハズの涙がまたポロポロと流れだした
「……何故泣くんですか?」
困ったように笑いながら、唇でこぼれ落ちる涙を掬い取っていく静蘭に小さく、小さく、呟いた
「………嬉しいから」
静蘭は私の呟きが聞こえたのか、クスリと笑うと私を優しく抱きしめた
「愛していますよ。朱姫。これからもずっと……。あなただけを」
あぁ……もう…本当に私を泣かせるのが上手いヤツ。
「…私も……好き」
ギュウッと静蘭の胸に顔を埋めた
「…朱姫」
優しい声で名を呼ばれ、顔を上げると
降ってきたのは優しい優しい口付けと
「誰よりも愛してる」
甘い甘い笑顔でした
end
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おまけ
「……でもさぁ…なんで私にはあ〜んなに黒かったの?」
過去のあらゆるできごを思いながら静蘭に尋ねた
「怯える朱姫の顔が大好きなのでvVvV」
……ヤバい。
どうしよう…
全然嬉しくない。
むしろ軽く引いた
ごめん。嘘…
かなり引いた
「やっぱ信じらんない…」
ヒクリと顔をひきつらせながら呟いた。
怯えた顔が好きって……
好きって……!!
「なら信じさせてさしあげますよ」
「顔が常春将軍っぽくなってるよ?!」
「………朱姫?(黒笑)」
私はスッキリサッパリ忘れていた。
私の後ろは壁だと言う事を。
家には静蘭しか居ないと言う事を…
………目と鼻の先には静蘭が居る事を…
「ギャーーー!!」
身の危険をヒシヒシと感じた
それはもうヒシヒシとね!!!!
「大丈夫ですよvV恐いことは何もありませんからvVvV」
「お前の存在自体が恐いからァァアア!!」
私は一目散に逃げ出した。
その場から。
いや………正しくは、逃げ出そうとした。
「……どこに行くんですか?(黒笑)」
ガシッと腕を掴まれ、逃げ出す事が出来なかった…
「ギャーーー!!!」
屋敷に、朱姫の叫び声が響いた
……私、好きになる人間違えた?
間違えちゃった?
「そんな事ありませんよね(黒笑)」
「勿論です!!アハハハハーーー!」
……絶対に間違えた…
早く、早く帰って来て……!!
秀麗姉様ァァアア!!!!
おまけend
フリーというお言葉に甘えて頂いてきちゃいましたv
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