触れていいのは

Present

もうすぐ春の気配を漂わせる風が吹く午後、蜜柑は、初等部のみんなとセントラルタウンへ来ていた。
メンバーは、蜜柑、蛍、委員長、流架、そしてパートナー同伴を義務付けられている棗の姿もあった。最初は、文句を言っていた棗も最後にはやはり蜜柑には甘く、渋々という形で来ていた。


「なぁなぁ、蛍♪次、あっちのお店行きたい」


大好きな親友の腕を組み、元気よく指差す蜜柑の姿をみて少なからず、この場にいる少年たちは複雑な気持ちになる。
それを知ってか知らずか、彼女の親友は意味ありげな瞳で3人を眺めてはクスっと笑っていた。


「イヤよ、私あっちの方へ行きたいの。委員長付き合って」

「えっ、でも蜜柑ちゃんは…」

「そうや!!ヒドイ、蛍の冷感性!!」

「うるさい、バカ…それにそんな単語ないわよ」


―バカンっ!!


彼女も蜜柑をいじめるのが好きなのか、バカン砲で射った。


「み、蜜柑ちゃ〜ん」

「さ、佐倉…」

「行くわよ委員長」


焦る委員長を無理矢理連れて行ってしまった。流架は、なんとか倒れてる蜜柑をせめてベンチに運んでから


「俺、ハンカチ冷やしてくる、棗待ってて」


と走っていってしまった。棗は、ベンチに横たわる蜜柑を眺め、さらりと流れる髪に触れた。その時、目の前に影が出来たかと思うと


「あれ〜くそガキにチビちゃんじゃん。…チビちゃんどうかしたの?」


蜜柑の特力の先輩・殿内明良が立っていた。彼は、蜜柑を見るたび直ぐ様隣に座った。


「なんのようだ…てめぇ…」


蜜柑に近づく者は容赦なく、炎で燃やしかねない瞳に殿を睨むと、さすが年を重ねたというべきか飄々とした態度で


「べつに〜チビちゃんが心配だからいるだけだよ」


と告げると、さらさら流れる茶髪を撫でた。と、その時


「…んっ……」


目を擦りながら蜜柑を目を覚ました。ムクリと起き上がり、左右を見ると棗と殿がいることにびっくりしていた。




「はれ?棗…蛍らは…?」

「今井なら買い物、流架はすぐ戻ってくる」

「殿先輩はなんでおるん?」


くるりと向きを変え、横にいる殿に聞くなりふわっと抱きかかえられ


「ん〜俺はチビちゃんに会いたくてここにいるんだよ♪一緒にホワロン食べない?」


とにっこり笑うと、蜜柑は嬉しそうに


「えっ!?ホワロン!!食べたい!!食べたい!!食べた〜い!!」


とキャッキャッと自ら抱きついた。それを見た棗は、蜜柑の肩を掴むと―べりっと勢い良く離し、手を握ると


「んなもん、俺が買ってやる」

「へっ?な、棗ぇ〜」


とズンズン引っ張っていった。残された殿は、呆然としていたが苦笑いをし


「青春だなぁ〜あ〜でもチビちゃんに近づくのも大変だな…」


と呟いた。


その背後からは、怒りが混じった黒いオーラが自分と棗に向けられていたことに殿は気付いていなかった。




END




あとがき

えっ?なにこの話ι
この話は、素敵サイト様「ひなたぼっこ」の管理人瑠璃サマに捧げます♪
キリリク代打させて下さったんですよ〜(≧ω≦)
もぅ嬉しくて嬉しくて…お礼にこんな駄文を差し上げるなんて言っちゃったのです〜(/‐\)
リクは【棗蜜柑前提・総受けで殿絡み】だったのですが…
こんなのでよかったのでしょうか!?


た、楽しんで頂けたら幸いですm(__)m
ではありがとうございました。


2005/02/25


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