消毒

Present

「好きなんだ!!付き合って下さい!!」

「……えっ…ぁの…」


放課後の教室にて、蜜柑は告白されていた。相手は…高等部の制服を纏った知らない先輩だった。
中等部に上がってからモテ始めていたが真正面から直球に告白されたのは初めてなのだ。(何分、超がつく程鈍感な上優秀な砦がいたものですから)
しかし、そんな優秀な砦も本日はスポンサーに呼ばれいなかったのだ。
運がいいのか悪いのか…この先輩は手紙を渡し、蜜柑を呼び出す事に成功したのだ。
蜜柑は、困り果ててしまいなんて言ったらいいのか分からず


「で…でも、ウチ…先輩の事よく知らんし…ぇと……すいません!!困りますっ!!」


おどおどと答え、謝る蜜柑に先輩は尚も引き下がらずいた。


「だったら、付き合ってみてよ」


突然、ぐいっと手を掴まれ蜜柑の視界はぐるりと急転し、ガタンっと机に押さえ付けられた。


「えっ…?」

「大丈夫、やさしくするから」

「はぁっ!?ちょっ…」


先輩は蜜柑の手を押さえ付けたまま、反論出来ないように口を封じると片手をスカートの中に入れようとした。


「んんっ!!!?」

「大丈夫、気持ちよくなるから」


(イヤだっ!!誰かっ…助けてっ!!)


茶金の瞳からボロボロと涙が零れた瞬間


「「「ニ゙ャ〜ゴ!!」」」


と複数のネコの威嚇の声がして、ネコが沢山先輩に襲い掛かってくる。


「うわっ!?痛ててっ!!やめろっ…うわぁぁぁぁ!!!!」


悲鳴をあげ、走っていく先輩を尚も沢山のネコがそのまま追い掛けていった。


「大丈夫っ!?佐倉っ!!」

「……流架…ぴょん…」


聞き慣れた声を聞き、振り返ると見知った…安心する流架の姿があった。
ホッ…とした途端、蜜柑はポロポロと泣き始めた。


「どっ…どうしたの!?佐倉っ…大丈夫?」

「う……ウチの……ファ…」

「ふぁ?」

「ファーストキスがぁぁぁぁぁぁぁ…うぇ〜んっ!!」



急に泣きだした蜜柑に流架は、先程の男をヤッてしまいたいという殺意を露にした。
そして、泣きじゃくる目の前の少女に近づくと顎を掴み口付けをした。


「…んんっ!?」


またもや、急な事で驚愕する蜜柑だったが口唇が離れて言われた事に吹き出してしまった。


「…消毒」

「なっ…!?……アハハ、流架ぴょん…ウチが泣いたからってこんな事…してくれへんでも。ちゃんと好きな人とせな……」


始めは、笑っていた蜜柑だったがだんだんと声が震えていった。


「…………」

「……佐倉?イヤだった?ごめんっ…」


嫉妬に駆られ、つい動いてしまった自分の行為に蜜柑が怒ったのかと思い、流架は慌てて謝るが


「…………違うねん…」


首を横に振りながら蜜柑は呟いた。


「違うねん……ウチ、嬉しかったん。流架ぴょんの消毒……でも、やっぱりファーストキスでしたかっ――…あっ…」


蜜柑は、自分の言ってる事がなんなのか気付くといきなり真っ赤になってしまった。


「さ、佐倉…?それって…」

「違っ…えと…あ……と…」


逃げようとする蜜柑の腕を流架は掴むと


「ねぇ、佐倉?オレも悔しいからもう少し消毒してもいい?」

「で、でもでも!!こういうのって、好きな人とかやないと…っ」

「だから…佐倉としたいんだ」

「あっ……ぅん。流架ぴょん…消毒して……」


恥ずかしくて、そっと瞳を閉じると柔らかくて優しいキスが降りて来た。



今日、二人は恋人になりました。




END




【秋木の実様へ捧げます】

あとがき

なんていうか…当初は裏目的で書いていたのですが、キスだけで終わってしまいました。
でも、消毒はこれだけじゃないのです。
だって、蜜柑何げにスカートの中に手入れられたんですから(ぇ)
この後、あんな事やそんな事を教室内にてする予定でした(笑)
たぶん、その内書きます…たぶんね。たぶん。


では、こんなん読んで下さってありがとうございましたm(__)m


2005/07/17


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