微妙な二人

Present

中等部、A組。只今、問題発生中


「ねぇ、ねぇ、美咲ちゃんってフリー?」

「だったら、俺らの中の誰かと付き合ってみない?」

「うるさい!!どっか行け!!!!」


なぜか、高等部の男子生徒が2、3人来て美咲に交際を迫っていた。が、相変わらず美咲は先輩相手とはいえ、口の悪い態度で対応していた。


「そんな風に強がるのもまたいいよな♪」

「そうそう」

「お前ら、話聞いてるのかよ!?」


美咲はため息を吐きたくなった。


(ったく、こんな時に翼のヤツ…どこ行きやがった?)


そんな事を思いながら、教室を見渡すと――いた。が、呑気に雑誌を読んでいる。


(……あんにゃろう〜)


やがて、先輩方は高等部に戻り本日の授業は終わった。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「さって…帰るかぁ〜」


ぐんっと体を伸ばし、翼は【憑依のアリス】を持つ、友人・メガネ君に声をかけた。


「あー、今日はなんかするか?」

「んー、そうだなぁ〜っと…」


そんな会話をしながら、出ていこうとする翼にカバンが直撃した。



―ズバンっ!!!!



「〜〜〜〜っ!?」

「待ちやがれ!!翼っ!!!!」

「…美咲……てめぇ〜」


頭を抱えて、しゃがみ込む翼を見た友人は


「あー…なんか夫婦ケンカ勃発みたいだから、俺先帰るわ…じゃーな」


そういうと、さっさと教室から出ていってしまった。




「美咲…お前なぁ〜カバンを投げるな、カバンを!!」

「………てめぇ〜」

「なんだよ?」

「なんだよ」

「なにがなんだよ、だよ?」


頭を抱えてしゃがみ込んでいた翼が聞き返すと、美咲はそっぽ向いて


「あたしが困ってたのに無視して、本読みやがって…」

「……ああ。って困ってたのかよ!?」

「………少しな」

「結構、しつこかったよな?アイツら」


立ち上がり、翼が続けた。


「止めようとは思ったんだぜ?…ただ」

「……ただ?」

「ああいう奴らには、言っても無駄っぽいし…言ったら言ったで、展開的には『お前は美咲のなんなんだよ?』って言われる。そうすっと…」


頭を掻きながら、翼は話した。


「そうすっと…なんなんだよ?」

「難しくてさ…、クラスの友人で仲間。本来はそれだけだろ?」


ガタンっと椅子を引き、翼を美咲を見つめた。


「……まぁ、確かにな」

「だったら、ムキにならない方がいいかなってさ…多少はムカついたけど?」

「色々考えてんだな。でもムカついたんなら、言えばよかったのに」


美咲は、机に腰かけた。


「まぁな、一応。近くにいすぎるから、分かんねぇんだよ。だからって、同じクラスだし、生活場は寮だし、会わなくなる訳じゃないから、気持ちに区切りがつかない。微妙だろ?だけど、お前モテるから…ムカついたりはする。」

「はっきりさせればいいのか?」

「はぁ?っと―――」


翼が顔をあげたと同時に、ふわりといい香がし、柔らかい感触が頬に触れた。


「…あたしは別に嫌いじゃねぇよ。好きだとは思うし…たぶん」

「たぶんかよ…」

「あたしだって、近すぎれば分かんなくなるよ。でも、そばにいたいとは思うし…とりあえずはそれでいいんじゃねぇの?」

「…とりあえずね」



翼は、椅子から立ち上がると美咲の顔を掴み、長いキスをした。



「んんん―!!!!」

「……仕返し」



ぷはっと口唇が離れるのと同時に、翼はニヤっと笑った。


「だからって、口ん中に舌入れんなよ!!」

「いいじゃん、夫婦なんだし☆」

「あのな〜〜〜」



真っ赤になる美咲を眺めながら、翼は言う。やがて、二人はケンカをしながら仲良く寮に戻った。



その姿は、他人からみればバカップルとしか云えない二人。





とりあえずは、この微妙な関係から前進した二人でした。



END




あとがき

志伊奈サマ、20000番おめでとうございますvV
リクエストは【翼美咲で甘々】でしたよね?
………甘々?
なにか、思い切りかけ離れておりますが、こんなのでよかったですか?

しかし、やはり難しいです【翼美咲】ι
すいません、こんな事を書いてしまいましてm(__)m
しかし、これほどまでにリクをクリア出来ないのは初めてですか?
さっぱり甘々なんかじゃないし…本当に申し訳ございませんですm(__)m


'04/11/15


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