これから…

Present

俺たちは 『好き』と言った それだけ



ジリリリリリリ…
カチっ

フトンから手を伸ばし、目覚まし時計を止めた。
モゾモゾとフトンの中で枕にうっつぷすと流架は、昨日の事を思い返す。



サワサワと季節違いの爽やかな風が吹く中、突然発せられた言葉


「……ウチ…ルカぴょんのコト好きなんや…」

「…………えっ…?」

「……ルカぴょんはウチのコト……どう思っとる?」

「……っ、オレっ……オレも佐倉が好き……」

「………ホンマっ?」

「…うん」


それから、佐倉が嬉しそうに笑って…繋いだ手が…熱かった…。


それから…それから…

真っ赤になってる佐倉が可愛くて、抱きしめたけど…顔が見れなかった。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


そして、目が覚めた。


どこまでが夢?

どこまでが現実?


ベッドの中で流架は混乱しつつも、思い出し真っ赤になりながら


「………言われたのは夢じゃないよな…?」


くしゃりと前髪をすくい、額に手をあてた。そんなコトをボソリと呟きながら、ベッドから起き上がる。
カーテンを開けると朝の光が差し込み、すずめ達がはしゃいでいた。


「…おはよう」

『ピチチ♪(おはよールカvV)』

『ピチチチチ…♪(ルカ〜vV)』


あいさつすると嬉しそうに返してきた。制服に着替え、食堂に下りていく。


(………佐倉、まだ来てないのか…)


少し淋しくて

少しホッとした。

どんな顔をすればいいのだろう。


「あっ、ルっっカくぅぅ〜〜んvVおはよう〜一緒に食べましょうvV」

「しょ…正田っっ…」


ボーっとしていたら、正田が抱きついてきた。


「んもぅ〜照れちゃって…そこがルカ君の魅力よね」


頬に手を添え、なにか分からないが真っ赤になっている正田の後ろに…きょとんとしている佐倉がいた。



「…あっ……こ、これは…」


正田をぐいっと押し退けて慌てて話すと、佐倉はいつものように


「おはよう、ルカぴょん♪朝からモテモテやな」


ニコリと笑った。何か…胸が急に痛んだ。


「…っ別に……そんなことないよっ!!」


ぷいっと顔を背けてしまった。そして、棗の姿を捉え


「……じゃ…」

「…ルカぴょん…?」


彼のそばに行った。
なんだか、空しくなった。昨日のコトがすべて夢なのかもしれない…と思い始めた。


教室でウサギの毛を梳いていると、佐倉がそばに来た。


「ル〜カぴょん♪何しとんの?」


無邪気に話し掛けてくるその笑顔に胸の鼓動が速まる。


「…………」

「?どうしたん、ルカぴょん?」


ガンっ!!


何も言わないでいると、顔を覗き込んでくる佐倉に、隣に座ってた棗が机を蹴った。


「うるせぇよ!!ブスっ!!」

「なっ!!ウチ、ブスやないもん!!」

「鏡見てから言えっ!!」

「毎日見とるわっ!!ボケッ!!」


二人のやりとりを横目に、流架はカタンと椅子から立ち上がり、出ていった。


「ルカ…?」

「ルカぴょん…?」


蜜柑が追い掛け、棗も追い掛けようとしたが、蛍に掴まれた。


「…ここはあの子に任せたら?」

「…………フン」


そういわれ、棗は手を退かすと再び椅子に座り、雑誌を顔にかぶせた。




   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



あの場に居たくなくて… 逃げてしまった。

トボトボと森のなかを歩いていると、突然腕の中のウサギが飛び降りた。


「!?ウサギっ……」


ガサリっと音がして、ウサギの先には佐倉がいた。
だっこされ、捕まえられたウサギは何か笑っていた。


「ルカぴょん!!」

「あっ…佐倉……」


嬉しそうに駆け寄ってくる姿に、夢のことを思い出さされ顔が見れなくなった。


「はい、ウサギン」

「……ありがと…」


ウサギを受け取り、礼をいったものの後につづく言葉がなかった。


「「……………っ昨日…あっ!!何っ!?」」


同時に発せられた言葉に、互いを促した。


「な、何!?ルカぴょん」

「さ、佐倉から言えよ!!」

「「〜〜〜〜〜」」


互いに真っ赤になってしまう。業を煮やしたのか、佐倉が口火を切った。


「……あ、あんなっ…昨日の…ルカぴょんの気持ち…嬉しかった」


真っ赤になる佐倉が可愛くて…

昨日のコトが夢じゃなくて…

よかったと幸せだと感じた。


言えなかった言葉に胸が騒めいた。

向けられる笑顔や軽い仕草にときめいて…問い掛けてみる

オレは何をしたらいいんだろう?

これからどんなコトを話せばいい?

まだ互いを好きと言っただけ…

どんな風に…これから変わるのかな?

もう……このままじゃいれないから

とりあえず…は



そう思い…目の前にいる佐倉の手を繋ぐ。
ハッとする佐倉に笑いかけると、真っ赤になって笑ってくれる。



次の言葉で…変われるかな?



そう思い、彼女に気持ちを伝えた。



「…オレと――――――。」

「―――――――っはい」




花のように笑う顔が眩しくて、繋ぐ手に力が入った。





END




【秋木の実様へ相互記念小説】

あとがき

あれ?〇〇月間なのに普通の話書いちゃった…ι
予告破り大好きな管理人です♪
と、いう訳で初めて!!流架蜜柑両思いの話を書いてみた!!Σ(゚д゚)
なんかね、昨日おこたに入ってて急に思い付き、書きたくなったんだよね!!
えーっと…この話はルカぴょん、なんかウジウジさんに見えるのはなぜなのか?アタシだけか?
さて、ようするにこの話は、『好き』と伝えあったけどそこからどうしたらいいのか分からない。というルカぴょん視点でした。
初めての両思いってこんなコトありますよね?
両思いだけど『付き合って』って言われてないから付き合ってない。とか
まぁ、そんな微妙な両思いを書きたかったんです。これは棗蜜柑より流架蜜柑だなと思い書きました。

では、ここまで読んで下さりありがとうございましたm(__)m



2005/01/03


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