16
滝の裏にある洞窟の奥へを抜けると、そこにはやさしい長閑な村が存在する。とある島、スフィンクスは偉大なる航路に存在するも、世界政府非加盟国故に貧しかった。しかし、ここに生まれ落ちた四皇、今は亡き白ひげ、エドワード・ニューゲートが長年ここへと援助していた。
今、そこには穏やかながらも人々は日々の営みを過ごしている。移住して、長くはないが、この島に住む子供たちに勉強を教えているミハールは、教師でありながら元海賊でもあった。
「せんせ〜」
「ミハール先生、おはよう!」
「お、おはようございます」
元気に集まる子供たちに戸惑いながら挨拶し、陽の下のテーブルに子供たちが座る。青空教室というものだ。用意してあるボードに紙を貼り、文字、簡単な計算、世界の歴史などを教えていく。得意不得意は人それぞれなので、その子に合った勉強法で教えていくと、出来た!分かった!と嬉しそうに言うものだから、ミハールも笑みを浮かべていく。
ミハールは引きこもりの傾向があったのだが、教師をしたいなら!と強引にも陽の下へと出されたのはここに来てからすぐだったと思う。
勉強の時間は特に決めていないが、皆、家の手伝いもある為、朝から来る子、昼から来る子、お手伝いがあるからと短時間だけ学んでいく子と様々だ。
ただ、今日は皆なかなか帰りたがらない。理由は簡単だ、幼子を連れた女性が焼き菓子を差し入れに来てくれた上に、お話して!とせがまれたから、彼女は本を取り出して読み聞かせをしている。
穏やかで耳馴染みの良い声に、少年少女たちは彼女の周りに座り込んでいる。
「──。はい、おしまい」
「え〜!もう終わりぃ?」
「今日はね、また今度読んであげる」
「ぜったいだよ、マリィ!」
「はいはい、分かりました」
楽しそうに笑う姿に、ミハールはありし日の彼女を思えば思うほど、良かったと思えてくる。
「どうかした、先生?」
「なんでもないです、今日もお菓子美味しいですよ。マリィさん」
「それなら良かったわ」
ミハールはマリィは元は同じ海賊船に乗っていた仲間だった。まだまだ若い彼女は未婚の母であり、今は一歳半になる娘がいる。その子を抱きあげると柔らかな声が音を奏でだす。優しい声が一帯に響いていく。やさしい、やさしい歌は祈り、願いを込められたものだ。
あの頂上戦争から時が過ぎて、こんな穏やかな日々を過ごせているとは夢のようだ、とミハールは思ってしまう。願ばくはいつまでも穏やかに過ごせるように、と思う。
村人たちとも上手く過ごせているミハールを見て、マリィはとても嬉しく思う。あれほど外に出るのを嫌がっていたのに、やはり子供たちに勉強を…という夢が良かったのだと笑みを浮かべた。
「おーい、マリィ〜」
遠くから呼ばれ、そちらを見れば新聞を持ち上げながら、島の医師となっているマルコが苦笑いを浮かべながら、やって来た。
「麦わらの記事が出てるよぃ」
「ルフィの?」
先日、復活という記事が出たばかりで何かあったのだろうか?と不思議に思っていると、新たな手配書とともに新聞を渡された。
マルコはやれやれという感じで、エマを抱きあげては「お前さんのおじさんは相変わらずだよぃ」等と言っている。
「ご、五億?!」
新たなルフィの懸賞金がはね上がっていたので、マリィは思わず声を上げた。
「どうやら、七武海のドフラミンゴを討ったようだねぃ」
「ドフラミンゴ?!」
近くにいたミハールが驚きの声をあげている。新世界に入ったかと思えば、あっという間に話題が欠かせなくなっている弟にマリィは、ふふっ!と笑ってしまう。我が弟ながらスゴイなぁなんて思ってしまう。
「五億かぁ……」
エースの懸賞金だった額をあっという間に超えていくのではないかと、思うとエースに知らせに行かねばと思ってしまう。
「マルコさん、これ貰ってもいいですか?」
ルフィの手配書をピラピラさせると、マルコは一瞬だけ、止まった。どうかしたのかな?と思ったが、マルコがククッと笑い始めた。
「え?どうかしました??」
「……なんでもないよぃ」
それでもエマを抱えたまま笑うマルコにマリィは首を傾げていた。
マルコはマルコで、マリィの仕草がかつてエースが弟を自慢していた時と同じで、面白いと思える。こうして、マリィと過ごす事が増えてきて思うことは、エースと彼女はどことなく似ている部分があるということだ。
「そういや、麦わらにはエースのほかにも
「え?」
「新聞に載ってただろぃ、革命軍No.2のサボ」
「サボ?!」
マリィは新聞を捲り、記事を探せば一面ではないにせよ、『麦わらのルフィ、革命軍No.2との義兄弟関係判明!!』とある。
サボ?なんでサボ?っていうのは…十二年前に死んだ、はずなのに……。生きて、いたの……??
ヒラリと麦わらの一味の他にも手配書が落ちる。トラファルガー・ローや他の海賊、そして、革命軍参謀総長サボと書かれた手配書を見つける。
昔の面影はなんとなくある、同じ金髪だが、こんなに髪は長くなかったし、左目のあたりキズは火傷だろうか……見覚えがない姿にジッと見つめた。懸賞金もルフィより高く、六億二百万ベリーとエースよりも高い。
「……確かに、エースたちは三兄弟でしたが……サボは十二年前に亡くなったはずなんですが……」
同姓同名だとしても、ルフィと義兄弟と書かれること事態そうそうあるはずがない。それに、シルクハットとゴーグルはサボが幼い頃につけてもいたのを覚えてる。
「………………生きて、たんだ……」
そして、思い出したのだ。先日エースの墓参りに行った際に、置かれていた三客の盃と『山賊盃』のお酒を。
ルフィではなくて、サボが来たんだ……エースに会いに。
「良かった……生きてて良かった……」
それでも思うことはあった、ただそれは口にしてはいけないことだと思ってる。きっと理由があるはずだもの。頭を振り、マルコの元へ近づく。私の行動が分かりやすいのか、エマを渡してくれた。
「早くエースの元へ届けてくるといいよぃ」
「はい!」
可笑しそうに笑うマルコに手を振りながら、手配書二枚持って、エマと一緒にエースのお墓まで行くことにした。
早く報告したいという思いで、いつもは手を繋いで向かう丘へとエマを抱っこしたまま駆け出してしまった。
(エース、エース!!)
ルフィの懸賞金がまた上がったよ
エースに近い金額だよ、さすが私たちの弟だよ
あと、あとね、サボが生きていたよ
伝えたいことが、教えたいことが沢山あるの。ズサっと走り込んでしまったせいで、お墓の前で体勢を崩してしまって、慌ててしまった。
勢いよく膝をついたせいか、腕の中のエマをびっくりさせてしまったけど、何故か笑っている。
「ごめんね」
頬へ唇を落とすと、きゃあ!と楽しげな様子にマリィも嬉しくなる。
「エース…みてみて!」
お墓に向かって、先にルフィの手配書を見せる。すごいよね、すごいよね!とはしゃいでいるマリィにエマも手をパチパチさせている。母親が嬉しいのが分かるのだろう。
「まだあるのよ!ほらっ!!……サボが生きてたの……!」
「う? マんマ?」
母の膝の上から、エマが見えたものは記憶に残るかは分からない。だけど、エマは白くまあるい頬に落ちる雫に、驚いていた。泣いているのに、笑顔だったから。
「……生きてた……良かった……」
ぎゅっと手配書を抱きしめる。サボとはそれほど長い付き合いではない。でも、初めて会った時から優しかったし、ルフィもサボは優しいにーちゃんだ!と言ってた。
エースはあの頃、厳しかったからなぁと懐かしい記憶を思い出す。
「………会えたらいいな…」
難しい事なのほ分かる。彼は今 革命軍として生きている。それを邪魔してはいけなたいだろう。新聞記事にはサボがメラメラの実を食べたとも書いてあり、煽り文句は『亡き兄弟の形見を継承!』等と書いてある。ルフィとの記事があるのは、二人は会ったのだろう。
メラメラの実、コロシアム大会の賞品だったという。たまたまなのかは分からない。
(ルフィだったらエースの形見として欲しかったんだろう……サボも、なのかな…?)
エースにサボとはいつ出会ったのか聞いたことがあった。五歳の時に、
自分たちと出会ったのは十歳だったから、エースとサボは五年間、友だち…親友として二人で過ごしてきたのだろう。
サボが亡くなったと聞いた時、エースは決して私たちの前では泣かなかった。でもきっと泣いていたに違いない。泣かない筈がないもの……。
「ねぇ、エース……いつか、みんなでここに集まれたらいいね」
ルフィもサボも、エマとおじいちゃんも一緒に過ごせたらどんなにいいだろうか…。それがどんなに無謀な願いだとしても、願わずにはいられない。
そんな日が来たらいいな、と笑みを浮かべた。じっと見上げてくるエマのふっくらとした頬を撫でながら願う。
(……こんな風に穏やかなままでいられたら良いのに)
絵空事のような願いを胸に秘める。──これから始まるであろう覇権争いを思うと、願わずにはいられないのだ。
風で捲れる新聞を眺めて、息を吐いたのだった。
麦わらのルフィが率いる大船団があるという記事を眺めて、マリィは首を傾げた。
(ルフィが大船団の大頭??)
弟に大頭というのがあまりにも似合わなすぎて、んん〜??と記事をまじまじを見てしまう。
(ルフィが傘下を作るっていうのがなぁ…)
前に海賊同盟というのも見たけど、ちゃんと同盟の意味が分かっているのかも怪しい所だし。と新聞をトントンと叩きながらルフィの事を考えてみたが、やはりあのルフィが傘下というのはない気がする。
そんな結論をだして、マリィは新聞を畳んだ。
数日後、マリィは届いた新聞を見て目を疑った。つい先日、連絡をしたばかりなのに、こんな事があるだろうか。
大きな見出しには【革命軍総本部“発覚”】とあり、読み進むと、数十年謎だった土地がついに発覚。「革命軍」の総本部「バルティゴ」すでに壊滅状態と書かれている。新聞には革命軍総司令ドラゴンと、参謀総長サボと他にも幹部の写真と名前がある。
とくに死傷者などの情報はないが、政府が出している以上どうかは分からない。そして、何故黒ひげ海賊団が革命軍を襲うのか、分からないことばかりだ。
海賊時代になにかあったのだろうかと、マルコに聞いてみたが、革命軍とやり合う理由はないという。確かに海賊と革命軍は違う。
父やサボが心配だが、彼らになにかあればそれこそ大きなニュースになるだろう。
(……無事でありますように)
願うように眠るエマの胸をポンポンと軽く叩いた。
情報は大事な武器だとシャッキーさんに教えられたのだから、きちんと読もうとマリは新聞を日々読んでいく。
数日後、最近はまた情勢が変わっているようで、新たな王下七武海がいるらしいが、それが白ひげ海賊団船長 エドワード・ニューゲートの実子だという。実子いたの?と驚いたが、マルコは「う〜ん…」と言葉を濁していた。微妙なところなんだろうか……。
問題は、その自称白ひげの息子が、白ひげ海賊団の傘下の海賊を潰しているという。息子なのに傘下に手を掛けるっていうのはなんなんだろうと首を傾げる。
どうやら白ひげの自称息子 エドワード・ウィーブルの母親であるバッキンという女性が「白ひげ」の遺産を欲しがっているらしく、元白ひげ海賊団を襲ったりしては「遺産を寄越せ」というらしい。マルコ曰く「遺産なんてない」という。この村を作り、守るのに使っていたという。
「いずれ、ここもおれも狙われるだろうよぃ」
「えっ?!」
「心配するな、お前さんらもこの村も守ってみせるよぃ」
エマの頭を撫でながら話すマルコに、村を守ることを優先して欲しいと願った。自分たちはエースの近くにいたいが為にここにいるのだから、と。
「………わかったよぃ…」
「はい、それでお願いします!」
「しまちゅ!」
意味も分からずに、マリィの真似をしたのか、それがまた可愛らしくて、頭を撫でてやった。
「麦わらがワノ国に行くようだ」
「ワノ国…」
「前に来ただろ、でっけえネコがよ」
「にゃんにゃん!」
「あー、来てましたね。笑顔が可愛かったです」
ね、エマ。と声をかけると興奮してるのか、ふんすふんすとしている。マルコは「にゃんにゃん」というエマの頭を撫でながら笑った。
「ありゃあ、ミンク族っていう種族なんだが、ワノ国と関係しているらしくてねぃ」
「そうなんですね」
「そういや、マリィもワノ国には行ったのかよぃ?」
「あぁ、エースたちと行きましたよ」
まだ船を降りる前の話だ。四皇であるカイドウを討つ為にワノ国へ行ったのだが、荒れた海を越え、何故か滝を登り、また海があって転覆したのである。
そこで、住民たちに縛られたりしたが、エースが様子を伺っていたので大人しくしていた。どうやらワノ国は満足に食べられない人が多かったようで、彼らは食料だけを奪っていた。やがて、彼らが食べ終えてから、エースは縄を炎で焼き切り、彼らに近づいた。小さい女の子が慄いているのをきちんと目線を合わせて「次は甘いものだな」と言って駆け出していった。
女の子──お玉ちゃんはすぐにエースに懐いた。エース、エース!と追いかけて、抱っこされ、時にはお玉ちゃんから笠の編み方を習い、楽しそうにしていた。
「マリィちゃん、マリィちゃん!」
「どうかした、お玉ちゃん?」
「マリィちゃんからもエースに頼んでけろ、おらを船に乗せてけろって!!」
数年前の弟を思い出させる頼みに「う〜ん、じゃあ頼んではみようか?」と言うと、わーいと両手をあげて喜ぶ姿にがまた可愛らしい。
「マリィ、勝手な事を言うなよ」
「エース!エースはマリィちゃんに弱いってきいたやんすよ!!」
「誰だ、んなコトいったヤツ!!」
「エース船長がマリィに弱いのは誰だって知ってることだろォ」
「マリィには甘いしな」
「うるせェ!自分の女に甘いのは当たり前だろーがァ!!」
「出たよ、惚気……」
船員からのヤジに怒鳴りながらも、認めてどうすんだ、とデュースが額に手をやり、他は大笑いしていた。
「マリィも笑うなよ」
「ごめんごめん、デュース。ついつい懐かしくてね…」
自分が言われる立場になるとは思わなかった。なるほど、昔のシャンクスはこんな気分だったのかと思うと、なんだか複雑な気分になる。言われる側と言った側の気持ちが分かるようになるとは。
「エース、おらも海に連れってけろ!じゅうぶん大人でやんすよ!」
「ん?まだ五歳だろ、おまえ」
「もう五さいやんす!」
ふんふん!といった感じにエースの横で手を上げながら話すお玉の姿は懐かしさを感じる。話を聞いているのか、エースは船員に「うまいもんだなぁ」と編笠を褒められていて、得意げな顔をしている。
「もうすぐここを出ていくんでやんしょ?」
「あァ……それまでに完成させねェと………ん?」
エースの腕にお玉ちゃんが触れて、俯いてしまった。
「おら……エースとマリィちゃん、みんなとお別れしたくないでやんすよ」
「たま!」
ぐすぐすと泣き出したお玉ちゃんの頭を撫でながら、笑顔を向けた。
「おれたちはまた来るよ。もっとデカい海賊団になって」
「じゃあ、そのとき、仲間にしてくれるやんすか?おらもいっしょに冒険したいでやんす!エース、おらを仲間にしてけろ!」
じっと見上げてくるお玉にエースはそのまま頭を撫でたままだ。
「海賊は強くなきゃムリだ!今度来た時、お前が妖艶なくノ一になっていたら連れてってやるよ」
「わぁ!」
泣いていたのがウソのように笑顔になるお玉に、聞いていた船員が「妖艶は必要かぁ?」と笑い、エースも笑った。
「エース!わかったでやんす!約束でやんすよ!!」
ははは、と笑うながらまた笠を編み始めるエースを眺めながら、ポスっ!とお玉が抱きついてきた。
「マリィちゃん!おら、頑張って妖艶なオンナになるでやんす!!……マリィちゃんみたいになりたいでやんす!」
「妖艶、ねぇ……お玉ちゃんはまだ可愛いでいて欲しいなぁ〜」
すりすりと頬擦りすると「きゃあ」と可愛らしくあげる声に、こちらも笑顔になってしまうが、お玉ちゃんがマリィの胸を触りだした。
「マリィちゃんみたいにおっぱい大きくなりたいでやんす!どう「まって、まって!!」どうしたでやんすか?」
ちらり、と周りを見れば、みんながこちらを向いていたし、エースもこちらを見ている。マリィは頬を赤くすると、お玉を連れて移動した。
「どうしたでやんす、マリィちゃん?」
「あ、あのね、大人の女性になりたいなら、あまり、おっぱいとか人のいる所で言っちゃ駄目だよ?えーと……慎みがないから」
「そ、そーなんでやんすか?!ごめんなさいでやんす」
しょぼんとする姿に可愛いなんて思うも、教えられることは教えなくちゃ。そもそもワノ国は混浴文化があるから、あまり考えないのかもしれないけど、流石に言われるのは恥ずかしいし、いずれお玉も恥ずかしいと思える時は来るはずだ。
「これから知っていけばいいよ、ね?」
「はいでやんす!やっぱりマリィちゃんは優しくて大好きでやんす!!」
抱きついて、胸に顔を擦り付けてくる仕草は甘えたいのだと思う。この国にも孤児はたくさんいるらしいし、弟も甘えたであったし。
(そういえば、ルフィも甘えてたらエースによく叱られていたけど、これが原因だったのかな?)
「ふかふかでやんす」
「………ふふ、」
自分もマキノさんによく顔を押しつけていたらしいし、甘えたかったんだろうと思うと、おっぱいって偉大なのかもと思ったりした。
後々、見ていたエースが、船室で真面目な顔をしたかと思えば「おれもマリィに甘えたい」と胸に顔を埋めてきたから、思わず悲鳴をあげたのはもはや思い出である。
もう三年以上前の話だ。
お玉ちゃん、ちゃんと食べていられてるだろうか。とても会いたい……きっとエースを待っているだろう。ワノ国には情報が入らないらしいから、エースが死んだことも知らずにいると思うと、辛くなる。
「………マルコさん…」
「………なんだよぃ」
きっと言わなくても彼は私が何を言い出すのか気づいているはずだ。
「ワノ国へ行くならば、私も連れてってくれませんか?」
「………………はぁ…」
言うと思ったよぃ、と零しながら、やれやれと肩を竦めた。
「なにやら約束があるとかエースも言っていた、それか?」
「はい」
んんーー!と悩ませてる姿に申し訳ないが、エースがやり残した事を見届けたい気持ちがある。それと、ルフィがやってくれるような気がする。
「わかったよぃ……ただし、お前さんらはカイドウとところではなく、その女の子がいるという村に置いていく、それでいいかよぃ?」
「はい、充分です!」
思わず抱きつけば「おいおい」と言われてしまったが、それを見ていたエマもマルコに抱きつけば、嬉しそうに笑ったのが見えたのだった。