7.5
【エース視点】
「ルフィ!!」
「ぁ…、ね、、ね"ーぢゃん"!!!」
たまに来るマキノの後ろから、現れた少女はルフィを見つけると、こちらに走ってきた。ルフィもその女を認識した途端、ぶわっ!と目に涙を浮かべると走り出して、腕を伸ばして抱きつき号泣している。
訳が分からずにいると近くに来たマキノがコソッと教えてくれた。
「ルフィのお姉ちゃんよ」
突然現れたルフィの姉というのを見て、エースはムスッとしてしまい、サボはポカンとしてしまった。
このコルボ山には似合わなそうな同じ年くらいの少女はルフィに抱きつかれている。
確か、ルフィはガープのジジイが連れてきたのを覚えている。どんなに無視しても追いかけてきては、友達になろう!と煩かったし、橋から落としても一週間彷徨っても、次の日からまた追いかけてきた。
三ヶ月もルフィはエースを追いかけ、とうとう「
そこでブルージャム海賊団たちといざこざがあり、捕らえられていたルフィを助けたことで、奴らに目をつけられた。アイツらから金品をうばったせいだが。
泣きじゃくるルフィに弱虫も泣き虫も大っ嫌いだと伝えれば、泣くのを我慢し、礼を言ってきたが、また泣き始めた。
「……だいたい……お前何で口を割らなかったんだ!!?あいつらは女でも子供でも平気で殺す奴らだ!!!」
「…喋ったらもう友達になれねェ…………!!」
「なれなくても死ぬよりいいだろう!!!何でそんなに友達になりてェんだよ…おれと!!お前おれにどういう目に遭わされた!?とうとうここまで付いてきやがって!!」
「だって他に!!頼りがいねェ!!!」
「!?」
ルフィの言葉に理解が出来なかった。コイツはジジイが連れてきたのに頼りがいない?
「フーシャ村には帰れねぇし…山賊は嫌いだし…!!お前を追いかけなかったら……おれは一人になる……一人になるのは痛ェのより辛ェ!!」
「……お前、親は……」
「いねェ!ねーちゃんがいたけど……じいちゃんが連れてくって言ってた……それ以外はいねェ」
「…おれがいれば辛くねェのか…………おれがいねェと……困るのか」
「ゔん」
即答するルフィに、自分に向けられる侮蔑や憎しみ、怒りや嫌悪が頭を過る。
(…なにも知らねェ、くせに……)
「お前はおれに生きててほしいのか……?」
「!?……!!当たり前だ!!」
そんな事を言っていたのを思い出す。
じぃーと見ていたせいか、ルフィの姉がこちらに気づいた。
「……だれ?」
彼女の問いに一番に反応したのはルフィだった。めそめそと泣いていたかと思えば、顔をあげると、ニシシと嬉しそうに笑った。
「ねーちゃん!おれの兄ちゃんたちだ!」
「……え?」
ルフィの一言に意味が分からないという少女に、サボは面白そうに彼女に近寄った。
「ハハハ、ルフィ驚いてるぞ。オレはサボ、ルフィとは兄弟になったんだ。よろしくな、ルフィのねーちゃん」
「????」
背がそんなに変わらない彼女はルフィとサボを見比べている。ルフィは嬉々として彼女に経緯を説明する。
「エースが盃を交わすと兄弟になれるっていうから、おれたち盃を交わして兄弟になったんだぜ、凄いだろォ!」
にこにこと笑顔で話す弟を彼女は撫でている。しかし、エースは思わず目を見開いた。その顔は見覚えがあった、なにかを諦めたような、一瞬だけ表情を失くした顔が印象的だった。