もしも、愛娘が転生トリップ主だったら!2
こんにちは。エマです。只今一歳半を過ぎた幼子です。え?妙に熟こなれているって?だって私、表面は一歳半過ぎの幼子ですが、中身はアラサー女子なんですよ?!
しかも、ここは前世で読んでいた『ONE PIECE』の世界であり、私の名前はポートガス・D・エマ。そう、なんと火拳のエースの娘として何故か転生しておりました!!エースの娘ってだけでも驚きなのに、母親はなんと主人公ルフィの実姉です!うん、何言ってるか分からないよね?ルフィに兄二人はいれど、姉はいなかった……。そう、ここはきっと『ONE PIECE』をベースとしたパラレルワールドに違いない!としか言いようがない!!だって、頂上戦争でお亡くなりなるエースや白ひげが生きていらっしゃるんですよ?!パラレルワールドとしか言えないでしょ?!これ!!
「エマ〜?」
「マンマ!」
声をかけてきたのは、お母さん。そうルフィのお姉ちゃんであり、エースの奥さんです。名前はマリィ。ルフィに似てなくもないけど、可愛いと綺麗を兼ね備えてて、子持ちだと思えないプロポーションをしている。正直羨ましいとしかいえない!!
「お祖父ちゃんが待ってるわよ」
「じっじ!」
じっじ、とは白ひげことエドワード・ニューゲートである。初めて会った時は思わずギャン泣きをしてしまい、落ち込ませてしまった。だって寝そうだった所にルフィが駆け込んできて、私を肩車すると「すっげぇデカいオッサンがいるんだ!」と連れ出したんですわ。いやぁ、眠い時に白ひげを見れば目玉飛び出すレベルでびっくりして泣いた、もうめちゃ泣いた。
エースや白ひげ海賊団が焦っていたけど、母が強いとその時初めて知った。あのルフィにゲンコツ落として「いてぇ!」とか言わせるんだよ?伊達にルフィの姉じゃない。
さて、母から手を差し伸べられて、甲板へと出ると、白ひげ海賊団の船員クルーたちが声を掛けてくれる。「起きたのか?」「いっぱい寝たか?」「お菓子あげるぞ」「ジュースいるか?」などなど、それに「あぃ!」と返事をするが、「まずはオヤジに顔を見せてやれ」と言われる。
甲板の奥、最も広い所に白ひげは座っていた。傍にはマルコがいて何か話しているのが、行っても大丈夫なんだろうか?戸惑っていると、こちらに気づいた白ひげが「マルコ、話は後だ」と話を終わらせてしまった。マルコも振り向いて、肩を竦めていた。すまんね、なんか。
「じっじ!」
母の手を離し、とてててと危なげなく走り寄れば大きな身体を起こし、腰を下ろして両手を広げて待っていてくれる。ぶっちゃけ座ったままでも、わざわざ立ち上がって膝をついてくれても変わりはしないのだが、私相手にふんぞり返りたくはないらしい。
「おぉ!元気だなァ」
グラララララと独特の笑い方をしながら、大きな手は私を包んでくれる。前は怖かったけど、慣れるもんだね。
「いっぱいねんねしたよ!」
「そうか、そうか」
嬉しそうに笑う白ひげに、可愛がってくれることが嬉しくてすりすりと頬を寄せれば、ガクンっ!と揺れる。どうしたのかと思えば、白ひげの両膝が甲板についている。どうした、具合悪いのか?と心配するも、「大丈夫だ!」とか言わない。
母はあらあらとただにこやかに笑い、マルコはやれやれといった感じである。どうやら白ひげは私の行動に感激のあまり、体勢を崩したようだ。あの、世界最強の男を地面に触れさせることが出来る自分が恐ろしい……!
「そろそろエースが戻ってくるよぃ」
「早くないですか?」
「思ったよりも相手が雑魚だったみてぇだよぃ」
「そうなんですか、エースも頑張ってますね」
「まぁ、エースなりのケジメだからなぁ」
父であるエースは原作とは違い生き延びることが出来た。そこには色々な人たちが手助けしてくれ、上手い具合にエースも白ひげも、ルフィも原作ほど負傷しなかったようだ。
迷惑をかけたと白ひげ海賊団や傘下の海賊団へ出向いて、謝罪し、仕事を手伝っているとか、なんとか。
そもそも助かったのは、ドラゴンが現れたからだ。あの名シーンたる赤犬が迫るところで、ドラゴンが能力を使い、海兵たちを風圧で地に付かせたとかなんとか。その隙に撤退したらしい。
なんでドラゴンが現れたのかというと、皆が話していたのを推測をすれば、どうやら母がドラゴンに助けを求めたとか、なんとか。まぁ、母はドラゴンの娘になるし、意外と仲も良いみたいだ。
因みに、ルフィもエースも負傷はしており、そこにトラファルガー・ローが現れ、治療してくれたらしいし、ハンコックがルフィを追ってきて、女ヶ島にルフィたちを匿ったとか。そこでルフィだけでなく、エースも一緒に修行をつけてもらったとかなんとか。因みに私はその修行期間中に女ヶ島の九蛇城で生まれたのである。
あの時は本当に混乱した。だって、気づいたら赤ちゃんになってて、ONE PIECEの世界にいることに驚き、母がルフィの姉で、父がエースとか思わないじゃない。しかも私は、エースと会うまでエースは死んでるんだと思ってたから、シャボンディ諸島でエースを見た時、驚いたもん。まぁ、それから麦わらの一味と魚人島から新世界へ出るまで一緒に過ごした。一日か二日程度だけど!!
ルフィはシスコンだったのか、母と離れるのを嫌がった。ものすごく嫌がった。白ひげじっじと揉めるくらいに。私と母を自分の船に乗せる気満々だったし、エースも乗れば良いとか言う始末で、大変だったとか。私寝てたから知らないんだけどね!
後、白ひげじっじがご存命の為、魚人島はビッグ・マムのナワバリではなかったし、何故か魚人島には白ひげ海賊団の旗と麦わらの一味の旗が掲げられた。まぁ、ホーディとかいう魚人を止めたのはルフィたちだったしね。私?私はその間、サニー号にいました。危ないから、と。そうよね、そうなるよね。母とサニー号で待ってたよ。で、無事に魚人島は守られ、宴会に呼ばれて、マーメイドのダンス見て興奮しちゃったし、後から白ひげ海賊団が現れたし、ルフィのせいで白ひげ見てギャン泣きしたのは最早懐かしい。白ひげ海賊団に行く際に、ジンベエが護衛として付いてきてくれたのは、ジンベエが早々に麦わらの一味に入ったからだ。ただ、母がドラゴンに会いに行くなんていうから、心配した彼らと、ドラゴンに礼を言いたいからとジンベエが護衛役を買って出てくれたのだ。
ドラゴンとの対面も大変だった。まぁ、あちらは血の繋がりのあるれっきとした祖父である。エースも挨拶をし、私も祖父だからと直ぐに懐いた。だって巨体じゃないし、顔は怖いけどお祖父ちゃんだし!ちゃんと白ひげもじっじ扱いもした!幼気いたいけな私を守って欲しいもの!
エースはドラゴンとは初対面だったから緊張していたけど、挨拶をきちんとしていてびっくりした。でもそこでサボが現れるなんて思わなくて、ドラゴンじぃじに抱っこされながら、ポカーンとしてしまった。だって、エースとサボが生きて再会する場面見るなんて思わなかった。
革命軍の総司令官と参謀総長を混じえての宴会はすごかった。主に私の取り合いで。今、思い出しても大変だった気がする。仕事があるからと、サボはコアラたちに引きずるように連れていかれてた。ドラゴンじぃじも戻り、護衛のジンベエはルフィが待っているからと、追いかけて行ってしまった。モビー・ディック号で過ごすのにも慣れた頃、お昼寝の後はじっじと戯れる時間になっている。
白ひげじっじは大層私が可愛いらしく、いつも私を膝なり、手のひらに乗せては頭を撫でてくれる。ひげを引っ張ってもぶら下がっても怒られない!こんなに子煩悩だったなんて……マルコ曰く女の子だから余計に可愛いとか。何かあれば俺が守ってやると言ってくれる。いやぁ、もう心強いったらないです、じっじ!!
長い回想だが、今日もじっじの膝の上できゃっきゃしていると、バタバタと甲板が騒がしくなった。敵襲?とじっじの手にしがみつくと、何事だぁ!と声を荒げる白ひげにハルタくんが寄ってきた。
「何があった?」
「赤髪がこちらに挨拶したいと連絡を寄越したんだ」
「あぁん?あのハナッタレ小僧が?」
「あぁ」
赤髪といえば、シャンクスの事だろう。白ひげ海賊団は頂上戦争の折、赤髪の世話になったはずである。まぁ、既に二年前の事でも海賊には海賊の仁義があるので、乗船の許可を出した。
「覇気は抑えろよぃ」
「分かっているよ」
シャンクスと幹部たちが酒などを持参で乗ってきたのを、母に抱っこされながら見ていたら、後ろにいるように言われた母だったが遅かった。
「マリィ!!久しぶりだなぁ」
「シャンクスさん、お久しぶりです」
「おぉ!この子がマリィの子か!」
目聡く母を見つけたシャンクスは腕を広げて、近づいてきた。で、腕に抱っこされてる私を認めると触ろうとしてきたが、そこで白ひげじっじがシャンクスの腕を掴んだ。
「ウチの可愛い孫にいきなり触ろうとするんじゃねぇ」
「おいおい、この子はロジャー船長の孫だろ?」
「おれの孫だ」
睨み合う二人に、エマは不安になりながら眺めていると、抱っこしている母がのんびりと言った。最強はやはり母である。
「エマにおじいちゃんがいっぱいいていいわねぇ」
「………マリィ…」
隣で聞いていたマルコが額に手をやりなから呟いた。
そう、私には『おじいちゃん』が何人かいる。血の繋がり上は二人。ドラゴンとロジャー。そして、白ひげとシルバーズ・レイリーもわたしの祖父を名乗っていたりする。生まれて初めて会った男もレイリーである。だって女ヶ島で一歳まで育ったんだもん。
レイリーは半分おふざけで「私のことはレイじぃと呼んでおくれ」と言って、沢山甘やかしてくれた。シャボンディ諸島に戻ってからもギャンブルはせずに、私の面倒見てくれる程に。そんなレイリーに対し、白ひげはお怒りになったのは、まぁ、孫に先に『じっじ』と呼ばれていたからである。
因みにロジャーに関しては既に死んでいるので、祖父という感情はないから、何か言われても首を傾げるしかないのが現実だ。ガープは曽祖父なので、ひぃじぃと呼ぶことにしてる。一悶着あって大変だったのは言うまでもない。
「じっじ!」
ここは白ひげに対して手を伸ばすと、にっ!と笑うオヤジに私もつられて笑顔になる。大きな手が私を包み込む。世界一安全な場所である。
「孫にかかれば、あの白ひげも形無しだなぁ」
面白そうに笑うシャンクスにマルコは「面倒はやめてくれよぃ」と言っていた。母は赤髪海賊団の幹部たちと話しているのを見て、キョトンとしてしまう。母を知っているというのに驚いたが、考えてみれば母はルフィの姉なんだから、シャンクスたちと顔馴染みであってもおかしくはない。
シャンクスはニヤニヤしながらも、見てくるから恥ずかしくて、じっじに顔を埋めていると、それがまた白ひげの胸を刺激したようだ!「ぐぅ…」と声をあげている。
「恥ずかしがっているんだな、可愛いなぁ〜」
「小さい頃のマリィの面影があるなぁ」
「そりゃマリィの子供だしな」
「だけどルフィの姪っ子なら、ルフィに似ててもよくないか?」
「お頭かしら、ルフィに似てたら大変だろ…」
だっはっはっはっ!と笑うシャンクスたちに母も苦笑いせざるおえないようだ。
「で?結局は何のようなんだ、ハナッタレ小僧」
「いや、レイリーさんからマリィが子供産んだと聞いたから、見に来ただけだ」
シャンクスが名前を出すから、思わず「レイじぃ?」と言えば、じっじがブワッ!となんか覇気を出した。それに驚いてしまい、「ひぐっ!」と声を出せば、覇気は直ぐに消えた。
白ひげが孫に振り回される様子に、シャンクスは口元を隠して、笑いを堪えている。マルコとベックマンに叩かれていた。
そこへ、現れたのは父であるポートガス・D・エースである。
「ただいま〜〜!なんで赤髪がいるんだ?」
「エース、おかえり」
母が笑みを浮かべるとガシッと母に抱きつく光景はもう何度見たか分からない。そして、次は私の番だ。
「エマっ!」
嬉しそうな顔を見れば、私も嬉しくなるのは中身がアラサーだからなのか分からない。父エースに対して可愛いな、おい!と思うも、身体は手を伸ばし、じっじにお腹を持たれている。
「今日もオヤジを独り占めしてたのか〜」
「あぃ!」
「ハハハ、可愛いな、お前は〜!」
父エースは私を抱っこすると、ぐりぐりと抱きしめてくる。そして母をも巻き込んでぎゅうぎゅうと抱きしめてくるのだ。もう一種のルーティンとなっているので、始めは冷やかしていた船員クルーたちも、今はいつものか…という日常的なものになっている。
父エース曰く、充電らしい。すぅっと私を吸うこともある。母に対してはまぁ、イチャイチャしてますよ、普通に。だってまだ二十二歳なんだよ、二人とも! すぐにでも私に弟か妹が出来てもおかしくないくらいだよ!!なんとなく、エースが母とイチャイチャしたいオーラを醸し出す時は、「じっじとねるの!」と駄々を捏ねるようにしてるけど、それが何故なのか母はすぐに分かったらしく、顔を真っ赤にしながらじっじに私を預けてたりして、可哀想になった。
エースはにっこにこでじっじに預けるし、「オヤジと一緒に寝れるなんてエマはいいなぁ〜」なんて言っていて、母が気の毒すぎるのだ。じっじも理解しているようで「オメェの親父は困ったもんだな」と頭を撫でてくれる。「マリィも大変だろうなぁ」と心配もしてくれるじっじは本当に最高の漢だと思う!
閑話休題。今は赤髪のシャンクスがいたままだが「顔見たなら後は帰れ」とマルコにびしっと言われていた。「ここは宴だろう?」と言うが、「うるせいよぃ!」と言い合いをしていた。
せっかくシャンクスに会えたからと、思わずシャンクスのマントを掴むと、それに気づいたのか、にっこ〜と笑われた。
「エマ?」
「マルコ〜、お姫さまがおれにいて欲しいようだぜ」
「……はぁ…」
ニヤニヤするシャンクスにマルコが頭を抱えながら、白ひげを見るとすごく嫌そうな顔をしていた。
「だっはっはっはっ!エマ、そんなにおれが気に入ったか?おれの嫁になるか?」
そう言って、私のもちもち頰にチュッとキスをしてきた。おま、軽口止めろ、そしてキスすんな、死ぬぞ!そう思った時には遅かった。私と母には影響がないように配慮された、じっじの覇気、エースの覇気がシャンクスを襲った。
後、隊長たちがジャキっ!と武器を構えている…赤髪海賊団の幹部たちは明らかにシャンクスが悪いのを理解し、両手を上げで、攻撃するのはシャンクスお頭だけどうぞというスタンスだ。
「……じょ、冗談に決まってるだろぉ…」
「言っていい冗談と悪い冗談があんだろ……いくらルフィの恩人でも許さねぇぇぇ!!」
「覚悟出来てんだろうなぁ、このハナッタレ小僧ぉぉぉ!!」
「ウチの可愛いお姫さまに何しやがる、赤髪ぃぃ!!」
「ちょ、べ、ベック!!」
「お頭かしらが悪ぃ、好きにしてくれ…」
幹部たちはあっさりシャンクスを見捨てたのだった。
まぁ、ガープひぃじいちゃんが来た時はもっと大変だったけど、なんとかなったし、大丈夫だろう、とエマは母に抱っこされながら、甲板でやり合う四皇たちを見ていたのだった。
「マンマ…?」
ふふっ、と笑う母を見上げると、にっこりと笑っていた。
「毎日毎日、騒がしいわね」
困ったような、でも楽しそうな母に私は「あぃ!」と答えたのだった。きっと後数分したら、母が止めに入るだろうし。何より、愛おしいという感じにこの光景を見つめる母に、何故か良かった、と思えたのだった。