01
眠くなるような気持ちいい風が、木陰に吹いてきます。
本を読む美咲お姉さまのそばでアリス…又の名を蜜柑はあくびをしました。
「…せっかく読んでやってるんだから、あくびするなよ」
「だって、つまらへんもん」
蜜柑は、またふわぁっとあくびをすると
「まぁ、退屈だよな…」
とお姉さまも言ってしまいます。それじゃ…と美咲は立ち上がると
「飲み物取ってくるから、待ってな」
そう言って家の方へ行ってしまいました。
蜜柑は、退屈でぼーっと眺めていると
「わあっ!!急がないとっ!!」
チョッキを着て、金髪の髪から何故かうさぎの耳を付けた人間?が目の前を横切ったのです。
「どこへいくん?」
急ぐ流架ウサギに蜜柑が叫ぶが、ウサギはピョーンと穴に飛び込んでしまいました。
好奇心旺盛な蜜柑は、ためらいもなく続いて飛び込みます。
「……こんな穴に入るのイヤやって」
――飛び込みます。
「うぅ〜なんか恐いけど…えいっ!!」
深い穴の中をとてもゆっくり落ちていくので、蜜柑は安心しました。
「……これなら安心や…」
そう思い、眠くなった蜜柑はどこか遠くの方で、天敵のベアの箒の音が聞こえました。
「…ムニャ…明日こそベアに…勝つ……」
蜜柑は、寝言を言いながらもまだ穴の中を落ちてました。
やがて、ドシンっ!!穴の底に到達し、蜜柑はお尻をかなりぶつけました。
「〜〜いったーい!!」
辺りを見渡すと底は、細長い部屋になっていました。
びっくりした蜜柑は、キョロキョロしつつ小さなドアを開けると、キレイな庭が見えます。
でもドアが小さすぎて、とても通れません。
「……どぉやったら、あっちに行けるんやろ…もぅ上には戻れへんし…」
上を仰ぐと落ちて来た高さすら分かりません。
どうしようかと悩んでいると、テーブルにケーキが乗っていました。それには、『お食べなさい』と書いてあります。
「…なんや、めっちゃ怪しいな…」
そう言いつつも蜜柑は、ケーキを手に取りひと口食べました。
すると、体がぐんぐん伸びていきます。
「ギャー!?こ、こんなん大きくなったら、ますますドア通れへんやん」
蜜柑は、困り果て泣きだしました。
「こんなんイヤや――っ!」
しばらくして、泣き疲れたのか蜜柑は泣き止みました。大声で泣いたのが恥ずかしくなったのです。
気持ちを落ち着かせようと、そばに落ちていた扇子を拾いあげて、蜜柑はパタパタと扇ぎました。
なんと、今度は体がどんどん縮んでいきます。
「な、なんやねん〜〜これは……!?」
ドボンっ!!今度はしょっぱい水の中に落ちてしまいました。先程、蜜柑が泣いたので涙の池が出来たのです。
やっとの事で、岸に泳ぎ着くとまた流架ウサギが走っているのを見て追い掛けました。
「おぉ〜い、待ってやぁ〜ウサギさん〜〜」
「ごめん…急ぐからっ…」
なんとか、途中まで追い掛けたもののまた見失ってしまい、蜜柑はとぼとぼ歩いているとキレイなお花畑にやって着ました。
「うわぁ〜キレイやなぁ♪」
「うふふ、そういう貴方もキレイな色ね?」
「本当♪キレイな青よね」
見ると目の前の花がくすくす笑っています。
「は、花がしゃべった!?」
蜜柑は、びっくりし声を上げますがそのお花は笑いながら話し掛けてきます。
「私は野乃子っていうの」
「私はアンナ。貴方はなんていうの?」
「ウチ?ウチは蜜柑っていうんよ」
そんな風に戯れていると、突然
「煩いわねぇ〜睡眠妨害よ?アンタたち」
「あ、スミレちゃん。新しいお友達よ」
蜜柑は声のする方をみると、違う花がいました。
スミレと呼ばれた花は、蜜柑をジロジロ見ると
「貴方、なんのお花なの?」
「ウチ?ウチは花やないよ。人間や」
「っに、人間ですって!?汚らわしい!!今すぐここ(花園)から出ていけ―っ!!」
恐ろしい剣幕で言うものだから、蜜柑はびっくりし野乃子ちゃん達にあいさつも出来ないままその場から走って逃げました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「…っはぁ…はぁっ…なんやねん…」
蜜柑は、少ししょんぼりしながら歩いていくと、キノコにぶつかりそうになりました。
ふと、キノコを見るとイモムシがいました。
「……今度はイモムシか…」
なんとなく疲れきったような感じのイモムシは
「片方伸びて、もう片方縮む…。キノコを食べなさい」
そういうと消えてしまいました。
蜜柑は、不思議に思いながらもキノコの淵を二つちぎりました。
「片方ってどっちやろ?」
困った蜜柑は、左手のキノコを噛ります。
途端に、体が伸びていきます。慌てて、右手のキノコを少し噛りました。
「うわぁ!?体が縮んでいく」
丁度いい大きさになると、木の枝で黒髪で紅い瞳の黒猫がニヤニヤと笑っていました。