01

GAKUEN ALICE

チク、チク…。
流架ぴょんが慣れない手つきで縫い物をして、赤い頭巾をこしらえました。


「――って、俺がおばあさん役!?」


いえいえ、流架ぴょんでいいんですよ〜。


「……………か、可愛い佐倉に、きっと似合うといいな…」


そんな想いを込めてなんとか作りました。


「わぁ!嬉しいなぁ〜!!」


赤い頭巾が届いて蜜柑は大喜び。
いつも、この大好きな赤い頭巾をかぶっているので、みんなから『赤頭巾』と呼ばれるようになりました。


「しっかし、流架ぴょんは器用やなぁ〜…」


赤頭巾ちゃんはお使いも大好きでした。


「蜜柑…ちょっと頼まれてくれない?」

「またかないな。蛍はホンマ外に出ぇへんな〜たまには外に出るのもえぇと思うで」

「出てるじゃない、外に」

「そんな玄関先や家の周りとかやなくて〜こう、町に出たり〜森に散歩に行ったり〜とかや!ウチは、蛍とデートしたいんや!!」


赤頭巾ちゃんが一緒に出掛けたいのかうっとりとしつつ力説しますが


「面倒。そんなことよりこれを流架くんの所へ持って行ってくれないかしら?」


ばっさりと言われ、蜜柑は「そんな風に言わんでもぅ〜」と涙を流してました。


「流架くんが、風邪引いたらしいのよ。とりあえずパイとワインを届けてちょうだい」


蛍はお構いなしにバスケットに入ったパイとワインを渡しますが……


「ほ、蛍?お見舞いにしてはこれ少なすぎへん?パイ一欠けらとワインが1カップなんて……」

「……………チッ!」


蛍は渋々委員長が置いていった他のパイと開けてないワインを差し出しました。


「……道草しないで、さっさと行ってさっさと帰ってきなさいよ」


蛍に頼まれて、蜜柑は元気に出掛けて行きました。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



森の道に小さな花が咲いているのを見つけると、蜜柑はにぱっと笑い


「流架ぴょんの見舞いに摘んでいこうっと♪」


すると、木陰から髪の長い長身の狼が誘いました。


「やぁ!可愛いチビちゃん、森の奥に綺麗なお花畑があるから、そっち行こうぜ」

「ホンマ〜!行く、流架ぴょんに一杯摘んでいってやるんや♪」


赤頭巾ちゃんは喜んで長身の狼さんと手を繋いで森の奥へと入って行きました。
それを見ている紅の瞳には気付きません。



   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇



森の奥は、ひっそりとしていました。


「なぁ、どこまで行くん?」

「ん〜もう少しだよ〜。ほら」


狼が指差した方をみると一面のお花畑が広がっていました。


「わぁ〜!!綺麗なお花畑や!!ありがとう♪狼さん」


赤頭巾は喜んで花を摘み始めました。
長身の狼は、辺りを見回すと


「ふっふっふっ。邪魔が入らないうちに……」




狼が、ニヤリと口を歪ませているその時、コーン! カーン!とキコリが木を切る音が聞こえてきました。
この森には小さなクマが番人かのようにいるのを思い出した長身の狼は


「ここじゃ、まずいなぁ」


近くにその番人の気配を感じ、狼はがっかり。


「それなら、先回りしてやれ」


と思うと赤頭巾に話し掛けました。


「赤頭巾ちゃん、俺用事思い出したから、先に行くね」

「へっ?あ、はい。分かりました〜ここまでありがとうな♪」


蜜柑が礼を言うが、狼はいやいやと頭を掻いた。


「でもチビちゃん、気をつけてね。ここには番人がいるから」

「番人?」

「会えば分かると思うよ。じゃ!!」


キョトンとする蜜柑をよそに、そう言い残すと、狼は森の中を飛ぶように走り去って行きました。


「………随分急いでいるみたいやなぁ〜って!ウチも行かなあかんやん」


花を摘み終え、蜜柑は歩きだしましたが、立ち止まったり、屈み込んだり…。
森の小道をのんびり歩いていました。
蝶々やリス、ウサギに話し掛けながら歩いていると森の中頃に小さな小屋が建っているのを見つけました。


「な、なんやあの小屋は……」


一瞬、嫌な予感がしましたが顔をぶんぶん振ると


「まさかなぁ〜あれはきっとキコリさんの小屋や!さっき聞こえてたもんな!」


自分に理由をつけて、挨拶しようと近づくとそこには小さなクマのぬいぐるみがいました。


「ひっ!!あれは………」


嫌な予感的中とばかり、そこには森の番人である、Mr.Bearが斧を片手にこちらを睨みつけてました。
気がつけば、ベアのテリトリー内。じりっ…と寄ってくるベアに恐れている所に


「ベーア!ダメだろ!!そ そんな戦闘体制に入って威嚇しなくても!っと大丈夫か?赤頭巾」


ベアをひょいと持ち上げ、こちらをみてくる彼は近所のお兄ちゃん的存在・翼だった。


「翼先輩!」

「こんな所でなにやってるんだ?」


聞いてくる翼に赤頭巾は、流架の風邪の事、お使いの事、お花畑に案内してくれた長身の狼の事を説明しました。


「げっ!その狼って髪長くなかったか?」

「うん、そうやよ。なんで知っとるん?」

「……アイツは危険だからあまり近づくなよ。でもいなくなったなら平気か、じゃ、あんまり寄り道すんなよ」


ぶつぶついう翼に首を傾けながら、赤頭巾は手を振ると流架の家へと足を向けました。


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