ささやかな幸せ
それは…
当たり前のようで
でも、どんなに小さな幸せだとしても
自身にとっては
なによりも大きな幸せ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
授業も終わり、みんなが寮へと帰る。
むろん、棗もそうなのだがいつの間にか傍らにいた流架がある少女と変わっている。いつからか、一緒に帰るようになっていた。
「…でな、明日当たるから宿題教えて欲しいんよ」
柄でもないのに、繋がれた手を解こうとも思わないのはイヤではないから…。
いったい、いつからこうなのだろう…と考えるも既に当たり前に慣れすぎて忘れてしまう。
「なぁ?聞いてるん?」
ひょいっと覗き込んでくる茶金の瞳が可愛らしくて。つい、行動に出てしまう。
――ちゅっ
「なっ…!?何すん…」
真っ赤になる彼女がまた可愛くて、棗はぐいっと顔を近付けるとまたもや強引に口唇を奪っていく。
それは、長いようで短く、短いようで長いキス…
口唇の柔らかい感触を惜しむように離すと、真っ赤になった彼女が睨んでいた。
「い、いきなり、何すんねん!!」
「キス」
「そうやなくてっ…」
「…顔近付けたてめぇが悪い…」
「なっ…だからってなぁ〜ι」
いけしゃあしゃあと言う棗に対し、蜜柑は力が抜けたようだった。
「…目の前にあったからしただけだろ」
「めっ、目の前にって……それだけですんなっ!!誰かに見られてたらどないすんねんっ!!」
「………誰かって、例えば後ろにいるヤツとかか?」
「ふぇっ…?ほ、蛍っ!!流架ぴょんっ!!」
後方を指差され、くるりと振り向くと呆れ顔の蛍と真っ赤になった流架の顔があった。
「………何してるのかしら?」
その声は、果てしなくドス黒く…蜜柑というよりは棗に向けられていた。
「あ、あんな……」
「みて分かんなかったのかよ、今井」
「黙れ、どゲス野郎。私の蜜柑を弄びやがって」
「それは残念だったな、蜜柑はてめぇのじゃないぜ」
「ハッ、蜜柑がこの学園に来たのは私に会いたかったからよ。私がいなかったら、アンタらと会う事もなかったのよ。せいぜい感謝なさいよ」
二人の絶対的零度な会話は、蜜柑と近くにいた流架をハラハラさせていた。
二人が睨み合っていると、おろおろしている蜜柑が目に入ったのか
棗は、付き合ってられん。とそっぽ向いて歩いていってしまった。
「あら、逃げるのかしら?」
「ちげぇよ、アイツ………」
後の言葉は、小さく蛍にしか聞こえなかった。蛍はくるりと振り返ると、困惑顔がふたつ…
(……なるほどね)
その隙に行ってしまった棗の後ろ姿をみて
「追い掛けなくていいの?」
どちらに向けた言葉か分からないが、蜜柑はそれを聞くと走って行ってしまった。
「なつめっ……」
「………いいの?」
彼らを見送る流架に話し掛けると、さっきまでの複雑な顔が消え
ふわりとした笑顔を見せる。
「何が?」
「蜜柑に言った訳じゃなかったのよ、さっきの」
「あぁ…でも今の棗には佐倉の方がいいだろ…」
「………流架ぴょんって…
将来、絶対ツボとか買わせられるタイプね」
↑むしろ売り付けるのは蛍様…?
「っっなんだよっ!?それっ!?」
「……思ったままの感想よ。で、いくらなら買う?」
「今井っ!!」
「なつめぇ〜、棗ってばぁ〜…」
名前を呼び、追い掛けていた彼は制服の裾をくいっと引っ張ると、ようやく止まってくれた。
「……なんだよ…」
「なんだよじゃないやろっ!!なんで行ってしまうん?」
隣に並び、見上げてくる瞳に棗は不思議な感じがした。
そして、キュッと手を繋がれ再び顔を見ると…
やや赤らめた頬の蜜柑が
「一緒に帰るんやろ…」
と恥ずかしそうに笑った。
棗は、その笑顔にめったに見せない優しい眼差しで蜜柑を見ると
ゆっくりと蜜柑の瞳が閉じられ、二人は口唇を重ね合わせた。
その長い影はどこまでも伸びていた。
END
あとがき
生まれたての子に乳を与えながら書き上げました(バカ)
さて、今回の話は訳分かりません。今回もだろ!!
さて、もうすぐサイト運営開始から1年になろうてしております('04/10/1からだから)
それと今回の出産も兼ねて(あまり更新出来ないお詫び)
フリー小説にしたいと思います。
とりあえず、フリー期間は10月10日までにしたいと思います。
こんな駄文ですが、お気に召した方どうぞ☆
それでは、ありがとうございましたm(__)m
'05/09/26