大嫌いな恋

GAKUEN ALICE

大嫌いだった……あんなイヤミギツネ

平気で女の子のパンツ脱がすし
胸覗くし、スカート捲るし
髪の毛に火つけるし…

ホンマ、大嫌い!!


でも…違ってた……




―バタンっ!!

ばたばた…ばふんっ!!


蜜柑は、自室に入った途端ベッドに倒れこむ。


「……………はぁ…」


ため息を吐くと、ごろんと寝返りをうち天井を仰ぎみる

知らんかった…
ウチ…棗が好きやったんや…

あんなに…

意地悪で…

乱暴で…

我儘で…

容赦なくて…

でも

たまに見せる優しさが…

棗が好きなんだ……

だから……

あんな風に
誰かが…
棗の悪口をいうのが許せんかったんや


…………………
うわっ…
なんか…自覚したら
すっごい恥ずかしくなってきた!!
だって…だって…ウチ…
パンツ脱がされたり
胸見られたり
スカート捲られたり
…………すべて棗が悪いやけど…
ギャ―――っ!!
っなんか…イヤ―――!!

枕に顔を埋め、ジタバタしていた蜜柑だが、ハッと顔をあげると


「あ…明日…棗の顔見れるやろか…?」


ドキドキして、胸がときめく。
こ、これが【恋】なんかっ!?


顔を真っ赤にし、悶々としたまま夜が明けてしまった。
蜜柑は、寝不足のまま学校へ行き、居眠りでじんじんに目をつけられ、罰掃除をさせられてしまった…
くたくたになり、休もうと茂みの中に入ると、一日顔を合わせないようにしていた棗と会ってしまった。


「うぎゃっ!?」

「あ゛?」


つい、変な声を出してしまい棗に睨まれてしまった。

―ドキドキドキ…

睨まれても胸が高鳴り、蜜柑は恥ずかしくなってしまう。
誤魔化すように、しゅったっと手をあげると


「……あ…じゃ……じゃあ」


と、逃げるようにその場から立ち去ってしまった。
後に残された棗は、只でさえ一日無視された挙げ句、今の態度に腹を立て腰をあげると蜜柑が逃げていった方へと足を向けた。



「…はぁ…はぁ…はぁ……」


肩で息をし、胸を手で押さえた。

(…に……逃げてしもうた…)


自覚した気持ちというモノは、本来嬉しいくせに、実にその反対のことばかり行動してしまう。
本当は…あの場にいて棗と…棗のそばに
一緒にいたかったのに…
つい、逃げてしまう弱い自分がいた…


「…ウチのアホっ!!いくじなし…!!」





自分の行動に悔しくて、涙が零れてしまう。
こんなにも自分は弱かったのだろうか…
【恋】をすれば…
甘い素敵な思いばかりかと…思っていた。
しかし、実際の恋は苦く…弱くなる一方だ。
こんなにも自信を失くしてしまうモノなのか…

恋をしたら、強くなれるし、弱くもなる。
そう教えてくれた、先輩を思い出し


「………強くなれるんやろか…」


と不安になり、零れる涙を擦った。


ガサリっ…


不意に音がして、振り向くと涙の原因ともいえる棗がいた。


「Σ……な、棗っ…!?」

「………………」


その紅い瞳は、零れる涙に反応したのか
少しばかり見開いた。
しかし


「…何、ブスが泣いてんだよ よけいブスになんぞ」

「………ぐっ…うるさいわっ!!」


彼にとっては些細な言葉でも、蜜柑の胸にはツキリと突き刺さる。
いつもなら…気にもせず
ただ腹を立てて言い返すのに
弱気な気持ちがそうはさせない。


―ウチは そんなに ブス なんやろか―


一瞬にして落ち込んでしまう。
ここまで、重傷なんて…


反応にいつもの様な覇気がない事に、棗は気付きつい見つめてしまう。


「………なんか、あったのかよ」

「…べつに…」


こんな気遣いが、気にしてくれる事が嬉しくて、萎んだ気持ちを一気に浮上させる。


「…別にって態度には見えねぇけどな…」

「………誰のせいや!!」

「…………オレのせいだとでもいうのかよ…ι」

こんな事言いたいわけじゃないのに…
急な言葉につい本音がでてしまう。




――――そう…

何もかも 全部 あなたのせい―――



胸が苦しくなるのも

急に泣きたくなるのも

胸がときめくのも

優しく幸せな気持ちになるのも


すべてはあなたのせい



「そやっ!!こんなんなったん、全部棗のせいや!!」

「…てめぇの居眠りがなんでオレのせいなんだよ!!」

「……だって、棗って…意地悪やし、乱暴やし…」

「何言ってんだ?てめぇ」

「すぐ火つけるし、ワガママやし…人バカにするし…痴漢男やし」

「聞けよ…ι」

「………大嫌いやっ!!」

「…………そうかよ…」


ほんの一瞬、棗の紅の瞳がかげったが、蜜柑は続けて口を開いた。


「……でもな…たまに優しかったり…するのはいいと思うんや…」


棗は、眉をひそめながら


「……何が言いてんだよ」

「…せやから、そんなん全部ひっくるめて……ウチは、棗が好きみたいなんよ」

「……………はっ?」

「…迷惑……?」

「…乱暴者なんだろ?」

「うん…」

「意地悪でバカにするんだろ?」

「うん」

「…それでも好きなのか?」

「うん!!」


突然すぎる告白に驚く棗だが、ニヤリと笑うと


「…お前はバカだし、ブスだし、周りを見ずに行動起こすし…誰かれかまわず抱きつくし…」

「……ケンカ売ってんのかい!!」

「…聞けよ、ボケっ!!だけど……人を幸せにするようなパワーがあるよな…オレもそんなお前が好きだぜ…蜜柑」


そう言われるなり、真正面からギュッと抱きしめられた。


「……オレのモンだ…」


突然の事に蜜柑は呆然とした。
たった今、信じられない言葉を言われ、抱きしめられているのだから


「…ほ…ホンマっ?」

「…あぁ」


呆然となり、真っ赤になる蜜柑の目の前に棗の紅い瞳がある。
ドキドキと鼓動が速まる中、自然と瞳が閉じ
次の瞬間
柔らかい感触が口唇に触れた。





初めて出会った頃は

お互い相容れない存在

お互い『大嫌い』な同士だったのに

気がつけば

『大好き』な存在に変化していた。


大嫌いから始まる恋には
もう好きになるしかない。



END



あとがき

甘々?な話を書いてみました。
大嫌いから始まる恋〜っていうのは確かに、残る道は好きになるしかないですよね?
これ以上嫌いになりようがないですから。
まぁ、人によっては大嫌いのまま終わる方もいると思います。
というのが、アタシの勝手な考えですのであしからず。
では、お目汚し作品読んで下さりありがとうございましたm(__)m

'05/1/12


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