りんごとみかん
その朝のHR時間前に蜜柑は、鳴海に呼ばれた。
「蜜柑ちゃーん」
「鳴海先生、おはようございます」
「おはよう。あのね、蜜柑ちゃん。今日棗くん風邪引いて休みなんだけど、お見舞いに行ってきてくれないかな?」
「へっ?棗、休みなん?…ふーん、別にええけど…」
蜜柑が答えると、鳴海はにっこりして持っていたりんごが数個入った籠を渡しながら
「よかった、はい。じゃあ、今から行ってきてね。授業遅れても構わないから。それから、これ棗くんに渡してね」
「えっ!?今から?それに手紙?」
「うん。行ってらっしゃーい」
とぐいぐい背中を押され、教室から出されてしまった。
(……い、いったい何なん?)
とハテナマークと飛ばし氏ながらも、持たされた果物籠を持ち、手紙をポケットに入れ再び寮へと戻った蜜柑は棗の部屋を真っすぐ目指した。
『 NATSUME HYUUGA 』
―トントン―
ドアをノックしても返事がなく、寝てるのかと思いどうしようか…と考えていたら、フイにガチャリとドアが開いた。
「…………水玉?…何で…」
中から、一見具合悪く見えない棗が出てきたが、口調はいつもと違いかなりダルそうだった。
「あ…ウチ、鳴海先生に言われてお見舞い来たんよ。大丈夫か?棗!」
「………とにかく、入れ…」
中に入ると、広い部屋に豪華な家具、キングサイズのベッドに蜜柑は圧倒されてしまう。
(ウチの部屋と大違いや…)
とりあえず、丸テーブルに果物籠を置きながら
「そうや、コレお見舞いの品や」
言うと、棗はやはり調子が悪いのか面倒なのか(どっちもどっち)横目で見ると、ベッドに戻った。
「あ、忘れるトコだった。はい、これ」
蜜柑は、ポケットから手紙を出すと棗に渡した。
「………なんだ、コレ…」
「さぁ?鳴海先生が、棗に渡せ。って…なんて書いてあるん?」
ガサガサと封筒から手紙を出し、目を通すと内容にムカついたのか、いきなりその場で火を出し燃やした。
「…あっの…変態教師っ…!!」
「危ないやん!いきなり燃やすな!!…で、なんて書いてあったん?」
「てめぇには、関係ねぇよ!!」
「なっ!!」
手紙の内容が気になっていたのに、読むことが出来ない上に、睨まれてしまい頬を膨らませた。
そして、何か言い返そうかと思った蜜柑だが、やはり今日ぐらいは止めとこうと思い、口を閉じた。
(…一応、病人やし止めとこう)
「……あっ、と…じゃあ棗風邪引いてるし、悪くなるとアレだからウチ、学校戻るね。お大事にな」
手を振って、出ていこうとした時声が掛かった。
「………りんご…」
「…はっ?」
「りんごがそのままあったって食えねぇんだよ、お前、剥け!」
「……へ?だってウチ…」
棗は、はぁ〜とため息を吐くと
「……さっきの手紙…ナルがお前が俺の看病する!とか書いてあった…」
「………はぁ!?なんやそれ!?なんでウチが看病せなあかんの!?」
「…………パートナーだからだと…まぁ、パシリみたいなもんだ。だからりんご剥け!」
なんだか、納得いかない蜜柑だったが、ここで逆らって髪の毛を燃やされるのはイヤだと思い、りんごを掴むと椅子に座り器用に皮を剥いていった。
そして、剥いたりんごを持ちベッドの傍の椅子に座るとゆさゆさと寝てる棗を起こした。
「棗、りんご剥けたで。口開けて…ほら、あーん…」
「………………」
「ほら、口開けんかい!あーんって!!」
「………一人で食える…」
起き上がった棗は蜜柑の行為に、照れたのか顔を俯かせて、りんごを取ろうとしたが
「ダメや!アンタ一応、病人やし…ウチが食べさせてやるから…口開けて」
蜜柑によって、阻まれた。そして、仕方なく口を開けて食べさせてもらうことにした。
「……てめぇでも巧く皮剥けんだな…意外…」
「ふふん、ウチ料理は得意なんや!巧いやろ?ウサギンりんご♪」
「食っちまったら、同じだ。バーカ」
「なんやとっ!?ムカつくわぁ〜」
「…うっせえ、静かにしろ!!……はぁ〜」
りんごを食べさせてくる蜜柑を見ながら棗は、ため息を吐いた。
「なんやねん、ため息なんて吐いて!」
「…なんでもねぇ」
そう正に、棗は今微妙な気持ちでいた。
目の前の蜜柑を押し倒したかったのだが、ナルの手紙のせいで戸惑っていた。
『棗くんへ☆
今日は、蜜柑ちゃんが看病してくれるから、仲良くね。
でも、くれぐれも頑張り過ぎないようにね☆蜜柑ちゃんに風邪移さないでね〜♪』
正直、ナルの思い通りになるのが気に喰わなくて、蜜柑に風邪を移すのもイヤだったから、なんとなく、我慢してしまう棗だった。
そして、りんごを2個を食べて、また寝てしまった棗でした。
END
あとがき
まぁ、結果は風邪を引いた棗に蜜柑が林檎を食べさせる。という話です。
無駄に長くてすいませんです…(汗)
2004/9/15