かくれんぼ

GAKUEN ALICE

狭い掃除小屋の中に二人はいた。二人は息を潜め、なぜか顔を真っ赤にしていた。


   ◇◇◇◇◇◇◇◇◇


時間を遡ること30分前――クラスのみんなでかくれんぼをすることになった。しかも、鬼は棗だった。棗は、鬼になる代わりに条件を出した。


「……最初に見つけた奴になんでも言うこと利かせる事出来たらやってもいい……」


チラリと蜜柑を見ながら棗は呟いた。


「何いってんねん、隠れ鬼はそんなルールなんかあらへんよ!」

「…うるせぇな!そうでもしないとつまんねぇじゃねぇか!俺が決めたんだからそういう事にする」

「…なんじゃそら?メチャクチャやな…ま、えぇわ、さっさと始めよ。」


蜜柑は、不思議がっていたが、流架と蛍は棗が何を考えているかが分かった。


『(佐倉・蜜柑)を一番最初に見つける気(だ・ね)』


場所は、初等部周辺ということになりいよいよかくれんぼが始まった。棗が百数える間にみんなは散らばった。


「蛍ぅ、蛍は何処に隠れるん?」

「…私、完璧目指すからアンタとは別行動するわ。(アンタと一緒だとすぐ見つかりそうだし…)」

「えっ?そんな〜蛍ぅ〜」


蜜柑の言葉など無視して、スタスタと蛍は行ってしまった。


「ん〜〜、何処に隠れようかなぁ〜あっち、行ってみよ」


蜜柑は、そう言うと森の方へ歩いていった。


「あっ、あそこいいかもしれん♪」


見つけた先は、小さな掃除小屋だった。そ――っとドアを開けて入ってみると、中に人がいた。


「さ、佐倉……!?」

「ル、ルカぴょん?あー…入ってもえぇ?」

「あ、うん…別にいいけど…(佐倉と二人きり…)」

「ありがと、ルカぴょん♪」


蜜柑は、にっこり笑うと流架の隣に座った。狭い掃除小屋だけあって、二人は密着していた。


…どきん…どきん…どきん…




『こ、こんなに近くにいて心臓の音聞こえなきゃいいけど……』


流架は、自然に顔が火照っていくのを感じていた。


「…なぁー、ルカぴょん」

「な、何…!?」

「ウチ思ったんやけど、最近、ルカぴょんと棗、笑うようになったな。」


ボソボソと小声で話してくる蜜柑に流架は、不思議そうに聞き返した。


「えっ……そう?」

「うん、棗はそんな分かりにくいけど、ルカぴょんは結構笑うとるよ。ウチなんか、嬉しいねん」


流架を見ながら、蜜柑はにっこりと笑った。


「……えっ…なんで…?」

「なんで?って…人の笑顔見るのって嬉しぃない?ウチは、笑顔って好きやねん。だから、嬉しいんよ。」

「………俺…も…笑顔が好きかな……佐倉の笑顔が……」

「………へっ?ウチ?ル、ルカぴょん…そんなお世辞言わんでも……えっと……」


流架の発言に、蜜柑はびっくりしていたが、流架が真っ赤になってるのを見て自分まで真っ赤になってしまった。暗い掃除小屋の中、二人は顔を赤くしていた。そして、しばしの沈黙を破ったのは流架だった。


「…あ、あの……佐倉…」

「…な、なに……?」

「俺……さっ」



――バン!!!!



不意にドアが開き、棗が入ってきた。


「ぎゃっ!?棗!?」

「…な、つめ……」

「…………ルカと…水玉か…何してんだ?」


その顔は、不機嫌というオーラを漂わせていた。


「な、何してるって隠れてたんやん。でも見つかってしもーたな、………えっと…ルカぴょん」

「えっ……あ、うん…隠れてた……」


二人のどこかぎこちない雰囲気を見て、益々棗はブラックモードに突入していく。


「……………」

「あっ、棗、もしかしてウチらが最初に見つかったん?」

「えっ?…そうなの、棗?」

「………あぁ、そういえばそうだな…」


そう言うと、棗はニヤリと笑うと


「二人同時だからな、二人一片に利いてもらうかな…」

「えっ、じゃあルカぴょんと一緒?」

「………あぁ…」

「…………?まぁええけど…どんなの?」


棗は、流架と蜜柑を眺めると


「今日から一週間、お前ら口利くな!!」

「……はぁ〜!?なんでや!?」

「…えっ……棗?」


「るっせぇな!そうでもしねぇとムカつくからだよ!!」


チラリと流架の顔を見て棗は意地悪く言うと、蜜柑は


「なんやねん!ウチがルカぴょんと一緒にいるのが、そんなあかんのかい!!」

「さ、佐倉…」

「そんなに、ルカぴょん取られるのがいやなんかい!!」


「「…………はっ?」」


蜜柑の発言に、棗と流架は呆然とする。受け取り方が間違っていたのだ。
棗や流架にとっての『口利くな』は、蜜柑が流架(男子)と会話してほしくなくて。という意味だが、蜜柑にとっての『口利くな!』は棗からルカを取るな!という風になっているらしい。


「…佐倉……」

「………バーカ!」

「なんやてぇ!?バカって言う奴の方がバカやねん!!」

「てめぇは、言ったって言わなくたって馬鹿だろうが!行くぞ!!ルカ」

「…えっ…うん……」

「あっ、待たんかい!こらぁ〜〜!!」






叫んでる蜜柑を無視し、棗はスタスタと歩いていった。結局、その後は棗が誰も探さないで寮に戻ってしまったため、かくれんぼは有耶無耶なままおわってしまいました。




END





あとがき

初めての学園アリス小説です。
なんだか、流架ぴょんがおいしい思いをしているような、そうではないような…まぁ、棗のヤキモチがメイン?
書いててよくわかりません…ι
なつみかん同盟に贈りました。



'04/8/31


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