ひとときの誘惑
カツカツ…と西日が射す廊下を黒髪の少年…棗は教室へと足を運んでいた。
「………」
無言のままガチャリと教室のドアを開くと、見慣れた茶髪の少女が壁にもたれながらすぅすぅ…と寝息をたてていた。
「…………水玉…?」
目の前にしゃがみこみ、棗は髪を一房掴み弄んだ。が、一向に蜜柑は起きる気配を見せずにいた。
「…うぅ…ん………つめ…」
呟かれた声がやたら色っぽく感じたのと自分の名前を呼ばれ、棗の理性は抑えられないものへと変化していった。
口唇にそっと息を吹き掛けながら、甘いキスを落としていく。とたんに、ピクリっと動きパチっと見開いた茶色の瞳と目があった。
ぷはっと口唇が離れ、驚愕する蜜柑を眺めるが彼女はただ驚いただけでわたわたと慌てていた。
「…っ!?棗っ!?」
「…なに、こんなトコで寝てんだよ…」
「えっ……あ…棗と一緒に帰ろう思ってて待っとったら…寝てたみたいや…」
真っ赤になる蜜柑がまた愛しくて、棗はキスを続けていくと抵抗されることもなくギュッと制服を掴まれていた。二つの影が重なり合った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その頃、棗の取り巻きたちがたまには棗と一緒に帰ろうと思い、流架をも誘って玄関で待っていた。
「遅いっスねぇ〜棗さん」
「帰ってたりしてねぇよな?」
「……まだだと思うけど…」
そんな会話が繰り広げていた中、誰かが思い出したように
「やっべ!!宿題のプリント忘れてきた!!」
「はぁ?今日宿題出たっけ?」
「出ただろ。神野の奴ら」
「げっ!?俺も忘れて来てる…」
仕方がないからと、みんなで教室に戻ることにした。その方が棗を捕まえられるというのもあり、ぞろぞろと教室に向かいドアの前まで来ると、中から物音が聞こえて来た。
『…………』
『…………』
誰かと誰かが話をしているみたいだが、時折ガタガタと物音が聞こえてくる。不思議になりながらも、みんなは小声になり教室の中の物音に耳を傾けた。
『…んぅ…ちょっ……こんな…トコで…』
『黙っておとなしくしてろ…』
『やぁっ…そんなトコ…ぁんっ…』
中から聞こえてくる声に誰もが真っ赤になるしかなかった。しかも声の主は、待っていた憧れの棗であり、相手はたぶんあの『星なし』(ではないが)の佐倉 蜜柑であると思われる。
誰もが流架を見るが、顔面蒼白になり虚ろだった為、腕の中のウサギンは心配そうに流架を見ていた。
「おい…これって…」
「あぁ…ヤバくね?」
とその時、グットタイミングなのかバットタイミングなのか、中等部の翼が現われた。
「何やってんだ? お前ら? おっ!! 流架ぴょん、蜜柑知らないか?」
「えっ? あのっ…」
この中にいるとも言えずにいると、翼はガチャリとドアを開けてしまった。
「「「「あっ!!!!」」」」
「あ?」
『えっ?』
翼は、流架たちをみて不思議に思いながらも教室内部の棗と蜜柑を見て、
「あっ……えーっと悪ぃな、続けてくれ」
と、苦笑いしながらまたドアを閉めた。その時の蜜柑の姿は、ブラウスがはだけられ首元には紅い華が咲き乱れていた。
ガチャリと閉めたドアだったが、中から悲鳴が聞こえガタガタと激しい物音が聞こえたかと思うと、後ろのドアから真っ赤になった蜜柑がバタバタと走っていってしまった。
やがて、先程開けたドアからは青筋を立てた棗が出てきた。
「………てめぇら…」
「「「な、棗さん…」」」
「…………」
「邪魔して悪かったな★」
ビクビクと怯える取り巻きと、今だに顔面蒼白の流架、そしてニヤニヤ笑う翼だったが、流架以外炎を出されるのは時間の問題だった。
END
あとがき
これはどのジャンルだ?
と疑問に思いながらの新作でございます☆
結構前から書きたかったネタです。
これは微エロ?でもないですね。
ついでにいうならば、教室内では行為は行われておりません。
キスの嵐だっただけです。
まぁ、棗はやる気満々だったでしょうがお預けです(笑)
この後、夜への行為続く可能性はありますが、まだ決めてないです。
気が向いたら書こうと思います(裏だけど)
それでは、ここまで読んで下さってありがとうございましたm(__)m
'05/06/08