love apple
お昼休み時間、蜜柑と蛍、委員長は食後の散歩をしていた。
そこに、我らがB組の担任・鳴海先生が岬先生の温室からピンク色のりんごを持って(盗って?)出てきた。
「あ、鳴海先生やん」
「あ〜、蜜柑ちゃんvV今井さんと飛田くん。散歩?」
声を掛けられ、振り向いた鳴海は可愛い生徒に笑顔を向けた。
「うん、天気えぇしvV先生は、何してんの?」
「また勝手に岬先生の作品盗ってきたんでしょ」
「ほ、蛍ちゃん…(汗)」
「アハハハハ〜別にそういう訳じゃなくて…」
蛍の発言にやや苦笑いの鳴海は笑ってごまかしとして、リンゴを一つ取ると蜜柑に差し出した。
「はい、蜜柑ちゃん食べてみる?」
「うわぁ〜ピンク色のリンゴやぁ、なんか可愛いなぁvV……かじっ」
「えっ、大丈夫なの?このリンゴ…」
蜜柑は、受け取るとニコニコしてそのまま噛った。委員長は、ピンク色のリンゴっていうのが怪しげなのに平気で食べる蜜柑にびっくりしたが、その瞬間
ドタっ!!
「「「蜜柑(ちゃん)!?」」」
わたわたする委員長と鳴海、内心びっくりしている蛍が倒れてる蜜柑をなんとかしようとしてるとちょうど、そこに棗と流架が通りかかり近寄って来た。
「…どうかしたの?って佐倉!?大丈夫?」
「…………何したんだ?こいつ」
「「「流架(ぴょん・くん)棗(くん)」」」
倒れてる蜜柑を見て、流架は心配そうに、棗も顔には出さないが心配そうだった。
「えーっと…実は……」
「ナルが盗ってきたリンゴを蜜柑が食べて、見事倒れたのよ…」
鳴海が口を開く前に、淡々と蛍が説明すると容赦なく棗と流架が睨んでくる。そして、蛍も。
「…いや、だってピンク色のリンゴなんて珍しいなぁって…ねぇ?」
「誤魔化すなよ、んでどうすんだよ?」
「とりあえず、やっぱ岬先生を呼んでくるのがいいわよね」
「あ、僕呼んでくるよ」
委員長がそう言うと、職員室の方へ走っていった。そして、鳴海は蜜柑を抱き抱えると
「…とりあえず、ここじゃなんだから保健室行こうか?あ、飛田くん行っちゃったんだね。まぁ、大丈夫かな?」
「俺、知らせてくるよ」
そうして、流架も職員室に向かい、鳴海、蛍、棗と倒れた蜜柑は保健室へと移動した。
「…よいしょっと……」
保健室のベッドに蜜柑を寝かせ、一息吐くとちょうどよく岬を連れた流架と委員長がやってきた。
「ピンクリンゴを食べたって?」
「あ、岬先生〜どういう事?なんなの、あのリンゴ」
「って、鳴海ぃ!!また勝手に盗るんじゃねぇ!!」
「わわわっ、ごめーんvVつい気になってvV」
「いいから、早く教えなさいよ。あのリンゴについて」
淡々としている蛍を見て、鳴海と岬は静かになり岬は、説明を始めた。
「実は、あのリンゴにはたぶん、惚れ薬的要素があると思うんだ。まだしっかり調べてはいないんだが…食べた後、一番最初に見た相手に惚れるんだ…」
「……一番最初に…」
「……見た相手に…」
「………惚れる…?」
説明を聞きながら、言われた事を確かめるようにリピートしていく。
「あぁ、たぶん…まぁ、同性を見ては惚れたりはしないんだが、異性を見ると、どの位の期間か分からんが惚れるんだよ…」
『同性には惚れない』の言葉を聞いた蛍は内心、チッと舌打ちした。そして、周りにいる野郎共を見渡した。
(………マズイわね…)
そう思うのは厄介な男が二人存在していたからだった。棗と流架である。
流架は、顔を少し赤らめてそわそわしていた。棗は棗で、何げに蜜柑の一番近くに立っている。
大事な親友を一時とはいえ、こんな奴らに惚れさせたくはない!!そう、考えを巡らすと口を開いた。
「…それじゃあ、とりあえず蜜柑が目を覚ます前に移動しましょ。私は居ても構わないけど、後は異性だしね」
「えっ、あぁそうだね。今井さんの言うとおり廊下に出ようか…」
まだスヤスヤと眠る蜜柑を残し、みんなは廊下に出た。
「えーっと…話の続きなだけど、一定期間ってどの位なの?岬センセ」
鳴海が岬に話しかけると、岬は頭を掻きながら
「うーん…そうだなぁ、長くても一週間位だと思うんだよ。そんな長くないはずだ」
「……一週間…」
「…………」
「あぁ、一週間…でももっと詳しく調べてみるか…佐倉が食べたリンゴは?」
「あっ、ハイこれです。」
委員長がピンクリンゴを渡すと、岬は調べてくる。と言い研究室に向かった。
岬が去った後、なぜかそこには沈黙があった。
「「「「「………………………」」」」」
蛍(……とりあえずは、蜜柑が目を覚ましたら目隠ししなくちゃね)
流架(…一週間でもいいから佐倉とくっついていたいなぁ…////)
棗(………厄介なのが今井なんだよな…)
鳴海(うわぁ〜なんだかこの3人…ピリピリしてる?)
委員長(……蜜柑ちゃん、大丈夫かなぁ〜)
なんて、5人それぞれが思っていると、蛍が持っているパンダのペンダント?がウーウーと鳴り響いた。
「あら、蜜柑が目を覚ましたらしいわ…私は入るけど、アンタ達入ってくるんじゃないわよ」
ぴしゃりと言い、保健室のドアを開けると素早く入り、ドアを閉めた。
バタンと閉められたドアを眺め、棗と流架は悔しそうに、鳴海と委員長は苦笑いしていた。
「あっ、蛍!!」
仕切っていたカーテンを引くと蜜柑は、目を擦りながら蛍を見た。やはり、同性では変化がないらしい。ふぅとため息を吐いた。
「調子はどう?蜜柑」
「別になんともあらへんよ、ウチなんでこんなトコにおるん?」
不思議そうに首を傾げる蜜柑を眺め、蛍は何故自分が男ではなかったのかと残念に思った。
(まぁ、仕方ないわよね。じゃなきゃ、親友でいられなかったし…)
目の前の親友が、そんなコト考えているなんて微塵にも思わない蜜柑は、蛍を見上げている。
「…蜜柑、実はね……――――」
先程のコトを可愛いバカな親友に分かりやすく蛍は説明し始めた。
「――という訳だから、これで目隠ししておきなさい。廊下には男しかいないから…」
「はぁ、そうなんか…」
蛍から目隠しの布を受け取ると、蜜柑はそれで目を覆った。
「立てる?ほら、私に掴まって…」
「うん、大丈夫やよV蛍、ありがとうvV」
「とりあえずは、寮に戻った方がいいわね」
そう言うと、蜜柑の手を取りドアを開けた。
案の定、開けてすぐの場所には棗と流架がいた。
「…えっと……佐倉、大丈夫?」
「その声、流架ぴょん?ありがとう、大丈夫や」
目隠しされながらも蜜柑は、にっこり笑った。
「……さっ、早く寮に戻った方がいいわね。ナルは、岬先生が何かわかったら教えて下さいね。」
そう、鳴海に言うと蜜柑の腕を取りぐんぐんと歩いていった。
「蛍ちゃん!蜜柑ちゃん、待って…」
飛田は、すたすた歩いていく二人を追い掛けていった。
鳴海も蛍に言われた通り、岬の元へ行こうとしたが、止まってる棗と流架を見て苦笑すると
「……二人とも、頑張ってね♪」
と激励をいい、岬の元へ向かった。
鳴海に言われた言葉に流架と棗は、振り返り鳴海の背を見たが歩きながら手を振る鳴海にやや怒りすら覚える。
((…簡単に言いやがって…))
そして、互いを見ると真剣な眼差しで相手を射ぬいていた。
最初に口を開いたのは、流架だった。
「……どーする、棗」
「………なにが…」
「佐倉」
「…決まってんだろ?」
「うん……棗は?」
「…俺も決まってる…「「だけど…今井がな…」」
最後の言葉は、被り互いを見て笑う。
「…アイツが一番、厄介だからな…」
「あぁ、絶対に…でも…」
「「譲る気はない(けどね)」」
そんなライバル宣言をしつつ、二人は寮に向かって歩きだした。誰か分からない奴が、蜜柑に手をださないように……
――初等部・寮
蜜柑は、蛍と委員長に手を引かれてなんとか無事に戻ってきた。
すでに帰ってきていた生徒がいて、蜜柑の目隠しをからかいながら外そうとする輩には、蛍のバカン砲の餌食になり、それに加わって委員長からも幻覚を見せられていた。
「グッジョブ♪委員長☆」
「ううん、蜜柑ちゃんの為だし…」
「……委員長は、蜜柑に惚れて欲しかったりするの?」
蛍は、真面目な顔をして委員長に聞いてみた。片手にはバカン砲を携えたまま。それを見た委員長は、少し失笑すると
「大丈夫だよ、蜜柑ちゃんの目隠し外そうなんて思ってないから……それに欺瞞に聞こえるかも知れないけど…惚れ薬とか使って好かれても、なんか違う気がするよ…」
「…………いい心がけね。でも、やっぱり蜜柑が好きなのね、簡単には渡さないわよ?」
優しさと冷やかさが混じった感情で蛍はニコリと笑った。それを聞き、委員長はまた失笑したのはいうまでもなかった。
「…アハハ……肝に命じとくよ」
とりあえず、蜜柑はそのまま部屋で過ごすことになった。寮に戻り部屋で一日を過ごす事を余儀なくされた蜜柑
「なんか変なコトになってしもうたなぁ…」
と呟いた。
ピンクリンゴを食べてから、2日たった。相変わらず、部屋から出れない蜜柑は自室で過ごしていた。
必要不可欠な食物・飲み物は蛍や野乃子ちゃん達が運んで来てくれる。部屋にはユニットバスが付いている為、なんの問題はない。ただ、異性を見るのだけは1週間控えなければならない。
「はい、蜜柑ちゃん」
「ありがとう。野乃子ちゃん、アンナちゃん」
食物を受け取り、蜜柑は微笑んだ。
「でも、大変だよね〜。惚れ薬だなんて…」
「ホント―、1週間っていうのもアレだけど、誰見るか分かんないよね〜」
「そやね」
今のところ、蜜柑の部屋に訪れようとする輩はいなかった。それもその筈、蛍を筆頭に棗・流架・委員長と周りを固めているからだ。
と言っても蛍以外はどうしても部屋の周りなのだが、意外?にも陰ながら蜜柑はモテている。
昨日の間だけでも何人かが、こっそり近づいた輩がいたのだ。もちろん、体中に打たれた跡や頭がモズクになったのは言う迄もない。
「………どーなんだよ?水玉の様子は」
「別に普段と全く変わらずバカよ」
「蛍ちゃん…」
「……後5日」
廊下でこんな会話を繰り広げていると、またしてもパンダのペンダントからサイレンが鳴り響いた。蛍が何かに気付き、走りだすと棗が叫んだ。
「オイッ!何かあったのか!?」
「外の窓から誰かが入り込もうとしているのよ!!」
「「「!!!!!!!?」」」
その言葉を聞くと、棗は窓から外へ飛び降りた。蜜柑の部屋の窓の下に来ると、木に登っている翼が目に入った。
「………ぁんの影野郎!!」
と呟くと同時に、ボッ!!っと勢い良く翼の制服の裾に火が点いた。
「おわっっ!?」
びっくりした翼は、体勢を崩しそのままストンと木から降りた。そこに蛍も流架もやって来た。
「あれっ?チビーズ?どうしたんだ」
「……そういうテメェこそ何してんだ?」
怒りの表情の棗を見て、翼は冷や汗をかいた。
「何してるって蜜柑に用事あって…アイツ昨日学校来なかったろ?」
「ってかなんで木に…?」
「ん?窓からの方が早いだろ」
「……先輩。蜜柑は今、異性を見ると惚れてしまうから会えないのよ」
「はぁ〜?」
訳のわからない翼に蛍と流架は、かくかくしかじか…と説明した。その間も棗の視線が、翼につき刺さっていた。
「は―――、なるほどねぇ。大変なコトになってんだな、蜜柑は」
とその時、委員長、野乃子ちゃん、アンナちゃんが走って来た。
「ほ、蛍ちゃ――んっ!!大変だよ!!蜜柑ちゃんがっ……」
蛍は、何かを察しまた走りだした。棗や流架も感づいて追い掛ける。翼は、委員長らを捕まえ話を聞いた。
「チビになにかあったのか?」
「……そ、それが――――」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
蜜柑の部屋の前に到着した、蛍・棗・流架は硬直した。
「鳴海せんせぇ〜大好き〜」
「え―――っと…み、蜜柑ちゃん……」
鳴海に抱きつき、コアラ状態の蜜柑の姿に。3人とも黒いオーラを出して鳴海を睨みつけている。それに気付いた鳴海は、ギョッとした。
「あ……れ―――?もしかして、僕ピンチ……?」
「鳴海せんせぇ〜ちゅ〜〜」
蜜柑が鳴海の頬にキスをしたのが引き金になり、蛍たちの目付きが一層鋭くなった。
「……あっ、ヤバい…」
と思った瞬間、鳴海は蜜柑を抱っこしたまま走りだした。
「「「逃がすかっ!!変態セクハラ教師っ!!!!」」」
「あはは〜♪楽し〜いvV」
「蜜柑ちゃ―――ん!?(泣)」
こうして、ドタバタしながら1週間。蜜柑は鳴海にべったりくっついていては、鳴海は蛍、棗、流架に散々攻撃されたのでありました。
「自業自得だ」by 岬
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
さて、なぜ、鳴海先生に惚れたかと言いますと…
検査結果を伝えに来た時、運良く(悪く?)ドアの前で話をしていたため、たまたま暇になった蜜柑がドアを開けたため、鳴海を見てしまったからなのでした。
再現をどうぞ↓↓
「なんか、ほんまに暇やなぁ〜少しくらい、外出てもえぇかな?」
そう思うと早速、ドアに手をかける。その時、廊下では
「あ〜いたいた。飛田くん達〜」
「鳴海先生」
鳴海が廊下にいた委員長、野乃子ちゃんらは振り返った。
「蜜柑ちゃんの様子……」
――ガチャ…
「「あっ……」」
「「「えっ……?」」」
「蜜柑ちゃん……」
「鳴海せんせぇ…」
普段なら無効化のアリスで、鳴海にメロメロになるはずのない蜜柑が真っ赤になっている。
委員長たちは真っ青になって、見つめていた。
「な、鳴海せんせぇ〜」
突然、蜜柑が鳴海に飛び付きスリスリと擦り寄っている。
「えっ…あの…蜜柑ちゃん…?」
「鳴海せんせぇ、だーい好き〜」
「た、大変だ!!蛍ちゃん達にっ!!」
「う、うん」
委員長たちは、そう言うと蛍達を呼びに行きました。
「えっ!?飛田くんっ!?」
行ってしまったのを眺めながら、擦り寄ってくる蜜柑を鳴海はなでなでしていた。
「せんせぇ、ウチのコト好き?」
「えっ…うん。もちろん大好きだよ〜vV」
「わぁ〜いvV」
やがて来る、棗たちの恐怖を知るのはあと数秒。
END
あとがき
初めての連載の上に初めての中編だったので、なかなか最後が書き上げられず久々にしてようやく完結の【love apple】でした。
意外に評判がよくて本当は、実はギャグなのに中々UP出来ませんでした。
こんな展開でがっかりなさった方には、大変申し訳ございませんm(__)m
でも、当初からこんな予定だったのです…
'04/11/17