Halloween☆Panic

GAKUEN ALICE

「よーし!準備は完了や♪」


鏡に映る姿を見て、蜜柑はくるっと回転してみた。
頭にはとんがり帽子を被り、中には濃紺のワンピース、足元は帽子とお揃いの先が尖ったブーツそして、黒いローブを羽織ったその姿はなんとも可愛いらしい魔女の姿だった。
本日、10/31 ハロウィンである。せっかくお菓子が貰えるならばと、蜜柑は意気揚々と寮から飛び出した。
まずは、兄のように慕う翼先輩の元へと足を向けた。


「翼センパーイ♪」

「おっ!どうした、蜜柑」


駆け寄ってくる、愛くるしい魔女の姿に翼を始め、その場にいた美咲やメガネくん、のだっちは微笑んだ。


「えへへ〜『Trick or Treat!』」


ニコニコと笑う蜜柑に、みんなは顔を見合わせると、しょーがないな〜って感じに各々お菓子を出した。


「ほら、蜜柑。ホワロンだぜ」

「俺からは林檎クッキーな」

「私からは七色キャンディーね」

「僕からはお饅頭をあげましょう」

「うわぁ〜やった〜♪先輩たちありがとな!!」


のだっちからまで饅頭を貰い、蜜柑はニコニコと笑い、出だしは順調とばかりに次の脅かし先へと走り出していた。
その後ろ姿をみて、翼たちは「蜜柑らしいな」と笑いながら可愛い妹分を見送った。
たったったっ…と走り次なる場所は、教員寮らしき建物。『鳴海』と掲げられた表札を見つけ、インターフォンを鳴らした。

「はーい…」


と聞こえてくる声に笑い声を出さないように、うひひ♪と笑いながら扉が開くのを待った。カチャリとドアが開いたタイミングで声高に叫んだ。


「Trick or Treat!」


突然の可愛い来客と共に発せられた言葉に、一瞬鳴海は「え?」と驚くもニコッと笑うとその場にしゃがみ込んだ。


「これは可愛い魔女さんだね〜 そうだな〜悪戯されるのも魅力的だけど……ちょっと待ってね☆」


一旦、家に入ると鳴海は箱を持ってきた。


「はい☆蜜柑ちゃん、どうぞ」

「うわぁ〜 こんなにいっぱい!?ホワロンもあるぅ♪鳴海センセありがとな☆」


色々入った大きなお菓子の箱を見て、蜜柑は鳴海にお礼を言った。が、当の鳴海は、蜜柑と同じ目線になるように屈むとニコッと笑いながら言い放った。


「じゃあ〜僕からも『Trick or Treat!』」

「えぇ!?う、ウチ…お菓子ないってか貰ったのしかないやけど…」


突然の反撃?に蜜柑は困ったように鳴海をみた。お菓子は貰ったのがあり、そのうちの一つを出そうとした時鳴海に手で制された。


「じゃあ〜悪戯しちゃおっかな〜☆」

「えっ?」


と蜜柑が口に出した時には、グリンと視界が廻ったかと思えば軽々と持ち上げられていた。


「ほ〜ら、高い高いだぞ〜」

「きゃあ〜〜♪」


クルクルと高い位置で回され、蜜柑は歓喜の声をあげた。ストンっと地面に足をついた時には、二人とも目が回ったのかふらふらしたが楽しかったようだ。
二人顔を見合わせて、アハハと笑っていた。


「じゃ、小さな魔女さん。暗くなる前に戻るんだよ」

「は〜い♪」


ひらひらと手を振る鳴海に返事をして、蜜柑は次にどこへ行こうかと迷った。それとももう戻ろうかと、考えていた時に後ろから声を掛けられた。


「あれ〜?そこにいるのはチビちゃん?」


振り返るとそこには、タバコ片手に蜜柑が属する『特別能力系』代表の殿内が立っていた。蜜柑はぱぁっと瞳を輝かせるとパタパタと走り寄った。


「殿センパイ、Trick or Treat!や」

「へっ?あぁ、今日はハロウィンか〜だからチビちゃんそんな恰好なのか〜」

「えへへ〜似合うやろ〜。」

「うん、可愛い♪可愛い♪食べちゃいたいくらいだぞ〜」


どこまでが冗談でどこからが本気なのかイマイチ掴めないのが、この先輩なのだ。
だが、蜜柑にはそんな事はさっぱり分からず、抱き抱えられても嬉しそうに笑うので案外鈍いのも程がある。
殿とのそんな危険な駆け引きも分からず、蜜柑は殿をニンマリと見上げていた。いったい、この先輩は何をくれるのだろうと期待していたのだか…


「残念だけど、チビちゃん。俺はお菓子持ってないか悪戯を希望しちゃおっかなぁ〜」


ニヤリと笑う顔に蜜柑は「え?」と驚愕した。


「そ、そんな〜 ウチ、高い高い出来へんでぇ〜」

「は?」


可愛く困った顔をした蜜柑にニヤリと笑っていた殿内だったが、蜜柑から出てきた言葉に首を傾げた。


「高い高い…って何?」

「あんな、さっき鳴海先生がウチに悪戯したんやけど…それが高い高いやったんよ」


だから、蜜柑も殿に対しての悪戯は高い高い。だと考えたのだ。殿はアハハ〜と笑うと




「チービちゃん。俺的に悪戯は……そうだなぁ〜チビちゃんがもうちょっと大きくなったら、一緒に寝たいなぁ〜ってな」

「? 一緒に寝るなら今だっていいんやない?」

「いや〜チビちゃん。さすがに小学生には手は出せ―――」


そこまで口にした瞬間、自慢のさらさらな髪にボッと火がついた。

「ギャ―――!?俺の髪がぁぁ〜〜〜」


と叫ぶ間にも、今度は烏が一斉に飛んできたのだった。蜜柑は殿の抱っこから降り、回りをキョロキョロするとそこには見慣れた友人を目にした。


「棗っ!流架ぴょん!!それに蛍も!?」


みれば不機嫌オーラの蛍がいた上に、棗はいつものように…否、いつも以上に端正な顔で殿を睨みつけていた。いつも温和なはずの流架も殿に対して、ムッとした表情で立っていた。


「蜜柑?どう?お菓子はたくさん貰えたかしら?」

「え?……う、うん…結構貰えたで…」

「そう……じゃあ、パーティーするから先に寮に戻っててくれないかしら?」

「へ?蛍は?」


有無を言わさない蛍に蜜柑は恐る恐る問い掛けるも、にっこりと微笑して蛍は言い放った。


「いいから、先に行ってなさい!」

「は、はい……!」


大好きな親友にそう言われ、蜜柑は仕方なしにずこずこと時々振り返りながら寮へと歩いて行った。




しばしに沈黙の後、殿内は頬をポリポリ掻きながら逃げるように言った。


「え―――っと……じゃ、俺も……」

「「「待ちやがれ!!」」」


蜜柑の姿が見えなくなってから、逃げようとする殿内を三人はやや低めの声で止めた。


「私たちからも悪戯をあげるわよ?先輩?」


本来ならあまり笑わない美少女・蛍の笑みは嬉しいのだが、今はとても嬉しいとは思えない。


「い、いや〜気持ちだけで十分だよ〜…」

「遠慮はいらね−ぞ!クソジジイ」

「そうだね、遠慮なんてしないで下さい」



可愛いらしい?後輩三人に囲まれ、殿内は冷や汗をかくばかりだった。




END



あとがき

はい。リハビリ小説です。
久々の蜜柑総受けでございます。
本当は最初ナル蜜柑だけだったのですが、皐月ちゃんと話していたら一気に総受けとなってしまいました。
いや、いつもナルvs三人だったのでナルの次?に好きな万能キャラ(ギャグでもシリアスでも使える)殿を使ってみました。


しかし、最後は相変わらずな尻切れトンボで申し訳ないです(苦笑)

とにかく、ハロウィンまでに間に合ってよかった、よかった。


ではでは、読んで下さってありがとうございました。

Trick or Treat?


2006/10/24


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