01
いつも軽く触れるだけのキスは、優しくて、なぜか泣きそうになる。
それがなぜだろう、と蜜柑は、思っていた。
瞳を閉じる度、目蓋の裏に誰かの姿があった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
流架と蜜柑が付き合うようになってから、早くも半年が経った。
そんなある夏休み前の日、蜜柑は大量に出された宿題を流架の部屋でやっていた。
「なんで、こんなに出されるんだよ」
「だって、眠っちゃったから…」
「ったく、神野の時間に寝るなんてチャレンジャーだぞ!!」
「だってぇ、難しすぎて…解らんよ…」
目の前で、ハテナマークを出している彼女に流架は、呆れながらもしょうがない。…なんて思いながら眺めていた。
「ほらっ、手伝ってやるから、テキスト開けよ。」
「ホンマっ!?わぁーい、ルカぴょん大好きvV」
そう言うと、軽く抱きついてくる。流架は、照れながら
「い、いいからっ…早くやろう!!」
「ふぁーい…」
ペラリとテキストを開き、蜜柑はノートに書いていく。時折、公式を間違えたりして流架が適度に教えていた。
「あっ、そういえば、今度翼センパイとセントラルタウン行くんやけど、ルカぴょんも行く?」
「はっ?…なんだよ、それ…」
突然の言葉に、流架はムッとしながら答えると、蜜柑は気にする事もなく
「へっ?せやから、翼センパイと…」
「じゃなくて、なんで安藤なんかと行くんだよ!?」
「えっ、だって誘われたんよ。」
不思議そうに蜜柑は、流架の顔を覗き込むと静かに、しかし、どことなく強引に口唇が降りてきた。
いつもと違くて顎を掴まれると生温かいモノが口内に入り込んできた。
「…ふぐぅ…んんっ…」
ドンっと流架を突き飛ばすと、いつも優しい流架が別人に見え、蜜柑は怖くなった。
「……佐倉…」
「イヤやっ!!近寄らんといてっ…こんなんイヤや…」
今にも泣きだしそうになる蜜柑を見ながら、流架は
「…なんで…?俺たち付き合ってんだよね…今までもイヤだったの?」
「だ、だって…今のはいつもと……」
「いつもと違うからイヤ?…でも佐倉って…いつもキスすると泣きそうな顔するよね…なんで…」
静かに話す流架の言葉に、蜜柑はビクリっとした。
(――気付かれていた…?)
「…な、なんの事…」
「気付かないと思ってた…?いつも、キスした後は、泣きそうな顔してるクセに…笑ってごまかしてたよね。最初は、恥ずかしくてなのかと思ってた、けど、違うよね。」
「そんな事…」
蜜柑は首を振りつつ、後ろに下がる。
「………佐倉は…本当は誰を見てるの…?」
(これは誰…?こんなルカぴょん知らない…)
見つめられ、肩に手を掛けられた時には、蜜柑はその手をなぎ払い、部屋から出てってしまった。
流架はなぎ払われた手を見ると、悔しさと悲しみでいっぱいになり、顔を歪めた。
To be Continued
'04/11/11