努力
洗脳系の個性であるがゆえに、
身体的なトレーニングは血へどをはくほどにやってきた。
個性にかまけてきたやつらとは違う。
そういう自信と自負が私にはあるから、
なにごとにも恐れない。
私にできないことはない。
学校が終われば帰宅し、復習。
夕食が済んだあとにはトレーニング。
私の欠かせない日課だ。
『おにぃちゃーん、行ってくるねー』
トレーニングウェアに身を包んで、
履き慣れたランニングシューズをはく。
ダダダダダダッ
「気をつけていけよ?」
「携帯はもったか?」
「なんかあったらすぐに兄ちゃん呼ぶんだぞ」
「あー、こんな可愛い妹がこんな時間に、よし!待ってろ兄ちゃんも一緒に…」
(またか)
『大丈夫だから!いってきまーす』
「あ!まて!本当に気を付けろよー!」
海沿いの車道をひたすら走る。
ハァ、ハァ、とリズムを崩さず
この息苦しさも今では気持ちのいいものに変わった。
まっすぐ前を見て走っていると、
目の前に見慣れた金髪が見えた。
(最悪、爆豪だ…)
なにかとあればすぐに突っかかってくる彼。嫌いは嫌い。
私の苦手なタイプなんだ。
後ろを走る存在に気がついたのか、
くるッと突然振り返った爆豪と一瞬目があった。
すると明らかにペースを上げたあいつ。
(ムカつく…)
タッタッタッタッ
すかさず私もペースをあげて、爆豪の横に並んだ。
私はなにごとにも負けん気が強い。
「こんな時間にランニングって真面目か」
『そっくりそのまま返す』
スッと爆豪を追い抜かす。
「テメェ…」
するとすぐにまた横に着かれる。
そんな彼を横目で睨むと、当然のごとく彼も私をにらんでいた。
「『(テメェには負けねぇー!)』」
いつの間にかふたりとも全力疾走。
要するにふたりともアホなのである。
「お前、女のくせにっ…やるじゃねぇか」
『別に嬉しく…っないし!』
ハァ、ハァありえない息切れをしながら膝に手をついて並ぶ二人。
『あー!もう疲れた!!サイアク!』
その場にドサッと倒れ混んで呼吸を整える。
なぜかその横で同じようにゴロンと転がる爆豪。
『なにやってんの?早く帰ったら?』
「悪かったよ」
『……は?』
いきなりの謝罪に頭がテンになる。
「没個性とか言ってよ…」
プイとそっぽを向き、頭をガシガシとかいている男。
『別に…』
私も中々素直になれない。