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▼2024/03/15:3月14日はキンブリーデー!

でしたね!!(完全に遅刻)

と言うことで、バレンタインに書いた学パロキンブリー夢の続きを書きました。
 ……今回は脚本じゃないです!



『BIG HEART 3枚入り』


「キンブリー先生〜!」
 保健室の引き戸を、ガラララと勢いよく開ける。
 保健医のキンブリー先生は、両手を白衣のポケットに突っ込んだまま、くるりとこちらに向き直った。
「こんにちは。おや、今日はあの問題児と一緒ではないのですね」
「女の子たちにホワイトデーのお返し配ってて忙しいみたい。グリードくん、結構モテるから」
「ほう、そうでしたか」
 じっ、とキンブリー先生の目を見る。
 それで察したのか、先生は無表情のまま続けた。
「……先に言っておきますが、私からのお返しはありませんよ」
「わ、分かってる……!」
 バレンタインデーのとき、先生にあげた手作りチョコは、校則だからとあえなく没収されてしまった。
 きっとそのままゴミ箱行きだったんだろうし、仕方ないよね……。
 なのに私ってば、なにを少し期待しちゃってたんだろう。
 あーもう、忘れよう!
「……おや、どうしましたかその傷は」
 先生は、私の右手に視線を集中させた。
 ……傷?
「え、怪我なんてしてないけど……」
「いけませんね。貴女、そそっかしいんですから。人一倍気をつけなくては」
 私の話を聞かずに先生は、後ろの薬品棚からなにかを取り出し、私にポンと手渡した。
「せっかくなので差し上げましょう。これでも貼りなさい」
 それは、絆創膏が入った新品のパッケージだった。それも、普通のものではなくて、手のひらぐらい大きいハート型の絆創膏が入っているようだ。
「か、可愛い……! ハート型だ……!」
「これしか売ってなかったんですよ」
 さらりとそう言っているけれど、きっとウソだ。だって、普通の絆創膏が売り切れることなんてほとんどないはず。
 たぶん先生が、気を利かせて買ってきてくれたんだ。
 私のために、女の子向けの、可愛い絆創膏を……!
「あ、ありがとう先生〜! でも、もったいなくて使えないよ〜!」
「使わなければ意味がないでしょう。……ああ、そろそろチャイムが鳴ります。行きなさい」
 先生はいつもと同じ表情でそう言うけれど、私はさっきから笑顔が抑えきれない。
 やっぱり、先生は優しいな……!
「あ〜やだ〜戻りたくない〜! 3限欠席して先生と一緒にいるー!」
「はいはい、戻りましょうか」
 先生に軽くあしらわれながら、仕方なく保健室を出る。
 もう一度、お礼を言うために振り返ると、先生がこほんと咳払いした。
「……そういや、あのチョコレート」
 声を細めて、先生は小さく微笑む。
「なかなか、いい味でしたよ」
「わ……!」
 その一言で、胸が飛び出しそうなほど高鳴って。
「先生っ、それって食べてくれたってこと!? 私のチョコをっ!?」
「ほら、チャイムが鳴りましたよ、戻りなさい」
「ねえ、先生! 食べてくれたの!? ねえっ!」
「戻りなさい、早く」
 伏し目がちで腕を組む先生に、たまらずにぎゅっと抱きつく。
「やったー! ふふっ、ありがと先生! 大好きー!」
「はいはい、分かりましたから」
 そう言う先生の言葉が、どこかやわらかくて。優しくて。
 ますます離れがたかったけど……、そっと両肩を掴まれて身体を離されてしまったから、今度こそ戻らなければ。
「じゃあねー! 先生ー! また来るねー! 愛してるーっ!」
 ぶんぶんと手を振って、私は長い階段を駆け上った。
 ぽつりと言った先生の呟きを、背中で聞きながら。
「やれやれ……。少し、甘やかしすぎましたかね」



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